国家公務員試験1種と2種3種と何が違うのか?

それぞれの特徴や試験内容の詳細などを解説!

by GAWA_K

国家公務員というと学歴重視のイメージがありますが決してそうではなく、1種・2種・3種という区分があります。では、この3つの区分にはどのような違いがあるのでしょうか。

今回は、国家公務員の区分である1種・2種・3種の、それぞれの特徴・試験概要などについて、詳しく解説しましょう。

 

国家公務員1種・2種・3種それぞれの特徴

国家公務員の区分である1種・2種・3種は、どのような違いがあるのでしょうか。次より1種・2種・3種それぞれの特徴について説明しましょう。

国家公務員1種とは

国家公務員1種とは、国家公務員総合採用試験に合格した人および試験合格で取得できる国家資格です。1種は平成24年から国家公務員総合職と名称変更となりました。総合職試験を合格して採用された人は通称キャリアと呼ばれており、省庁の幹部候補となります。仕事内容は、各省庁等における政策の企画・立案など重要な業務です。

総合職採用試験を合格してキャリア組になれば、年齢や経験など関係なく幹部候補となれるため、スピード出世が見込めます。

国家公務員2種とは

国会公務員2種とは、国家公務員一般職試験(大卒程度試験)を受験して合格した人および国家資格の名称です。平成24年から国家一般職(大卒)と名称が変更され、一般職1種との区別のためノンキャリアとも呼ばれています。

国家一般職(大卒)の業務内容は、主として事務処理などの定型的な業務という定義です。政策の実行および企画立案のサポートをします。

職場は、霞ヶ関の本府省、または出先機関での地方勤務です。本府省の場合はキャリア組と協力して国の政策立案を担当します。地方勤務の場合は、本局・事務局での勤務となり、窓口での業務も担当対象です。

キャリア組のような段階を飛び越えてのスピード出世は難しく、公務員としての実績・経験を積まなくてはいけません。

国家公務員3種とは

2種と同様に国家公務員一般職・ノンキャリアに区分されているのが、国家公務員3種です。平成24年に名称が変更されて、試験名は国家公務員試験3種から「国家公務員一般職試験(高卒者試験)」、試験合格者は「国家一般職(高卒)」と呼ばれています。

業務内容は、税務や化学、農業土木など10区分に分類された出先機関での、一般事務や窓口対応などです。1種・2種に比べて一般市民と最も近く直接触れ合う機会が多く、国家の中枢を担う立場でなく、一般人の治安を守ることに生きがいを感じている人に向いています。

 

国家公務員1種資格試験の概要

国家公務員の中で最も難関といわれている1種・総合採用試験の概要はどうなっているのか、次よりみてみましょう。

受験資格

国家公務員1種の試験は、現在、国家公務員総合職試験と呼ばれています。総合職試験は、院卒者試験・大卒程度試験の2種類に分かれており、それぞれ受験資格が異なる仕組みです。

院卒者試験・受験資格
  • 大学院修士課程または専門職大学院の課程を修了、
  • 試験翌年年3月までに大学院修士課程
  • 専門職大学院の課程を修了する見込み
  • 人事院が同等の学力があると認めた場合
大卒程度試験・受験資格
  • 満30未満
  • 試験翌年の3月までに大学卒業が見込める場合
  • 大学卒業と同様の学力があると人事院が認めた場合
試験日程

試験日程は年ごとに異なりますが、主に以下の日程となっています。

第1次試験
  • 試験日程:4月
  • 合格発表日:5〜6月
第2次試験
  • 筆記試験:5月
  • 院卒者試験:6月の数日間
  • 大卒程度試験:5月下旬〜6月中旬
  • 合格発表日6月下旬、

受付期間は1次・2次ともに4月の数日間

試験会場

全国の人事院事務局にて開催

 

国家公務員2種資格試験の概要

国家公務員2種(国家公務員一般職大卒程度)の試験に関する概要は、以下の通りです。

受験資格

一般職大卒試験の受験資格は、以下のような決まりがあります。

  • 満30歳で最終学歴が大学卒業
  • 試験翌年3月までに卒業の見込みがある場合、人事院が同等の資格があると認めた場合
  • 短期大学又は高等専門学校を卒業
  • 試験翌年3月までに短期大学または高等専門学校を卒業する見込み、人事院が同等の資格があると認めた場合
試験日程

