理学部を目指す受験生にとって、面接は自分の関心や思考力、そして将来像を伝える絶好の機会です。この記事では、面接で問われるポイントや準備のコツを、分かりやすく整理してご紹介します。
理学部の面接で重視される3つの力
1. 探究心と論理性
理学部の面接では、「なぜその学問に興味を持ったのか」「どうしてその大学・学部を選んだのか」といった質問が中心です。答えのある問いに対する知識よりも、「問いを立て、深めようとする姿勢」が重視されます。
例:
「高校の化学実験を通じて、目に見えない分子の動きに興味を持ちました。大学では物理化学の観点から分子構造を学び、将来的には医薬品開発に関わりたいと考えています。」
2. 自己理解と将来像
「理学部で学んだことを将来どう活かしたいか」を明確に伝えることも重要です。将来の職業が明確でなくても、「社会との関わり」や「貢献したい分野」など、自分なりの将来像を描けているかが問われます。
例:
「地球環境の問題に関心があり、大学では地球科学を学んだ上で、気候変動への科学的対策に携わりたいと考えています。」
3. 柔軟な思考と人間性
理学部では、答えのない問いに取り組む姿勢が大切です。困難な問題にどう向き合うか、失敗をどう乗り越えるかといったエピソードも好印象を与えます。
面接でよくある質問と答え方のコツ
「なぜ理学部を志望したのですか?」
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自分の体験やきっかけを交えて話す
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志望分野(数学・物理・化学など)に関連した具体例を述べる
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教員の研究分野や大学の特徴と結びつけると説得力UP
「高校の授業で印象に残った学びは?」
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印象深かった授業や実験について説明
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そこからどんな問いを持ったか、どのように深掘りしたかを語る
「最近気になっている科学のニュースは?」
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興味を持った理由、自分の視点からの意見を加える
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社会との接点を意識すると理学部らしい視点に
志望分野別のアピールポイント例
分野 | 面接での強調ポイント | 例 |
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数学 | 論理的思考・美しさへの関心 | 「証明の美しさに感動し、より深く学びたくなった」 |
物理 | 仕組みを探る好奇心 | 「日常現象の背後にある法則を知りたい」 |
化学 | 実験や応用への興味 | 「新しい物質を生み出す創造性に惹かれた」 |
生物 | 命の仕組みへの関心 | 「細胞分裂のしくみに魅了された」 |
地学 | 地球規模の視点・社会課題への関心 | 「気候変動のメカニズムに関わりたい」 |
挫折経験と学びを語ることの重要性
「なぜうまくいかなかったのか」「そこから何を学んだか」を語ることで、人間的な成長や粘り強さを示せます。
例:
「物理の波の単元が苦手でしたが、質問や復習を重ねて克服しました。『分からないことを放置しない』という姿勢を身につけました。」
志望動機を“深掘り”できるかがカギ
「なぜ理学部を志望したのか?」という問いは、非常に基本的ですが、答えの中身によって印象は大きく変わります。単に「科学が好きだから」ではなく、その関心がどのような体験や出来事に基づいているかを自分の言葉で語ることが大切です。
回答例:
「小学生の頃、植物の観察日記をつけるのが好きでした。中学では光合成の仕組みに感動し、高校ではさらに植物ホルモンの役割を知るうちに、“見えないところで起きている生命活動”を解明したいという気持ちが強くなりました。大学では生物学の基礎から専門的な分子生物学まで学び、将来は食品や医療の分野に役立てたいです。」
このように、経験→関心→将来像という構成で語ると、理学部での学びに向かう本気度が伝わります。
頻出!「今、気になる科学のニュースはありますか?」
この質問は、理学部を目指す者として「社会や世界と科学をどう結びつけて見ているか」を問うものです。面接までに時事科学ニュースやノーベル賞の話題、あるいはAI・再生医療・量子コンピュータなどの最新トピックを押さえておきましょう。
回答例:
「最近、重力波の観測に関する記事を読みました。ブラックホール同士の衝突で発生する重力波を検出することで、宇宙の成り立ちを解明しようとする姿勢に感動しました。高校で波動を学んでいたときにはイメージが湧きにくかった分野ですが、大学で物理学を体系的に学び、宇宙の物理法則を追究する研究に携わりたいと強く感じました。」
このように、「なぜ関心を持ったか」「理学部でどうつなげたいか」を語ることが大切です。
理学部ならではの“問い”にどう答える?
