商業経済検定とは

資格の特性や取得のメリット、資格試験の詳細などを解説!

by GAWA_K

数多い資格の中でもそれほど聞きなれない名称なのが、商業経済検定です。資格の中には、どんな仕事にも応用のきく汎用性のあるもの・知識・スキルがダイレクトに業務に反映されて即戦力となる資格などがあり、そのような資格は毎年多くの受講者が試験に挑戦しています。

では、商業経済検定は、数多い資格と比べてどのような特徴があるのでしょうか。今回は、商業経済検定を取得するメリット、資格試験の概要、資格取得のための学習方法などについて、詳しく解説します。

 

商業経済検定とは

商業経済検定とは、経済・ビジネスに関する基礎知識を習得できる民間資格です。この資格の学習をすることによって、経済や物流、法律や金融などを理解するための基礎的な情報を学べます。

あくまでも基礎的な知識であるため、経済や金融などあらゆるジャンルの専門的な要素を習得することはできません。しかしその基盤となる基本的な知識を学習するため、あらゆる仕組みを理解する技能・視点・考察力を得られます。

 

商業経済検定、取得のメリット

商業経済検定の取得は、どのようなメリットがあるのでしょうか。次より具体的なメリットについて説明しましょう。

ビジネスマンとしての常識が身につく

経済というと堅苦しい・複雑というイメージがありますが、商業経済検定の資格取得および取得のための学習をすると、経済に関する基本的な知識が身に付きます。

社会人になると取引先など、学生時代とは異なるさまざまな人と接しなくてはいけません。あらゆるタイプの人たちとの出会いは社会人としてだけでなく、一人の人間として大きな刺激となります。しかし、社会人・人間としてのキャリアアップを目指す場合、あらゆる人たちと対等に接するための知識・教養も増やさなくてはいけません。

目上の人に国内・海外の経済事情についての話題を振られた場合、何も答えられなかったら恥をかくことになり「彼とは実りのある話はできそうにない」という判断を下される可能性もあります。

しかし、商業経済検定で経済に関する基本的な知識を身につけていれば、新聞の経済事情に関する記事も苦労なく理解できて、さまざまな知識をインプットすることが可能です。その知識により多くの人たちとの接点ができます。

特定の資格試験の一部免除

商業経済検定を取得すれば、リテールマーケティング(販売士)資格取得試験の一部科目が免除できます。免除となる試験は3級の「マーケティング」「販売・経営管理」で、合格した科目によってはマーケティングのみが免除対象です。販売士の資格取得も目指している人にとっては、お得な制度といえます。

難易度がそれほど高くない

商業経済検定は、他の資格に比べてそれほど難易度が高くないといわれています。受験者の中には未成年である高校生も少なくないため、取得のために大変な苦労をすることはないでしょう。

資格取得をしていれば、それだけで知識・技能を持っている証明になるため、就活・転職の際のアピールポイントになります。

 

商業経済検定、資格取得が役立つ職種

商業経済検定の知識が役立つ仕事は、経理関係です。経済情報を筆頭に経済とそれに関わる企業の在り方についての理解力を身につけられるため、経理の仕事で実力を発揮できるでしょう。

ただし商業経済検定を取得して身につくのは、あくまで基礎的な知識です。そのため、他の資格のように一つの分野のスペシャリストとしての技能が得られるわけではありません。そのため、経理に関する業務でキャリアアップ・高収入を狙う場合は、簿記資格など経理に関する他の資格も取得するといいでしょう。

 

検定の種類

商業経済検定は1〜3級の3つに分類されています。その分類の仕組みは以下の通りです。

3級

検定科目のうち「ビジネス基礎」取得が条件

1〜2級

検定科目のビジネス基礎以外の4科目のうち、2級は1科目取得、1級は2科目取得が条件

検定科目の種類

商業経済検定の資格試験は合計5つの科目が用意されています。その内容は以下の通りです。

ビジネス基礎

文字通りビジネスに関する基礎的な仕組みについて学ぶのがこの科目です。製品・サービスの生産者・卸売商と小売商・消費者といった流れを理解して、ビジネスがどのように行われているのかを学習します。

マーケティング

顧客のニーズを満たすための企業活動を学習するのが、この科目です。顧客にどのような製品・サービスを提供すれば満足するか、その対策を怠ると企業は存続できません。この科目では、消費者のニーズ・市場動向だけでなく、環境保全や少子高齢化などの問題も視野に入れて、総合的にマーケティングを考える視点を学びます。

経済活動と法

経済活動・普段の生活における基礎的な法律を学習するのが、この科目です。民法・商法の一部・労働関係の法に加えて、企業活動の基礎的なルール、株式会社や契約の仕組みなどを学習します。

ビジネス経済A

ミクロ経済理論・マクロ経済理論に関する基礎的な知識を学習するのが、この科目です。製品・サービスの価格が市場にてどのように決まるのか(ミクロ経済理論)、経済と政府の関わり方(マクロ経済理論)などを学びます。

ビジネス経済B

ビジネスにおける国際化・産業構造の移り変わりについて学ぶのが、日々変動する情勢の事例を通じて、ビジネスシーンの変化に対応できる柔軟性を身につけます。

 

商業経済検定、資格試験の概要

商業経済検定の資格取得試験は、公益財団法人・全国商業高等学校協会の主催により開催されています。では、試験の概要はどのような内容なのでしょうか。商業経済検定試験の日程や試験内容などについて、以下より説明しましょう。

開催日・試験会場

商業経済検定試験は、毎年一度、2月の第1日曜日に実施されます。申し込み期間は試験日前年の10月下旬〜11月上旬なので、受験希望者は忘れないように申し込みをしましょう。

