人生の青春時代である10代後半の男女の教育に関わる高校教員は、安定している・やりがいがあるというイメージの反面、大変な仕事という印象を持っている人もいるかもしれません。
では、高校教員という業務は、具体的にどのような詳細なのでしょうか。今回は、高校教員における以下の項目を解説しています。
- 高校教員の仕事内容
- 高校教員の年収
- 高校教員になる方法
- 高校教員に向いている人
将来なりたい職業の候補に高校教員を入れている人は、ぜひ参考にしてください。
高校教員の仕事内容
高校教員が担当する業務は多岐にわたります。将来、高校教員を目指している人は事前に高校教員は具体的に何をやるのか、知っておくといいでしょう。
では、高校教員の仕事は具体的にどのような内容なのか、次より紹介しましょう。
授業および生徒指導
高校教員は中学教員と同様に、1科目を専門に担当します。担当科目の授業は教員が自分のペースで行うのではなく、1年間の綿密な計画を立てて、それに沿って実施する仕組みです。
そして、授業で使用するテキストのプリント・小テスト・中間および期末テストの問題などの作成も行います。計画を立てたとしても、教科書の改訂があった場合はそれに合わせてまた計画を立て直すことも、必須作業です。
高校の授業は中学よりレベルアップして、より専門性が高くなるため、高校教員もそれに合わせた高度な知識、それをわかりやすく教えるスキルが要求されます。
また、授業だけでなく生徒指導も重要な業務です。思春期で悩み多い生徒たちをよく観察して、悩みを聞いてあげる・適切なアドバイスをすることも大事な仕事といえます。
生徒の進路指導、保護者との交流
10代後半である高校生は、学生時代が終わり社会人として社会に出る一歩手前の時期です。生徒によっては将来どうしたらいいのか悩んでいる人もいるでしょう。そのような生徒にアドバイスを行う・視野を広くするために希望職種以外の選択肢を教えるなどを行うことも、高校教員の仕事の一種です。
また、進路相談に関しては親を交えての面談も行います。その際、進路だけでなく家庭内で何か問題を抱えていないかなどを知るために、生徒の親との交流を図るのも高校教員の仕事です。
部活動の指導
高校教員のほとんどは、部活動の顧問となり、生徒に指導します。部活動は運動系・文化系・理系と種類は豊富です。
校務分掌
高校教員が担当する業務には「校務分掌」も含まれています。校務分掌とは、学校を運営するための事務業務で、教員が分担して行います。学校行事の運営・進行、外部団体との交渉など業務内容が多いため、教員がそれぞれ分担して担当するのが通例です。
自主的な学習
高校教員はただ生徒に教えるだけでなく、自己鍛錬も欠かしてはいけません。長期休暇などに学校教育・授業の進め具合、生徒との接し方などを改めて見直して、改善するべき点は改善します。また、常に学習をして自分自身の知識もアップデートすることも忘れてはいけません。
高校教員の年収
高校教員はどれくらいの年収なのか、公立高校教員・私立高校教員それぞれの平均年収を以下より紹介しましょう。
公立高校教員の平均年収
公立高校に勤務の教員の年収平均は、およそ630万円です。この年収の内訳は、年収+ボーナス+各種手当となっています。手当とは公務員である公立高校教員にのみ適応されている制度です。手当の種類は以下になります。
- 地域手当
- 扶養手当
- 定時制通信教育手当
- 給料の調整額
- 教職調整額
- 管理職手当
- 教員特殊業務手当
それぞれ給与の数%〜20数%の割合で支給されます。
また、年収は、教員の年齢によって変化します。世代別の平均年収をみてみましょう。
- 20代:約440万円
- 30代:約560万円
- 40代:約710万円
- 50代:約750万円
- 60代:約510万円
このようにキャリを積むごとに年収はアップし、60代になると下降する傾向です。60代で勤務を継続する場合、非常勤教員としての勤務になることが多いため、給与が下がります。
公立高校教員の全体の平均年収は630万円なので、一般企業に比べると、高い年収といえるでしょう。
私立高校教員の平均年収
私立高校の教員の平均年収は約625万円と、公立高校教員とほぼ同額です。ただし、同じ高校の教員であっても、私立と公立では給与の仕組みに違いがあります。
公立高校の教員は公務員であるため、学校ではなくその高校のある自治体から給与が支払われる仕組みです。それに対して、私立高校の教員は、公務員ではないので自治体は関係ありません。
教員は、私立高校と雇用契約を結んでそこで働き、給与は私立高校が設定した金額で支払われます。「私立高校=企業」「私立高校の教員=従業員」という、一般の会社と同様の関係と考えたほうがいいでしょう。
そのような仕組みであるため、私立高校によって給与は異なります。
高校教員になる方法
高校教員になるには、以下の手順を踏まなくてはいけません。
- 大学・大学院で必要単位を取得する
- 高等学校教諭免許状を取得する
- 高校教員採用試験を受験、合格する
では、この3つの手順について、以下よりそれぞれを説明しましょう。
大学・大学院で必要単位を取得する
高校教員になるためには、まず大学・大学院で教員になるための学習をして単位を取得しなければいけません。
・大学
教育系の大学・あるいは教職課程のある大学で単位を取得します。必要単位を取得しないと、後で説明する教員の免許状が取得できません。
