マンション管理士とは何か?学べることや就職、強みなどとともに

資格取得のメリット、資格試験の概要などを解説

by GAWA_K

数ある資格の中でも、高齢でも業務可能なため注目を集めているのが、マンション管理士です。さまざまなメリットがあるといわれているこの資格ですが、その反面、将来性があるのかわからない、仕事が大変そうというイメージを持っている人も、少なくありません。

今回は、そのような疑問を持っている人のために、マンション管理士の業務内容、資格取得のメリット、資格取得をするための方法などについて、詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。

 

マンション管理士とは

マンション管理士とはどのような業務内容なのか、次より説明しましょう。

マンション管理士の歴史

マンション管理士とは、一般社団法人 日本マンション管理士会連合会という機関が運営・管理している、国家資格です。

マンションの管理は、建造物の維持・修繕のため専門的な知識・管理組合の運営の能力を持っていなければいけません。しかしかつてのマンション管理担当者は特別な資格を有する必要がなく、専門的な知識・スキルを持っていない状態で管理を行なっていたため、トラブル発生時の対応ができない人も少なくありませんでした。

そのような事態を改善するために、平成13年8月に施行されたマンション管理適正化法に基づいて、国家資格であるマンション管理士制度が設けられたのです。

マンション管理士の業務内容

マンション管理士の具体的な業務内容は、以下の通りです。

  • 管理組合の運営
  • 管理組合の管理者またはマンションの区分所有者への助言、指導その他の援助
  • 修繕計画の策定
  • 区分所有者間のトラブル対応
  • マンション居住者の義務違反

マンション管理業務は、マンション管理士の資格がなくても行なえます。しかし、上記の業務は専門的な知識・スキルがないと対応できないため、マンション管理士の資格取得であれば有利です。

 

マンション管理士の資格取得のメリット

マンション管理士の資格取得はどのようなメリットがあるのでしょうか。次よりそのメリットをみてみましょう。

長期にわたって仕事ができる

マンション管理士の仕事の特徴は、他の不動産業の仕事と違って、基本的に一人の顧客との付き合いが長い点です。居住者との関係性は転居・亡くなる以外にないため、長期にわたっての接客となります。管理組合および顧客との良好な関係を築くことができたら、こちら側に何かしらの非がない限り、仕事は継続できるでしょう。

長期間できる仕事のため、マンション管理士の平均年齢は40代後半で、60〜80代も珍しくありません。むしろ、人生経験も豊富で、どのような局面に立っても対応できる懐の広さ・深さがあるため、年齢を重ねた人材のほうが歓迎される傾向があります。高齢であってもニーズがあるのが、マンション管理士の魅力です。

独立開業の際に役立つ

マンション管理士は国家資格でありながら、他の士業のように独占業務がないため、弁護士・行政書士・税理士のように資格取得をしてすぐに独立開業できるわけではありません。

ただし、他の資格(管理業務主任者や宅地建物取引士など)を取得すれば、マンション管理士の資格取得で学んだ知識・スキルと併せて、幅広い業務に対応できて独立開業も可能です。

マンション管理士としての知識・スキルを活かした独立開業は、以下のような例があります。

  • コンサルティング会社の設立して、管理組合の顧問担当となる
  • アパート経営
  • 賃貸管理業の開業によりマンション管理業務を受託

以上のように、あらゆる業務に対応できる大きな可能性を持っているのが、マンション管理士の特色です。

 

マンション管理士・資格取得試験の概要

マンション管理士になるためには、資格取得試験を受験して合格しなくてはいけません。資格試験の概要は以下の通りです。

・試験期日および試験時間

毎年11月下旬日曜日、試験時間は午後1時~午後3時の2時間

・試験地

札幌市から那覇市まで全国主要都市

・受験手数料

9,400円

・受験案内書の受取方法

配布開始期間は毎年8月から配布、案内所の受取方法は、公益財団法人マンション管理センター本部および支部にて受取可能。また、公益財団法人マンション管理センター公式サイト(https://www.mankan.org/)にアップされる受験案内書のダウンロードで入手可能。

・受験申込期間および申込方法

申込期間は毎年9月、申込方法は受験申込書を公益財団法人マンション管理センターへ郵送、それと同時にゆうちょ銀行・郵便局の振替払込・銀行の振込で受験料を納付。

・合格発表

試験の翌年1月初旬に公益財団法人マンション管理センターから受験者へ合否通知書が送付、マンション管理センター公式サイト(https://www.mankan.org/)にて合格者の受験番号の確認が可能。

 

マンション管理士・資格取得試験の内容

マンション管理士試験の試験内容は、主に以下の出題範囲が多いです。

・マンションの管理に関する法令および実務に関すること

  • 建物の区分所有などに関する法律
  • 被災区分所有建物の再建などに関する特別措置法
  • マンションの建替えなどを円滑に行なうための法律
  • 民法(取引、契約等マンション管理に関する決まり)
  • 不動産登記法
  • マンション標準管理規約
  • マンション標準管理委託契約書
  • マンションの管理に関するその他の法律(建築基準法・都市計画法・消防法・住宅の品質確保の促進などに関する法律など)

・管理組合運営を円滑に行なうために関すること

  • 管理組合の組織と運営(集会の運営など)
  • 管理組合の業務と役割(役員、理事会の役割など)
  • 管理組合の苦情対応と対策
  • 管理組合の訴訟と判例
  • 管理組合の会計その他

