農学部の面接対策:志望動機の深掘りから始める“本気の準備”
農学部を志望する受験生にとって、面接試験は単なる通過点ではありません。特に総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦型選抜では、面接が合否を大きく左右する重要な選考要素となります。筆記試験や調査書では伝わらない「その人らしさ」や「学ぶ意欲」「将来の展望」などを、面接官は見極めようとしています。
農学部の面接では、受験生が農業や生命・環境にどれだけ関心を持ち、なぜこの学部を志すのか、大学でどんな学びを深めたいのかを問う質問が中心となります。そのため、表面的な「農業に興味がある」だけでは通用しないのが現実です。
ここでは、農学部の面接に向けてまず取り組むべき「志望動機の深掘り」について詳しく解説します。
農学部で何を学びたいのか——“関心の軸”を明確にする
農学部の面接で最も重視されるのは、「なぜ農学部なのか?」という問いに対する受験生自身の明確な答えです。農学は非常に広い分野であり、作物栽培・土壌学・畜産・食品科学・バイオテクノロジー・環境保全など、さまざまな専門領域があります。まずは、自分が特に関心のある分野を一つ、「関心の軸」として定めましょう。
たとえば、「地域農業の課題に取り組みたい」「食の安全に貢献したい」「植物の遺伝子研究をしたい」など、具体的な関心を持っている受験生は、面接でも説得力のある回答をする傾向があります。関心の背景には、原体験(家族が農業に従事している/地域の農業体験で感銘を受けた/学校での探究学習で農業に関心を持った など)を絡めることで、自分らしいストーリーとして伝えることができます。
志望動機は「動機」+「学びたいこと」+「将来像」の三点セットで構成する
農学部の志望理由を整理する際は、以下の3点を組み合わせると効果的です。
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動機(なぜ農学部なのか)
→ 興味・関心のきっかけ、原体験、問題意識などを明確にする。 -
学びたいこと(大学で何を学ぶのか)
→ カリキュラムや研究テーマに基づいて、具体的に言語化する。 -
将来像(その学びをどう活かしたいのか)
→ 自分の将来の目標、社会への貢献意識などを示す。
たとえば、次のような構成で伝えると非常にスムーズです。
「私は中学生の頃、地域の農業体験で収穫の楽しさと大変さを学びました。高校では探究活動で有機農法について研究を行い、持続可能な農業に関心を持つようになりました。貴学の農学部では、土壌微生物の働きや植物生理の仕組みを学び、将来的には環境と調和した農業の普及に貢献したいと考えています。」
このように、過去・現在・未来がつながった志望動機は、聞き手にとって納得感があります。
「農学部でなければならない理由」を用意しておく
面接官はしばしば、「それは環境学部でもできるのでは?」「それって生物学部でもいいのでは?」という問いを投げてくることがあります。これは、本当に農学部にこだわる理由があるのかを確かめるための質問です。
そのため、農学部ならではの特長を押さえておくことが大切です。たとえば、
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理論だけでなくフィールド実習(農場・森林・牧場など)を通して実践的に学べる
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農業経済・流通・政策など、社会との接点も学べる学際的な学部
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食や環境、生命科学を「人の暮らし」と結びつけて学べる
こうした特徴に触れ、「自分は農学部の実践的な学びに魅力を感じている」「農学が“社会を支える知”であることに惹かれた」といった言葉で伝えると、農学部志望である説得力が高まります。
NGな志望動機に注意しよう
農学部の面接では、次のような浅い・曖昧な表現は避けましょう。
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「自然が好きだから」
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「農業に何となく興味がある」
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「食べることが好きだから食品に関心がある」
一見、入り口としては悪くありませんが、深掘りされると答えに詰まってしまうような動機は評価されにくいです。面接官は、自分の興味関心をどう深めてきたか/どこまで具体的に考えているかを重視しています。
そのためには、オープンキャンパスで得た情報や、大学の研究室紹介、シラバスなどをチェックし、自分の興味がどこにあるのかを確認しておくことが不可欠です。