試験日程は年ごとに異なりますが、主に以下の日程となっています。

第1次試験
  • 試験開催日:6月
  • 合格発表日:7月
第2次試験
  • 7~8月の数日間
  • 合格発表日:8月

受付期間は1次・2次ともに4月の数日間

試験会場

全国の人事院事務局にて開催

 

国家公務員3種資格試験の概要

国家公務員3種(国家公務員一般職高卒)の試験に関する概要は、以下の通りです。

受験資格

一般職高卒試験の受験資格は、以下のような決まりです。

  • 満30歳で最終学歴が高卒・中卒で卒業してから2年以内
  • 試験翌年3月までに卒業の見込みがある
試験日程

試験日程は年ごとに異なりますが、主に以下の日程となっています。

第1次試験
  • 試験開催日:9月
  • 合格発表日:10月
第2次試験
  • 10月の数日間
  • 合格発表日:11月

受付期間は1次・2次ともに6〜7月の数日間

試験会場

全国の人事院事務局にて開催

 

国家公務員1種の試験内容

国家公務員1種(総合職)試験の内容を、以下よりみてみましょう。

院卒者試験

院卒者試験は第一次・二次に分かれています。

第1次試験

・基礎能力試験(30題、2時間20分)
公務員として必要な基礎的な知識を2つの分野に分けた筆記試験
知能分野(文章理解、資料解釈を含めた判断・数的推理、24題)
知識分野(自然や人文、社会、時事、6題)

・専門試験(40題、3時間30分)
各試験の区分に対応した必要な専門的知識などの筆記試験

第2次試験

・専門試験
各試験の区分に対応した必要な専門的知識などの筆記試験
行政区分は3題4時間、他の区分は2題3時間30分)

・政策課題討議試(1時間30分)
6人1組のグループで実施される試験

  1. 出題された課題に対してレジュメの作成(25分)
  2. その後の個別発表(1人3分)
  3. グループによる討議(30分)
  4. 討議で出た結論を個別に発表(1人2分)

プレゼンテーション能力、コミュニケーションスキルをこの試験科目で判断

・人物試験
人間性や対人能力などを審査する個別面談

大卒程度試験

大卒程度試験の第一次・二次試験は以下の通りです。

第1次試験

・基礎能力試験(40題、3時間)
公務員として必要な基礎的な知識に関する筆記試験
知能分野(文章理解、資料解釈を含んだ判断・数的推理、27題)
知識分野(自然、人文、社会、時事、13題)

・専門試験(40題、3時間30分)
各試験の区分に対応した必要な専門的知識の筆記試験

第2次試験

・専門試験(行政区分は3題4時間、他の区分は2題・3時間30分)
・政策論文試験 (1題2時間)
企画立案能力に関する試験
・人物試験
人間性や対人能力などの個別面談

 

国家公務員2種の試験内容

国家公務員2種(国家公務員一般職大卒程度)の試験内容は、以下の通りです。

第1次試験

基礎能力試験(40題、2時間20分)
公務員として必要な基礎的な知識を2つの分野に分けた筆記試験
知能分野(文章理解、資料解釈を含めた判断・数的推理、24題)
知識分野(自然や人文、社会、時事、6題)

・専門試験
各試験の区分に応じての必要な専門的知識などの筆記試験
建築区分は33題2時間、建築以外の区部は40題3時間
・一般論文
一般論文と専門試験に分類
一般試験は1題1時間、論文作成により文章での表現、課題への理解力を確かめる
専門試験はさらに建築区分(1題1時間)・建築以外の区分(1題1時間)に分類
各試験の区分に必要な専門的知識などについて

第2次試験

・人物試験
人間性や対人能力などの個別面談

 

国家公務員3種の試験内容

国家公務員3種(国家公務員一般職高卒者試験)の試験内容は以下の通りです。

第1次試験

第1次試験は、以下のような4つの種目に分かれています。

・基礎能力試験

公務員として必要な基礎的な知能・知識についての筆記試験、出題数は合計で40題

・知能分野(文章理解、課題処理、数的処理、資料解釈の分野から出題、合計20題)
・知識分野(自然科学、人文科学、社会科学の分野から出題、合計20題)

