ファッション業界で働くと言えば、服飾学部や家政学部で学び、これらの学部からファッションデザイナー、パタンナー、スタイリスト、ショップ店員などを目指すことを想像する方は多いかもしれませんが、ファッション業界は幅広い仕事があります。例えば、ファッション、音楽、映画、現代美術など、現代の文化表現を学ぶ「文学部」はファッション雑誌の記事執筆者や編集者、ビジネスや経営心理学を通じて人々の心と行動について研究する「臨床心理学部」はファッションショップの店員、マーケティングやブランド戦略に関わる「経営学部」ではアパレル商品の企画・開発、バイヤー、マーチャンダイザー、プロデューサー、プランナーなど、ファッションビジネスには多岐にわたる分野の学問が必要とされています。
今回は、その中でもファッション業界で多様な活躍が期待できる「経営学部」に焦点を当て、「経営学部」とファッションビジネスの関連性について、また都内の大学でファッションを学べる経営学部についてご紹介いたします。
「経営学部」とファッションビジネスの関連性は?
ファッションビジネスは服をデザインするセンスがなくても、「ファッションに関心がある」「服が好き」という気持ちがあれば、服飾学部や家政学部でなくても、ファッションビジネスに携わる仕事につくことが可能です。そのビジネスの中で「経営学部」での学びは大いに役立ちます。
世の中に多くの商品が出回っており、消費者はその中から自分が望むものを選んで購入する今の時代、ファッションビジネスでは服をデザインして作成し、売るという単純な過程だけでなく、大量の売り残りを引き起こさないためにも「どのような服が今、求められているのか」など消費者のニーズに合った商品を開発していかなければなりません。そのためには、今どのような商品が売れているのか、どのようにして売ればよいのか、消費者のニーズをリサーチし、そのデータを分析して戦略を設計し、宣伝活動を行うといったマーケティングの知識やプレゼンテーション能力も必要です。
アパレル商品の販売をトータルコーディネートする「アパレルマーチャンダイザー」であれば、市場調査をし、シーズンごとのファッションの流行を予測して商品の企画や開発に携わります。また、どの商品をどれだけ作るかや販売価格を決めたり、仕入れや各店舗の在庫などを決めたり、広告・宣伝、販売促進活動までを担当します。そこにはファッションの知識に加えて、マーケティングに関する知識が必要です。ファッションコーディネーターやファッションプレス、ファッションバイヤーなどの他のファッションに関わる職種も同じように経営の知識を役立てることができます。
経営学部ではマーケティングに関する知識を学ぶことができます。経営学の科目である「マーケティング論」は、顧客のニーズに対応した商品がどのようなものか、どのように販売すれば購入してもらえるかを考え、「商品(サービス)が売れる仕組み」をつくるマーケティングについて学びます。その他にも、経営学、経営戦略論、会計学、商学、経営組織論、経営管理論、商品・サービス論など、ファッションビジネスに限らずビジネスに携わる上で必要な知識を学ぶための様々な科目を履修することができます。経営学とファッションとの関連性は一見すると希薄に見えるかもしれませんが、心理学も顧客のニーズを把握するための商品開発や、企業・会社内で従業員を指導する立場の際には必要です。そのため、経営学部のカリキュラムには心理学も含まれることが多いです。
このように、ファッションビジネスには経営学部の学びと深い関連性があり、経済学部で習得した知識を活かして、ファッション関連の様々な職種に就くことが可能です。そのため、経営学部にもファッションを学べる学科やコースを設ける大学が増加しています。
ファッションが学べる経営学部がある都内の大学はここ!
最近では「経営学部」の中でも観光、音楽・映像、ファッションなどのエンターテイメントビジネスで活躍する人材を育成する学科が増えています。ここでは東京都内の大学の経営学部でファッションが学べる大学をご紹介していきます。
東京成徳大学
経営学部 経営学科 ビジネス科目のファッション分野
東京都北区にある「東京成徳大学」は「国際学部」、「応用心理学部」、「子供学部」、「経営学部」があり、専門性の高い学びを提供する大学です。その中で経営学部経営学科は、実社会に直結する就職に有利な経営学を身に付けるため、経営学、マーケティング、会計学などの経営学の基本を学ぶ「マネジメント科目」と、ファッションビジネス、エンターテインメントビジネス、トラベル・ホスピタリティなどの業界のビジネスで活躍する能力を身に付ける「ビジネス科目」があります。
ビジネス科目にある「ファッションビジネス」の分野では、国内外のファッションの知識や理解を深め、実際ファッションビジネスに携わる時に役立つように講義スタイルだけではなく、服の作成方法を学ぶ授業や販売の実践を学ぶ授業、会社や業界の財政や人事などの分析を行う授業など、ファッション業界に関しての知識を幅広く学ぶことができます。
ファッションビジネスに関しては4年間を通して次の項目を履修します。
【1年生】
ファッション基礎I、II、ファッション・ビジネス基礎 など
【2年生】
ファッション・ビジネスI、II、色彩研究 など
【3・4年生】
ファッション文化論、ファッション・ビジネス実践 など
