数ある資格の中でも「銀行業務検定」という名称は、それほど聞き馴染みがないと思っている人もいるでしょう。では、銀行業務検定とは、いったいどのような性質の資格なのでしょうか。
今回は、銀行業務検定の内容、資格取得の方法、試験の詳細などについて、詳しく解説していきます。ぜひ参考にしてください。
銀行業務検定とは
銀行業務検定とは、銀行業務検定協会および協会の母体である経済法令研究会が運営・管理している検定・資格です。この資格を取得すれば、銀行や保険、証券など金融に関する業務に必要な知識・技能、それらを応用したスキルを持っている証明になります。
金融業の中でも銀行員にとっては資格取得が必須となっており、金融業界で働く人にとっては重要な位置付けとなっている資格です。
銀行業務検定試験の種類・試験方法
銀行業務検定試験の種類・試験方法について紹介しましょう。
試験の種類
銀行業務検定を取得するためには、検定試験を受験して合格する必要があります。銀行業務検定試験の種類は23系統36種目もあり、試験時間が被っていなければ、同日に午前・午後と2種目を受験することも可能です。検定にはどんな種類があるのかは、後で説明します。
試験方法は2種類
試験方法は次の2種類があります。
全国一斉公開試験
全国一斉試験は、毎年3・6・10月の決まった日時に、全国の指定会場にて一斉に実施される試験方法です。経済法令研究所サイトから申し込みをして受験票をもらい、指定された会場にて受験します。
CBT方式試験
一部の種目はCBT(コンピュータ ベースド テスティング)方式で受験が可能です。全国300ヶ所以上のテストセンターにあるPCを使っての受験となり、受験・合否発表まで、すべてweb上で完結できます。すべての種目がCBT方式に対応していないので、事前に確認しておきましょう。
銀行業務検定試験の種類および詳細
銀行業務検定試験の種類、それぞれの受験日程、受験料金などについて、以下より紹介しましょう。
法務
・融資管理3級
- 受験日:3月
- 受験料:5,500円
- 試験時間:2時間
・法務2級
- 受験日:6月
- 受験料:8,250円
- 試験時間:3時間
・法務3級
- 受験日:6月
- 受験料:5,500円
- 試験時間:2時間
・法務4級
- 受験日:10月
- 受験料:4,950円
- 試験時間:1時間半
財務
・財務2級
受験日:6月
受験料:8,250円
試験時間:3時間
・財務3級
- 受験日:3月
- 受験料:5,500円
- 試験時間:2時間
・財務4級
- 受験日:6月
- 受験料:4,250円
- 試験時間:1時間半
税務
・税務2級
- 受験日:3月
- 受験料:8,250円
- 試験時間:3時間
・税務3級
- 受験日:3月
- 受験料:5,500円
- 試験時間:2時間
・税務4級
- 受験日:3月
- 受験料:4,250円
- 試験時間:1時間半
年金
・年金アドバイザー2級
- 受験日:3月
- 受験料:8,250円
- 試験時間:3時間
・年金アドバイザー3級
- 受験日:3月
- 受験料:5,500円
- 試験時間:2時間
・年金アドバイザー4級
- 受験日:3月
- 受験料:4,250円
- 試験時間:1時間半
信託・証券
・証券3級
- 受験日:10月
- 受験料:5,500円
- 試験時間:2時間
・信託実務3級
- 受験日:6月
- 受験料:5,500円
- 試験時間:2時間
マネジメント
・営業店マネジメントⅠ
- 受験日:6月
- 受験料:9,900円
- 試験時間:3時間
・営業店マネジメントⅡ
- 受験日:6月
- 受験料:8,800円
- 試験時間:3時間
融資・渉外
・経営支援アドバイザー2級
- 受験日:3月
- 受験料:9,350円
- 試験時間:3時間
・窓口セールス3級
- 受験日:6月
- 受験料:5,500円
- 試験時間:2時間
・法人融資渉外2級
- 受験日:6月
- 受験料:8,250円
- 試験時間:3時間
・法人融資渉外3級
- 受験日:6月