試験会場は、全国の商業高等学校の校舎です。最寄りの商業高校の住所・校舎までにかかる時間などを把握して、試験に遅刻しないようにしましょう。

受験資格

商業経済検定の受験資格は、特に条件はありません。未成年である商業高校の生徒も毎年受験者が多いです。

受験料

商業経済検定の受験料は、1科目1,300円です。この資格の級すべてを取得したい場合、3つの科目を受験する必要があるので、その場合は3科目×1,300円=3,900円になります。

試験内容

商業経済検定試験の試験内容について、以下より級ごとに説明しましょう。

3級

3級取得の必須科目は「ビジネス基礎」です。出題内容は以下になります。

  • ビジネスに対する心構え(5 問)
  • 経済と流通(20問)
  • 取引とビジネス計算(15問)
  • 企業活動(10問)
  • 身近な地域のビジネス

ビジネスにおけるコミュニケーション手法、売買取引や経済・流通、企業活動における基礎など、社会人としての一般的教養を取り上げています。社会人としては常識的なことばかりが出題範囲となっていますが、社会に出ていない高校生などは、この級をマスターすればビジネスの基礎的な教養が身につくでしょう。

1〜2級

1〜2級は、以下の科目から1〜2科目を選択します。2級の取得は1科目、1級の取得は2科目の合格が必須です。科目およびその試験内容は以下の通りです。

・マーケティング

    • 現代市場とマーケティング(7 問)
    • 市場調査 (7問)
    • 消費者の購買行動(6問)
    • 商品計画と価格の決定(15問)
    • 販売経路と販売促進(15問)

・経済活動と法

      • 経済社会と法 (5問)
      • 権利・義務と財産権(15問)
      • 取引に関する法(25問)
      • 会社に関する法・企業の責任と法 (5問どちらかを選択)

・ビジネス経済A

      • ビジネスと経済(7問)
      • 需要と供給(7問)
      • 価格決定と市場の役割(11問)
      • 経済成長と景気循環(15問)
      • 経済政策(10問)

・ビジネス経済B

      • サービス経済化とサービス産業(6問)
      • 経済の国際化(15問)
      • 金融市場と資本市場(7問)
      • 企業経営(15問)
      • ビジネスの創造と地域産業の振興(7問)

1〜2級の試験内容は、法律。国際化。金融や資本市場の仕組みなど、内容も高度化します。科目はすべて受験して合格する必要はありませんが、すべて取得すれば経済に関する基礎的な知識を持っている証明になり、信頼度が上がるでしょう。

また、高校在学中に5科目すべて合格して申請すると、卒業時に表彰状と賞品が贈られます。

合格率

商業経済検定の合格率は科目によって異なるのが特徴です。高い合格率だと85%ほど、低い合格率は53%ほどになります。50〜60%台の合格率は「経済活動と法」「ビジネス経済A・B」です。商業経済検定の中では難解の部類に入るといわれています。

商業合格検定の合格ラインは、100点満点中70点以上です。どの科目も50問なのでそのうち35問以上正解しなくてはいけません。

他資格の試験免除

先述した通り、商業経済検定の一部の科目に合格した場合、別資格であるリテールマーケティング(販売士)検定の一部の科目が免除されます。

商業経済検定「ビジネス基礎」「マーケティング」に合格した場合、販売士検定の「マーケティング」科目が免除されます。

また、商業経済検定「ビジネス基礎」「マーケティング」および「「経済活動と法、ビジネス経済A、ビジネス経済B」3科目のうち1科目に合格した場合、販売士検定で免除対象となる科目は「マーケティング」「販売・経営管理」です。

 

商業経済検定試験の勉強方法

商業経済検定の試験勉強は、商業高校の在学生であれば普段の授業で習っていることが主流なので、毎日の授業を真面目に受けている生徒であれば、試験勉強もそれほど苦にはなりません。

また商業高校に通った経験のない人の場合でも、商業経済検定は他の資格試験勉強に比べるとそれほどの難易度でないため、普段の生活と勉強の両立が大変といった苦労をすることはないでしょう。

そのため商業経済検定は独学でも十分に合格可能ですが、もちろん簡単に合格できるものではないため、効率的かつ身につく勉強をしなくてはいけません。

商業経済検定試験における勉強方法は、ほぼ暗記になります。市販の参考書や教科書、問題などを繰り返し読み込むことが大事です。ある程度の知識がついたら過去問にも挑戦しましょう。過去問は、試験を主催している全国商業高等学校協会の公式サイトに掲載されています。

 

まとめ

商業経済検定は、他の有名資格と比べて試験合格の難易度が高くないのが特徴です。商業や経済の基本的な知識の学習・習得になるため、資格所有をしているだけで専門的な業務を任せられる・高収入が実現するといったものではありません。

しかし、複雑な商業や経済の仕組みの基本的な構造を理解できるために、汎用性がありあらゆる職種に応用のきく資格であるため、取得すれば多大なメリットがあるでしょう。

また販売士検定試験の試験科目を一部免除できるメリットもあるため、取得していればお得な資格といえます。将来の可能性を広げてくれる商業経済検定の取得を、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

 

 

「日本経済大学」では、留学生の就職活動の支援を目的とした、留学生対象の専門ゼミを開講しています。そこでは、BJTビジネス日本語能力テストの受験を推奨し、学習も行っています。

■日本経済大学(都築学園グループ / (学)都築育英学園)

都築学園グループは、「個性の伸展による人生練磨」を建学の精神とし1956年に設立。2018年に開学50周年を迎えた日本経済大学は経済・経営の実学に特化した2学部6学科17の専門コースを持つ日本有数の留学生を抱える国際色豊かな大学です。

You may also like

You cannot copy content of this page