理学部の面接では、専門的な問題というよりも、「なぜ?」「どうしてそう考える?」といった問いが多く投げかけられます。これは、単なる知識ではなく、自分なりに論理的に考える力を見ているためです。
例題と答え方:
Q:科学において“仮説”とはどんな意味を持つと思いますか?
→ 調べた定義を答えるのではなく、自分の言葉で整理し、自身の学びと絡めるのが理想。
回答例:
「仮説は、事実をもとに“なぜそうなっているか”を考えるスタート地点だと考えています。たとえば理科の実験で予想が外れることもありましたが、そのズレが“別の要因があるのでは”という新しい視点を生み出しました。理学の面白さは、この仮説を検証して“発見につなげる”プロセスにあると感じています。」
このように、経験や自分の学びのスタイルと関連づけて答えると、印象が深まります。
「チームでの取り組み」や「人間性」を問う質問にも備えよう
理学部は一見、個人作業の多い学問に見られがちですが、実際は研究室での共同作業やプレゼン、フィールドワークが非常に多く、協調性や対話力も重要視されます。
代表的な質問と回答例:
Q:「これまでにチームで何かをやり遂げた経験はありますか?」
回答例:
「高校の文化祭で、理科部として“自作のスピーカーで音波を可視化する”展示を行いました。準備の段階では、メンバー間で意見がぶつかり、進行が遅れることもありましたが、パートごとの役割分担を明確にすることで効率化できました。結果的に来場者から好評をいただき、理系分野の面白さを伝えられたのが嬉しかったです。」
このような体験は、理学部でのチーム研究にも通じる資質として高く評価されます。
「困難をどう乗り越えたか?」の問いで見られる粘り強さ
理学部の研究は、必ずしも思い通りにいくとは限りません。だからこそ、「失敗や困難をどう捉えるか」も大切な評価ポイントです。
回答例:
「高校2年の時、化学の定期テストで初めて赤点を取り、自信を失いました。ただ、解けなかった問題を先生に質問し、同じような問題集で演習を重ねるうちに、理解のコツがつかめました。以後、“分からないことをそのままにしない”姿勢が習慣となり、他の教科にも良い影響がありました。」
面接では、“失敗経験=マイナス”ではなく、“学びや成長の材料”として語ることが求められます。
本番で失敗しないための「理学部面接」実践対策
理学部の面接では、知識や志望動機だけでなく、非言語的な振る舞いやコミュニケーション態度も評価の対象となります。このパートでは、面接当日に向けた服装・所作・表情・話し方などのマナーや、模擬面接の活用方法まで、実践的な対策を丁寧に紹介します。
理学部だからこそ大切にしたい「誠実さと清潔感」
理学部の面接では、いわゆる“堅実でまじめな印象”が重視される傾向があります。特に教授陣が面接官を務める場合、「この学生は研究に向いているか」「理学的な探究心を持っているか」などが観察されます。そのため、見た目の第一印象も含めて誠実さが伝わるよう心がけることが重要です。
服装は男女ともに清潔感を意識したスーツスタイルが基本です。
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男子:白シャツ、濃紺またはグレーのスーツ、落ち着いたネクタイ
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女子:白のブラウスに黒か紺のジャケット+スカートまたはパンツ
髪型は顔が見えるように整え、長髪の場合は結ぶのがベター。装飾品は控えめにし、派手なアクセサリーや香水は避けましょう。清潔であること、そして「理系らしい真面目さ」がにじみ出ることが好印象につながります。
入退室の流れをスムーズにこなす
入退室時の所作は、基本的ながら評価に大きく関わるポイントです。ぎこちない動きや過剰な緊張感は、印象を下げる原因になりかねません。以下の流れを事前に何度も練習しておきましょう。
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ドアを3回ノック
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「失礼します」と言ってドアを開けて一礼
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ドアを静かに閉め、椅子の横に立つ
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「○○高校から参りました、○○○○と申します。本日はよろしくお願いいたします」と挨拶
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「どうぞおかけください」と促されたら、「失礼いたします」と言って着席