- 受験料:5,500円
- 試験時間:2時間
・事業性評価3級
- 受験日:6月
- 受験料:5,500円
- 試験時間:2時間
・個人融資渉外3級
- 受験日:6月
- 受験料:5,500円
- 試験時間:2時間
・事業承継アドバイザー3級
- 受験日:10月
- 受験料:5,500円
- 試験時間:2時間
外為
・外国為替2級
- 受験日:3月
- 受験料:8,250円
- 試験時間:3時間
・外国為替3級
- 受験日:3月
- 受験料:5,500円
- 試験時間:2時間
金融経済
・金融経済3級
- 受験日:6月
- 受験料:5,500円
- 試験時間:2時間
・投資信託2級
- 受験日:3月
- 受験料:8,250円
- 試験時間:3時間
・投資信託3級
- 受験日:3月
- 受験料:5,500円
- 試験時間:2時間
・金融商品取引3級
- 受験日:6月
- 受験料:5,500円
- 試験時間:2時間
・預かり資産アドバイザー2級
- 受験日:10月
- 受験料:8,250円
- 試験時間:3時間
・預かり資産アドバイザー3級
- 受験日:10月
- 受験料:5,500円
- 試験時間:2時間
・保険販売3級
- 受験日:10月
- 受験料:5,500円
- 試験時間:2時間
・デリバティブ3級
- 受験日:6月
- 受験料:5,500円
- 試験時間:2時間
相続
・相続アドバイザー2級
- 受験日:3月
- 受験料:8,250円
- 試験時間:3時間
・相続アドバイザー3級
- 受験日:3月
- 受験料:5,500円
- 試験時間:2時間
CBT方式
銀行業務検定試験にて、CBT方式で受験可能な種目は、以下の通りです。
・CBT法務3級
・CBT法務4級
・CBT財務3級
・CBT財務4級
・CBT相続アドバイザー3級
・CBT信託実務3級
・CBT事業性評価3級
・CBT事業承継アドバイザー3級
・CBT DXサポート
・CBT税務3級
・CBT税務4級
・CBT年金アドバイザー3級
・CBT年金アドバイザー4級
・CBTサステナブル経営サポート
CBT方式の種目は、すべて以下の概要で統一されています。
- 試験申込期間:毎年4月下旬~ 翌年3月下旬
- 試験実施期間:毎年5月~ 翌年3月末日
- 受験料:5,500円
- 試験時間:120分
銀行業務検定試験の申し込み手順
銀行業務検定の試験の申し込みはどのような手順で行なうのか、次より全国一斉公開試験・CBT方式それぞれの手順を説明しましょう。
全国一斉公開試験の申し込み手順
全国一斉公開試験の申し込み手順は、以下の通りです。
1.サイトの申込ページにアクセス
銀行業務検定協会の公式サイトから、経済法令研究所のサイトに移行します。
2.受験希望の種目を選択
経済法令研究所サイトの「検定試験」ページにアクセスすると、試験の種目一覧のページに移動するので、その種目の中から受験希望の種目をクリックします。
3.カートに追加
種目名をクリックすると種目の詳細(受験料など)が表示されるので、「カートに入れる」アイコンをクリックします。申し込み受付期間が終了している場合はカートに入れることはできません。
4.受験地区の選択
「カートに入れる」をクリックすると確認画面に移行します。この時に「受験地設定」アイコンを押して受験希望地区を選択します。
5.注文手続きをする
確認が完了したら「注文手続をする」アイコンを押します。手続きに際にやることは氏名・住所・勤務先等の情報、発送先。支払い方法の入力です。
6.申込受付メール送信、確認
手続きが完了したら、登録したメールアドレスあてに受付完了メールが届きます。受験料の支払いにコンビニ・ペイジー決済で支払いを済ませた場合、支払い完了メールが届く仕組みです。
CBT方式試験の申し込み手順
CBT方式で受験をする場合、以下の手順で申し込みを行ないます。
1.CBTソリューションズ公式サイトにアクセス
銀行業務検定協会サイトの試験申し込みページからCBTソリューションズ公式サイトへ飛びます。
2.種目を選択