・マンションの建物および附属施設の構造および設備に関すること

  • マンションの構造・設備
  • 長期修繕計画
  • 建物・設備の診断
  • 大規模修繕 等

・マンション管理の適正化推進に関する法律に関すること

  • マンションの管理の適正化の推進に関する法律
  • マンション管理適正化指針その他

 

マンション管理士・資格取得試験の勉強方法

マンション管理士資格試験は、500時間ほどの勉強時間が必要と言われています。勉強方法は、大きく分けて2種類です。その2つの勉強方法について、以下よりそれぞれ説明しましょう。

独学

マンション管理士試験の勉強は、独学でも決して不可能ではありません。半年〜1年ほど集中して勉強をすれば500時間の勉強時間を消費することはできるでしょう。

独学は、自分のペースで勉強が可能で、勉強に必要なツールも参考書数冊なので費用もかかりません。ただし、スケジュール管理や勉強内容など、すべて自分で計画的に進める必要があります。どんな状況であってもスケジュール消化をこなせる人であれば問題ないですが、自己管理が苦手な人は難しいといえるでしょう。

また、すべて自分で勉強を進めないといけないため、疑問点があっても自分で解決しなくてはいけません。頼る人がいないために、何かわからないことがあったらそこで勉強がストップしてしまい、計画的にスケジュールが進まない恐れがあります。

スクール・通信講座の利用

マンション管理士試験の勉強方法でおすすめなのが、マンション管理士試験に対応しているスクール・通信講座を受講することです。受講料を支払わなくてはいけないため独学よりは費用がかかりますが、それ以上に多大なメリットがあります。

メリットの一つは、無理のないスケジュールで確実に実力がつくことです。確固としたカリキュラムに沿って、その道のプロフェッショナルである講師陣による講義のため、わかりやすく無理のない学習が実現します。

また、社会人の生活に配慮して、負担のないスケジュール作成をしてくれるので、普段忙しい人でもハードスケジュールを送る心配はありません。

そして、通信講座によっては相談専用の窓口を用意しているところもあるため、疑問点があっても質問が可能です。また、同じ目標を持った人たちと出会える場合があるのも、スクール・通信講座のメリットです。独学の場合、たったひとりで勉強を続けなくてはいけないため、人によっては挫折することもあるでしょう。

しかしスクール・通信講座では、同じ目標・悩みを持った受講生同士で励まし合いながら勉強を進められるため、心強い味方となってくれます。

 

マンション管理士の将来性は

マンション管理士は将来性がない・稼げないという意見があります。そのような意見が出るのは、次のような理由です。

  • 国家資格でありながら独占業務がない
  • 業務内容の多さに比べて稼げない
  • 今後はAIが台頭する

確かにマンション管理士には独占業務はありません。しかし先述した通り他の資格と組み合わせることによって、幅広い業務に対応可能となり独立開業も不可能ではないため、経験や学習次第によって十分に稼げる資格といえます。

また、住民のクレームなどの対応で面倒という意見もありますが、それはどのような業種であってもクライアント・顧客などと対峙して交渉しなくてはならないため、特別にマンション管理士だけが大変というわけではありません。

また、AIの能力では住民などのクレームに対応することは難しいため、完全にAIに仕事を取られるという事態はしばらくはないでしょう。

独身・高齢者とマンション利用者は年々増加の傾向です。マンション管理士の今後も需要は大いにあり、将来性のある仕事といえます。

 

マンション管理士に向いている人

マンション管理士の資格取得を検討している人は、本当に自分の資質がマンション管理士に適しているのか、事前に考慮する必要があります。では、マンション管理士に向いている人の特徴を、次より紹介しましょう。

コミュニケーションが得意・教え上手

マンション管理士の業務は、管理組合への指導・助言、マンション工事などの説明会で質疑応答などがあり、マンション管理だけではありません。

多くの人と接する機会・説明する機会が多いため、口下手な人・考えをわかりやすく伝えるのが苦手な人は向いていないといえます。

コミュニケーション能力に長けた人・大勢を相手に緊張することなく、難しいことをわかりやすく説明するのが得意な人は、マンション管理士に適しているといえるでしょう。

複数のタスクを処理するのが上手い人

マンション管理士が担当する業務は多岐にわたり、それに加えて突発的なクレームになどにも対応しなくてはいけません。複数のことを同時に進行していくのが苦手な人は混乱してしまいますが、マルチタスクが得意な人であれば一つひとつを確実に処理できるでしょう。そのような冷静な対処ができる人は、マンション管理士に向いています。

高齢になっても仕事を続けたい人

マンション管理士の平均年齢は40〜50代で、60〜80代の管理士も珍しくありません。高齢になっても対応可能でなおかつ大いに需要のあるマンション管理士は、高齢者になっても働きたいと希望している人に向いています。

 

まとめ

資格取得をしても仕事がない・稼げないと一部でいわれているマンション管理士ですが、今後も需要が途切れることのない、やり方次第で高収入も可能な資格であるため、稼げないことはありません。他の資格と組み合わせることによってさらに幅広い業務にも対応できるので、資格取得を検討してみてはいかがでしょうか。

 

 

「日本経済大学」では、留学生の就職活動の支援を目的とした、留学生対象の専門ゼミを開講しています。そこでは、BJTビジネス日本語能力テストの受験を推奨し、学習も行っています。

 

■日本経済大学(都築学園グループ / (学)都築育英学園)

都築学園グループは、「個性の伸展による人生練磨」を建学の精神とし1956年に設立された大学です。2018年に開学50周年を迎えた日本経済大学は、経済・経営の実学に特化した2学部6学科17の専門コースを持っています。日本有数の、留学生を抱える国際色豊かな大学です。

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