スポーツ推薦とAO入試:2つの入試ルートの特徴と主な違いを解説

メリット・デメリット・注意点も解説!

by GAWA_K

大学に入学するためには、一生懸命に試験勉強をして試験に合格するという手段が一般的です。しかし、そのような方法以外でも大学に入学する手段があります。それはスポーツ推薦・AO入試です。果たしてこの2つはどのような性質の大学入学方法なのでしょうか。

今回は、スポーツ推薦・AO入試の特徴、メリット・デメリット、注意点などについて、詳しく解説していきましょう。

 

スポーツ推薦とは

スポーツ推薦とは、高等学校在学中に野球やサッカーなど各種スポーツで実績を残した生徒が、在学校から推薦をもらって大学へ進学できる制度です。

通常の大学入学は、入試試験を受験して、合格基準となる点数を獲得することによって合格・不合格が決定されます。それに対して、受験しなくても大学に入学できる制度があり、それが公募推薦です。公募推薦には以下のような2つの種類があります。

  • 一般公募:在学中の学力が入学基準を満たしている生徒が対象
  • 特別公募:スポーツや文化活動で優秀な成績を残している生徒が対象

スポーツ推薦は、特別公募の一種としてカテゴライズされています。

 

AO入試とは

AO入試とは、現在は総合型選抜という名称で呼ばれている制度です。AOとは「アドミッション・オフィス(Admissions Office)」の略称で、同名の機関が入試の運営をしていたことから、AOという名称が付きました。

アメリカでは一般的に実践されていたこの制度が、日本で導入されたのは90年代からです。2021年から総合型選抜へと名称変更して今に至ります。

AO入試は、先述した公募推薦の一種と考えている人もいるようですが、公募推薦ではありません。公募推薦は、一般・特別ともに在学中の実績・成績など具体的な成果が重要視されます。それに対して、AO入試とは、具体的な成績などは必要なく、大学との相性・個人の個性が重要視される仕組みです。選考は、面接・書類審査・小論文・筆記試験で行われます。

 

スポーツ推薦の入試スケジュール

スポーツ推薦の入試は以下の流れで行われます。

  • 9月:出願
  • 10月:1次選考(書類選考)の合格発表
  • 10月下旬~11月初頭:2次選考(面接・小論文・口頭試問など)
  • 11月上旬~12月上旬:2次選考の合格発表
  • 11月下旬~12月中旬:入学手続きの締切(入学金・学費・諸経費の納付)

上記のスケジュールは、高校在学中にスポーツで優秀な成績を残していること・学校側からの推薦状をもらっていることが、大前提です。合格発表から入学手続きは年内に完結するため、翌年に持ち越されることはありません。

 

AO入試の入試スケジュール

AO入試の入試スケジュールは、一般的な決まりはなく大学ごとによって異なる仕組みですが、平均的なスケジュールは以下のようになっています。

  • 6月:募集要項の配布
  • 7月:願書の配布
  • 8月~12月:出願、面接試験の実施

希望大学のスケジュールをしっかりと確認することが大事です。

 

スポーツ推薦のメリット・デメリット

スポーツ推薦のメリット・デメリットを、以下より説明します。

メリット

スポーツ推薦のメリットは、受験勉強を頑張らなくても、偏差値の高い学校に入学できることです。スポーツで過酷な練習を続けて本番で結果を出すことももちろん大変なことですが、勉強が苦手な人は苦労をしなくて済みます。学力がなくてもスポーツの実力で、難易度の高い大学の生徒になることが可能です。

また、スポーツ推薦の特待生であれば、学費の免除・減額も実現します。家の経済的な理由で大学進学を断念するパターンもあるでしょうが、スポーツ推薦であれば高額の学費を支払う必要もありません。

また、スポーツ推薦が決まるほどの実力であれば、さらにレベルの高い世界に足を踏み入れることになります。それにより、日本中の強豪チームや一流選手、コーチや監督と知り合うことが可能です。ハイレベルな世界でスポーツの実力だけでなく、人間として成長できます。

デメリット

スポーツ推薦のデメリットは、さらに過酷な練習を強いられることです。高校までスポーツ付だったので、大学入学を機に遊びたいと思っている人もいるでしょう。

しかしスポーツ推薦で入学した以上は大学でもスポーツを継続しないといけません。大学は高校よりさらに世界が広がるので、さらに過酷な練習をこなさないといけません。日々が練習漬けで遊びに行く暇もないかもしれません。

また、日々の過酷な練習のため疲れ果てて、勉強についていけないかもしれないこともデメリットです。ついていけず留年して卒業できないこともあります。また、途中でスポーツを辞めてしまった場合、同時に学費免除などが打ち切りになるのもデメリットです。スポーツを辞めたくても辞められない、辞めた場合は大学も学費が払えず除籍になるという流れになるかもしれません。

 

AO入試のメリット・デメリット

AO入試のメリット・デメリットは、以下の通りです。

メリット

AO入試のメリットは、普段の学力は重視されない点です。AO入試の際に注目されることは、学業以外の部活動や課外活動・学校行事・留学などが挙げられます。

学業以外に活発な活動をして成果を上げてきたか、そして、志望大学への学習意欲はどれくらいあるのか、という点を見るため、学業の優秀な成績は不要です。勉強ができなくて大学に行けないと諦めていた人も、入学できるチャンスがもらえるのが、メリットといえます。

そして、一般入試より倍率が低いため、一般入試よりも大学に入学できる可能性が高いことも、AO入試のメリットです。一般入試の倍率より平均して2〜3分の1ほどの倍率なので、受かりやすいといえます。ただし大学によっては一般より高い倍率の場合もあるので注意しましょう。