CBT公式サイトの銀行業務検定試験のページで移行すると、CBT方式での受験可能な種目が並んでいるので、受験希望の種目をクリックします。
3.申し込み必要事項を記入
申し込みページにて必要事項を記入するには、CBTサイトのマイページ登録をしてログインをしなくてはいけません。ログインを済ませて申し込みページにて必要事項を入力すれば、申し込み完了です。
銀行業務検定の資格取得はメリットがあるのか
就職や転職の際に自身の強いセールスポイントとなるのが、資格取得です。資格を取得していれば専門性の高い知識・スキルを持っている証明になるため、就職や転職の際に有利になります。
しかし、就職や転職の際、面接サイドに提出する履歴書に銀行業務検定の資格取得の記載があっても、それは採用に大きく影響される可能性は決して高くないでしょう。
銀行業務検定は、銀行などの金融機関に在籍している人材が、企業内での昇給・昇格のための必須資格として受験をするケースが多いです。金融機関に在籍していない人間が「就活・転職の際に役立つ」という理由で取得することは、ほとんどないといえます。
他の資格のように、その資格取得をしただけで独占業務といわれている業務を一任できるわけではありません。将来は金融に関わる仕事に就いて頑張りたいという人に向いている資格といえます。
銀行業務検定と相性の良い他資格
銀行業務検定を取得した際、それにより得た知識・スキルが他の資格試験にも役立つパターンがあります。では、銀行業務検定と相性の良い資格とは何か、次より紹介しましょう。
ファイナンシャルプランナー
家系のホームドクターの異名を持つ金融の専門家が、ファイナンシャルプランナーです。税金や投資、住宅など各種ローンや不動産、相続や老後など、生活・家計のライフプラン設計・アドバイスを行ないます。
銀行業務検定の種目では、法務・財務・税務・相続などの資格取得で得た知識が、大いに役立つでしょう。
簿記検定
企業の営業取引・経営活動を帳簿に記録・管理する知識・スキルを取得している証明になるのが、簿記検定です。企業の成績や財務状況がわかる貸借対照表・損益計算書などは、専門性の高い知識・スキルがないと作成は難しいといわれています。しかし簿記検定の資格取得で習得した知識があれば、それら複雑な業務を行なうことが可能です。
銀行業務検定のいくつかの種目の資格取得を達成していれば、それらの知識が簿記検定の資格試験にて役立ちます。
行政書士
官公署に提出する書類作成および手続き代行などを担当するのが、行政書士です。各種契約書・内容証明など複雑で手間のかかる一連の手続きを代行してくれます。行政書士の担当業務のなかには、相続・遺産に関する問題もあります。銀行業務検定に得た知識が大いに活かされるでしょう。
まとめ
金融機関で行なうあらゆる業務に関する知識・スキルを習得できるのが、銀行業務検定の試験です。銀行業務検定の資格試験は、数多くの種目に分類されているため、自分に見合った種目を選んで受験できます。また、種目によってはCBT方式の試験も実施されているため、通常の試験より手間がかかりません。
銀行業務検定は、多くの業種に対応できる汎用性のある資格とはいえず、金融関係の企業に在籍している人に向けた実務的な資格といえます。そのため、資格取得をしただけで仕事が多くもらえる・就活に有利にはなりませんが、他の資格の試験の際に知識。スキルが役立つケースもあるため、金融に関する知識を習得したい方は、資格取得を検討してもいいでしょう。
「日本経済大学」では、留学生の就職活動の支援を目的とした、留学生対象の専門ゼミを開講しています。そこでは、BJTビジネス日本語能力テストの受験を推奨し、学習も行っています。
■日本経済大学(都築学園グループ / (学)都築育英学園)
都築学園グループは、「個性の伸展による人生練磨」を建学の精神とし1956年に設立された大学です。2018年に開学50周年を迎えた日本経済大学は、経済・経営の実学に特化した2学部6学科17の専門コースを持っています。日本有数の、留学生を抱える国際色豊かな大学です。