それにプラスして経営の現場でも活用できる経済・法律、心理学、情報処理やネットワーク基礎などを学ぶ情報、キャリアデザインやビジネス表現トレーニングなどキャリアに関する授業も履修でき、また2年生ではインターシップの授業などを取り入れるなど、充実したカリキュラムで、自分にあった職業選択ができるように積極的なサポートがされており、ショップスタイリストやファッションコーディネーターなどのファッション関連の職業への就職を目指すことができます。
日本経済大学
経営学部 芸創プロデュース学科 ファッションビジネスコース
「福岡」 「神戸」 「東京渋谷」の3キャンパスを持つ「日本経済大学」。そのうちの東京渋谷キャンパスでは「経済学部」と「経営学部」2つの学科を柱に、個性をはぐくむ、専門性に特化した学科とコースが設置されています。「経営学部」の
「芸創プロデュース学科」ではファッション業界の第一線で活躍できる人材を育成する「ファッションビジネスコース」があり、
ものづくりからのアプローチではなく、経営学からファッションのビジネス・マネジメントを学ぶのが特徴です。
4年間の学習のステップとして、1年次にはビジネスに求められる基本的な知識を学び、2年次で基礎ゼミを中心とした学内のイベントの運営や実施を通じてビジネスを体験し、3年次では学内外のイベントに企画から参加して発想力とプレゼンテーション力を身に付け、4年次では業界・職種で必要な自己表現力やプロデュース能力を磨き上げます。
その学習の中でもファッションビジネスコースの特徴ある科目としては次のような科目があります。
●ファッションビジネス概論
アパレル関連の産業構造を理解します。グローバル企業のアジアでの展開状況を把握し、モードとファッションの視点からブランドビジネスの展開を考えます。さらに、ファッションビジネスの基本的な知識をしっかりと習得します。
●色彩学
ファッションとインテリアの色彩を中心に色彩基礎知識、基礎理論を学習し、配色演習でコーディネーション力を身に付けます。また、色彩学を役立てるビジネスフィールドについても学習します。
●ファッション造形論
ファッション造形を行う際の計画と実際の過程をいくつか学習します。デザインのアイデアが生まれ、提案され、形になり、最終的に着用できるまでの過程を学びながら、ファッションマーケティングやマーチャンダイジングとの関連やビジネス実例なども学びます。また、ファッション造形論の過程を理解しやすいように、演習も多く取り入れています。さらにファッション造形学を役立てるビジネスフィールドについても学習します。
●ファッションリサーチ
リサーチを行うことで、視覚的にとらえたことや数値データなどに慣れていき、それらの情報をビジネスプランに反映するまでの過程について学びます。
●アパレル販売論
アパレル販売のプロフェッショナルを目指すために必要な知識を身に付け、現在注目されている話題も取り上げて考えながら、将来のファッションビジネス業界で成功するためのキャリアの築き方について考えていきます。
このように、ファッション業界の知識や専門用語を習得し、業界に特化したマーケティングスキルや経営学、ビジネスの感覚を身に付けることによって、アパレルメーカー、ファッション関連企業、ファッション関連の起業、小売販売業等のファッション関連分野への就職を目指すことができます。
在学中に取得可能な資格としては、「ファッションビジネス能力検定」、「ファッション販売能力検定」、「色彩検定」、「インテリアコーディネーター」「イベント検定」「知的財産管理技能士3級」などが挙げられます。
日本経済大学の東京渋谷キャンパスは、渋谷駅から徒歩3分の距離にあり、最先端の流行やファッション、音楽などの若者文化を生み出す渋谷の中心に位置しています。この恵まれた立地条件のキャンパスでは、大学内外を問わず常にファッションに関する最先端の情報が溢れる環境の中で学ぶことができます。これは日本経済大学の東京渋谷キャンパスならではの特長です。過去には渋谷で日本経済大学の学生によるファッションショーも開催されました。ファッションだけでなく、エンターテイメントやカルチャーなどのトレンドを通学しながら感じることができる点は非常に魅力的です。
まとめ
今回は、ファッション業界で幅広い活躍が期待できる「経営学部」に焦点を当て、「経営学部」とファッションビジネスの関連性について、さらに都内の2つの大学におけるファッション学習の機会をご紹介してきました。
ファッションビジネスはファッションデザイナーや店舗スタッフだけでなく、様々な分野のスペシャリストが業界を支えています。数多くの商品が存在する中で消費者が自身の望む商品を選び購入する現代において、「どのような服が今、求められているのか」など、消費者のニーズに適合する商品を開発することが求められます。そのため、マーケティングや経営戦略を含む幅広いビジネスに関する知識が必要です。こうした状況の中で、経営学部での学びがファッションビジネスにおいても不可欠であり、大学においては経営学部内にファッションビジネスが学べる学科やコースが設けられており、その注目度が高まっています。
服をデザインするセンスを持っていなくても、ファッションに関心があり、ファッション関連の職に就きたいと考えている方にとって、経営学部でファッションのビジネス・マネジメントを学ぶチャンスは価値があると言えます。「服が好き!」「アパレル業界の仕事に興味がある」という方はぜひ、検討してみてくださいね。
日本経済大学ホームページ
https://shibuya.jue.ac.jp/