教員になるための方法は、教育系・それ以外の教職課程のある大学を選ぶ必要がありますが、教育系の大学であれば教育のためのさまざまな学部があるため、より深い学習ができます。
人によっては、最初から教師を目指して入学する・大学在籍中に教師になると決めたなど、そのタイプはさまざまです。そのなかでも、最初から教師を目指している人は教育系の大学がおすすめです。学習内容の充実度もその理由ですが、教師を目指している人が多数集まるので、同じ目標を持った仲間ができて刺激になるでしょう。
・大学院
大学院ではより深い教育に関する学習が受けられます。ただし大学院に進学する前に大学で教職課程の単位を履修していないといけません。大学院のなかでも教職大学院は、専門性の高い学習を受けられます。大学より深い知識を学びたい・校長・教頭など高い地位を目指したい人は、大学院に進学するといいでしょう。
高等学校教諭免許状を取得する
大学・大学院で必要単位を取得すれば、国家資格である高等学校教諭一種免許状・高等学校教諭専修免許状という教員免許が取得できます。専修免許状は大学院でのみ取得が可能です。
免許状取得のための必要な単位を取得しても、学校を中退した場合、高校教員資格は無効になります。大学生・大学院生は、学校を卒業すると学士・修士の学位を取得します。高校教員は基礎知識として学士・修士が必須なため、免許状の取得はできません。
専修免許状の取得者は一種免許状よりも深い知識を持っている照明になりますが、高校教員の採用のときに一種よりも極端に特別扱いされるわけではありません。ただし、今後のキャリアを考えたとき、専門性の高い知識を所有しているために、多少の影響は出てくるでしょう。
高校教員採用試験を受験、合格する
大学・大学院で高校教員免許状を取得したからといって、自動的に学校へ赴任されるわけではありません。次にやることは高校の採用試験を受けて合格することです。次より採用試験について、公立・私立高校別について説明しましょう。
公立高校の採用試験
公立高校の教員採用試験は、各自治体によって実施されます。そのスケジュールは以下の通りです。
- 3〜4月:出願
- 6〜7月:1次試験
- 8〜9月:2次試験
- 10月:合格発表
教員希望の大学生は、試験前年である3年生の秋頃から準備を開始することが多いです。試験の内容は以下の通りとなっています。
・筆記試験
一般、教職、専門教養に加えて小論文の作成
・面接試験
個人、集団、ディスカッション形式など自治体によって異なる
・実技試験
体育、音楽、美術、家庭 、英語などの実技。自治体によっては実施されない場合もある
・適性検査
教員として求められる特性を検査
以上の採用試験に合格して、晴れて高校教員として働くことができます。
私立高校の採用試験
私立高校の教員は公務員ではないため、自治体による試験はなく、次のような3通りの方法によって、採用されます。
- 私立中学高等学校協会が希望者を選別してスカウト
- 私立高校の募集を見て自分で連絡
- 就職エージェント経由で紹介
公立高校のように毎年決められた時期に採用試験を行うわけではなく、1年を通して教員を募集している形式です。
高校教員に向いている人
高校教員に向いている人は、どのようなタイプなのでしょうか。以下よりその特徴を紹介しましょう。
10代の成長を嬉しく感じる人
代表的なのが、人の成長していく姿勢を見て喜びを見出せるタイプです。高校の生徒たちは大人の一歩手前でありながら一般的には未成年・子どもという年齢になります。そのような、大人と違って視野の狭い未成年に対して同じ目線で対応して、公私ともに発生するさまざまな問題・課題を一緒に解決する気持ちが、高校教員にとっては重要です。そして、問題をクリアして人間として一段階成長した姿を見守って、嬉しい気持ちになれる人は、高校教員に向いているでしょう。
洞察力・観察力・注意深い人
また、生徒たちを随時見守る洞察力・観察力も高校教員にとって重要な要素です。未成年は心身ともに成長期であり不安定な時期といえます。そのときに心身が不調でないか、何か公私ともに問題を抱えて悩んでいないかと、いち早く察知できる洞察力も、高校教師は兼ね備えていないといけません。
メンタルが強い人
高校教員は、授業の実践およびその準備、計画、生徒への生活や部活の指導など、やるべきことが多い仕事です。
それに加えて仕事の対象が心身ともに安定していない10代の男女であるため、同じ目線で付き合うと疲弊する人も少なくないでしょう。また、その生徒が家庭に問題を抱えている場合、その親とのやり取りもあります。
このような数々の業務があっても、決して弱音を吐かないで一つひとつを対処していくタフさがある人であれば、高校教員も苦なくやっていけるでしょう。
まとめ
10代の若者と四六時中、対峙する、高校教員という仕事は、大変である反面、若者たちの成長が見れるやりがいのある仕事です。
しかし、「収入的に安定したイメージのある仕事みたいだから、教員になろう」という安易な考えをした場合、仕事は務まりません。事前に仕事の特徴、なるための手順、自分が本当に向いているか、などをしっかりと考える必要があります。
今回は高校教員についての詳細を解説しました。高校教員になろうか検討している人は、今回の記事を参考にしてくれたら幸いです。
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