また、一般入試と入試時期が被っていないことも、AO入試のメリットです。AO入試は一般入試よりも早く終わるため、AO入試が不合格になっても、一般入試で再度入試に挑めます。

デメリット

AO入試のデメリットは原則的に専願という点です。併願ができないため「特に第一志望ってわけじゃないけどAO入試に挑戦してみよう」という気持ちで出願すると、対して入学したくない大学に行かなくてはいけません。AO入試で複数の大学への出願はできないので、しっかりと考えてからAO入試の出願をしましょう。

そして、AO入試で無事に入学を果たしても、入学後の授業についていけない可能性があることも、デメリットの一つです。AO入試は学力以外の活動および大学へ入学したいという意欲を重要視するので、学力そのものは関係ありません。

勉強ができなくても入学できるのがAO入試のメリットですが、入学後、特に偏差値の高い大学の場合、授業についていけなくて大学生活が苦痛になるかもしれません。

また、課外活動や意欲といった曖昧なものを基準にしているため、入試対策がやりづらいのも、AO入試のデメリットです。

 

スポーツ推薦の注意点

大学のスポーツ推薦における注意点はどんなことがあるのか、以下より説明します。

大学在学4年間は、スポーツに尽くすこと

スポーツ推薦で入学した人は、スポーツを辞めてしまうと大学での存在意義がなくなってしまいます。一般生徒のように一般入試で入学したわけではなく、人によっては学費の免除・減額という扱いを受けている人もいるでしょう。そんな待遇はすべて自分のスポーツの実力のおかげです。

そして、大学はそれ以前の学生生活と異なり一気に世界が広がり、楽しい遊びなど誘惑も増えます。この時、スポーツでなくて他の娯楽にはまってしまいスポーツを放棄すると、その時点であらゆるものを失うでしょう。学費の免除・減額も打ち切りになり、退学・除籍の扱いになるかもしれません。そして推薦をしてくれた高校も裏切ることになります。

スポーツ推薦で入学した以上、4年間スポーツに打ち込む心を忘れないようにしましょう。

ケガに注意

スポーツ選手にとって怖いものは体の故障です。練習・試合中のアクシデント、長期間、身体を酷使して生じる故障などが起きた場合、短期間ですぐに回復すれば問題ありません。

しかしこれがクセになると延々と怪我に悩まされることになり、人によっては引退まで追い詰められる人もいるでしょう。スポーツを続けたくてもできない状態になってしまうため、常に体のケアを怠らず、気をつけましょう。

 

AO入試の注意点

AO入試は、一般入試のように明確な対策がないため、合格するためにどのような対策をすればいいのかわからない人もいるでしょう。ではAO入試で合格するためにはどのようなことをすればいいのか、その注意点を以下より説明しましょう。

自己分析をしっかりとする

自分が学生生活において、いかに学業以外のことで活発な活動をしてきたかをアピールするためには、自己分析をしっかりと行なうことです。どんな活動をしてきたかということも重要ですが、それによりどんな苦労をしてきたか、その苦労によってどんなことを学んできたか、明確にしておきましょう。

それにより、現在の自分はどんな考え・性格になったか、そしてその経験によって今後どんな将来を進もうとしているか、しっかりと自己分析をすることが大事です。

また、普段の自分の趣味や嗜好も整理して、それにより自分という人間が形成されていったかも、明確にしておきましょう。

志望校のことをしっかりと掘り下げる

AO入試で重要なのは自己アピールもそうですが、志望校への思いを伝えることも大事なことです。それをしっかりと伝えるためには、志望校の歴史や校風をこと細かく調べることが重要といえます。

表面だけを調べても、それは面接官にばれてしまうでしょう。マニアックな視点で深く掘り下げて独自の切り口で、この大学に入学した際はどんなことをしたいか、伝えることを構築しておきましょう。

トーキング・ライティングスキルを磨く

先述した2つ以上に大事なのは、自分の考えを面接官にわかりやすく伝えるトークスキルです。先述した2つのポイントを事前にしっかりと押さえていても、それを相手方にはっきりと伝られるコミュニケーション術がないと意味がありません。

小論文ではしっかりと要点を押さえたわかりやすい文章構築力・面接では自分の考えをしっかりと伝えながらも面接官の質問にも臨機応変に答えられる対応力が求められます。

「自分の意見だけを述べる」のではなく、読んでくれる・聞いてくれる相手がいることを想定して、トーキング・ライティング能力の向上をしておきましょう。

 

まとめ

スポーツ推薦・AO入試は、一般入試に合格する学力がなくても大学入学が果たせる、通常とは異なる入試手段です。学力だけでなくスポーツや課外活動などの成果が重要視されるため、勉強ができなくても問題がありません。

だからといって決して楽な入試方法ではないので、入試のためのポイント・晴れて入学を果たしたあとの生活の大事なポイントもしっかりと把握することが大事です。

スポーツ推薦・AO入試を検討している人は、今回の記事で解説した重要なポイントをしっかりと頭に入れておきましょう。

 

「日本経済大学」では、留学生の就職活動の支援を目的とした、留学生対象の専門ゼミを開講しています。そこでは、BJTビジネス日本語能力テストの受験を推奨し、学習も行っています。

■日本経済大学(都築学園グループ / (学)都築育英学園)

都築学園グループは、「個性の伸展による人生練磨」を建学の精神とし1956年に設立された大学です。2018年に開学50周年を迎えた日本経済大学は、経済・経営の実学に特化した2学部6学科17の専門コースを持っています。日本有数の、留学生を抱える国際色豊かな大学です。

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