・適性試験

事務、税務に関する能力を見る試験
迅速かつ正確に事務処理を行う能力についての筆記試験、出題数は120題)
置換や照合、計算および分類などの問題を時間内に番号順にできるだけ多く解答するスピード検査

・作文試験

文章作成の構成力や表現力、課題に対してどれだけ理解を示しているかなどを確かめる筆記試験

・専門試験

各試験の区分に対しての必要な専門知識があるのか確かめる筆記試験

第2次試験

第2次試験は、1種・2種にある人物試験に加えて、身体検査もあるのが特徴です。

・人物試験

人間性や対人的能力などについて確かめる個別面接

・身体検査

主として胸部疾患(胸部エックス線撮影を含む)・尿・そのほか一般内科系を検査、業務に支障のない健康的な人材であるかを確認

 

国家公務員に向いている人

国家公務員1〜3種に向いている人は、どのような特色があるのでしょうか。次より向いている人の特徴を紹介します。

奉仕精神が昔から人一倍強い人

昔から自分の利益だけでなく人のために行動すること、人助けをよくする奉仕精神が強い人は、国家公務員に向いている人材です。

国家公務員は、日本国憲法では「国民全体の奉仕者である」という定義になっています。民間企業の場合、企業の利益のために活動する構造になっていますが、国家公務員は国民の税金によって給与が発生している仕組みであるため、公共のために働かなくてはいけません。

自らの利益・私利私欲ではなく、人のために役立てる仕事がしたいという気持ちが自然に湧いてくる人であれば、国家公務員としてプライドを持って業務に打ち込めるでしょう。

地道な業務が苦にならない人

国家公務員・特に1種(総合職)の場合、国家の中枢を担う派手な仕事・かっこいい仕事を想像する人もいるでしょう。確かにそのような面もありますが、公務員という職種は基本的に国家・地方公務員ともに地道な業務の積み重ねです。

国家・公共が抱えている問題に一つひとつ取り込んで改善していくことが業務であるため、地道な業務が続きます。そのような地道な業務を続けることを苦に感じない人こそが、国家公務員として求められている人材です。机に向かっての地道な作業が苦手な人は、公務員には向いていないといえるでしょう。

普段からリーダー的役割が大きい人

日頃からリーダー的役割になることが多く、その立場が苦にならない人は、国家公務員に向いています。専門性の高い業務が多い国家公務員は特に総合職の場合、多くの人を率いて指示・管理をしなくてはいけません。そのようなことが昔から得意な人は国家公務員でも能力を発揮できるでしょう。

特に多様なステークホルダーとのコミュニケーションが求められるため、人との関わりを大切にし、相手の立場や意見を尊重しながら意思疎通ができる能力が必要です。国家公務員は大きな組織の一部として働くため、チームでの協力や協働が重要です。他の部署や組織と連携して業務を進めるコミュニケーション能力が必要です。

中立性と公平性の高く、問題解決能力が高い人

公務員としての判断は、公平かつ中立的であることが求められます。そのため、偏見を持たず、公正に物事を判断できる人が向いています。その中で、問題解決能力も重要です。具体的な課題や問題に対して、効果的な解決策を考え、実行に移す能力が必要です。

まとめ

国家公務員は、1種・2種・3種(総合職・一般職)に分類されており、特に総合職に限っては、難易度の高い試験を突破しなくてはいけません。しかし、その試験に合格すれば、晴れてキャリア組となり、年功序列・経験の蓄積を無視しての出世が見込めます。

国の中枢を担う、あるいは国を動かす存在になれる1種・2種、一般市民と近い立場の3種である国家公務員は、どのような試験を受験すればなれるのか、国家公務員を目指している人は、事前に確認することが大事です。

1〜3種(総合職・一般職)はどのような違いがあるのか、今回の記事を参考にして理解してもらえたら幸いです。

 

 

 

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都築学園グループは、「個性の伸展による人生練磨」を建学の精神とし1956年に設立された大学です。2018年に開学50周年を迎えた日本経済大学は経済・経営の実学に特化した2学部6学科17の専門コースを持つ日本有数の留学生を抱える国際色豊かな大学です。

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