着席後は、背筋を伸ばし、両手を膝の上に軽く置くのが基本姿勢です。手遊びや貧乏ゆすり、顔を触る癖がある人は、練習中に指摘してもらいましょう。
声のトーン・表情・目線が印象を左右する
理学部の面接では、積極性よりも誠実さ・論理性・冷静さが評価される傾向があります。話すスピードはゆっくりめで、聞き取りやすく、ハキハキとした話し方を心がけましょう。
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声:張りすぎず、落ち着いたトーン
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表情:口角を軽く上げ、やわらかい印象を意識
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目線:面接官の目元を見る(苦手なら眉間でもOK)
感情のこもった話し方ができると、単なる“模範解答”ではない「自分の言葉」として相手に伝わります。
答えに詰まっても「誠実な対応」が評価される
難しい質問や想定外の問いに出くわしたとき、焦って無理に答えようとする必要はありません。むしろ、「一呼吸置くこと」や「自分の思考を整理しながら話すこと」が評価されることも多いのです。
たとえば…
「少し考えてもよろしいでしょうか?」
と一言添えて間を取り、**思考のプロセスを見せること自体が“理学的姿勢”**と捉えられることもあります。自分の中での仮説や考えを組み立てていく過程を、丁寧に言葉にしてみてください。
模擬面接で本番に近い緊張感を体験する
面接対策で最も有効なのが、模擬面接の実施です。できれば学校の先生や保護者、理系の先輩などに依頼して、本番さながらの雰囲気で練習してみましょう。以下の点をチェックしてもらうと良いです。
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第一声の挨拶が明るくハッキリしているか
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志望理由に“個人の経験”がしっかり反映されているか
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回答が簡潔で筋道立っているか(主張→理由→具体例)
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難問に対して“考える姿勢”が見られるか
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所作・姿勢・癖などに違和感がないか
録画して自分で見返すのもおすすめです。客観的に見ることで、想像以上に多くの改善点が見えてきます。
面接の最後に聞かれる「何か質問はありますか?」の意図
面接の締めで聞かれることの多い「最後に何か質問は?」という一言。これは単なる社交辞令ではなく、大学への関心度や自主性を測る質問です。
以下のような質問を用意しておくと良いでしょう。
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「○○研究室ではどのような実験に取り組んでいますか?」
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「1・2年次でも実験系の授業は多いのでしょうか?」
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「学内の研究施設は外部公開されているものもありますか?」
もし何も思いつかない場合は、素直な感謝の言葉や入学意欲を伝えるだけでも十分に好印象を残せます。
面接は“評価”ではなく“対話”。自分らしさを大切に
理学部の面接は、単なる一問一答の試験ではなく、「この学生と4年間、学問を共にしたいか?」を見極める場です。だからこそ、自分の中の関心や研究への熱意を、飾らず正直に伝えることが最も大切です。
失敗を恐れるよりも、「どうして理学部を選んだのか」「科学を通してどう社会に貢献したいのか」といった、自分なりの答えを真摯に伝える姿勢が、何より面接官の心に残ります。
最後に:理学部面接の合格の鍵は、「思考の深さ」と「誠実な態度」
理学部の面接では、表面的な知識や丸暗記では太刀打ちできません。
自分の関心を深く掘り下げ、論理的に言語化する力と、対話を大切にする態度が、何よりも求められています。
本番までに、「伝える力」と「考える姿勢」を丁寧に磨き、
自分らしい言葉で面接官と“学問の対話”ができるよう、しっかり準備していきましょう。
あなたの学びの第一歩が、理学部面接から始まります。どうか自信を持って挑んでください。応援しています。
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