ビジネス会計検定試験とは?1級、2級、3級の取得の仕方と比較

by info@remi.website

企業の複雑性が増す中で、グローバルな競争が激化する現代において、正確で実践的な財務情報の取り扱いはますます不可欠となっています。
この状況に即したスキルを身につけることは、ビジネスプロフェッショナルにとって重要な課題となっています。

ビジネス会計検定試験は、こうしたニーズに応え、ビジネスのさまざまな領域で活躍する専門家が持つべき能力を向上させる資格として注目されています。
本記事では、大阪商工会議所が主催するこの試験の3つの級に焦点を当て、各級の内容や特徴をくわしく解説していきます。
業界の要望に合致した知識とスキルを身につけ、ビジネスの成長と発展に貢献する一助となるでしょう。
それでは、各級の詳細な検定内容に迫ってみましょう。

ビジネス会計検定試験とは?

ビジネス会計検定試験は、大阪商工会議所が主催しています。
2007年7月に初めて2級と3級にて実施されました。
そして1級が2010年度第8回検定より実施されました。

日本における簿記や会計関連の検定試験が存在する中で、ビジネス会計検定試験が設けられた経緯は、企業がますます複雑化し、グローバルな経済環境が変化する中で、より高度な財務諸表の理解と分析スキルが求められるようになったことに起因しているのは間違いありません。

ビジネス会計検定試験の背景と目的

・財務諸表の理解と分析の必要性:
企業経営や投資判断において、正確で効果的な財務諸表の理解と分析が不可欠です。
これにより、企業の健全性や将来の成長性を判断できるようになります。
財務諸表は企業の財政状態や業績を数値で示すものであり、これらを理解することは企業の運営に関わる多岐にわたる意思決定において極めて重要です。
また、外部からの投資家や金融機関にとっても、企業の健全性を正確に把握するためには財務諸表の理解が欠かせません。

・ニーズへの対応:
企業のニーズが変化する中で、様々な業界で働くプロフェッショナルが、高度で実践的な財務スキルを身につける必要性が高まっています。
ビジネス環境は急速に変化しており、企業はますます複雑な財務取引や戦略を展開しています。
そのため、従来の財務スキルだけでなく、リーダーシップや戦略的思考も求められるようになっています。
この検定は、変化するニーズに対応するため、高度なビジネス会計スキルを持つプロフェッショナルの育成を目指しています。

・グローバルスタンダードへの対応:
グローバルなビジネス環境において、企業の財務諸表を理解し、比較できるスキルはますます重要となっています。
異なる国や地域での会計基準や税制度の違いに対処するためには、グローバルスタンダードに基づく財務スキルが必要です。
この検定試験は、国際的なビジネス環境においても通用する高度なビジネス会計スキルを持つプロフェッショナルを養成し、国際的な競争に対応する人材の育成を目指しています。
検定合格者は、グローバルな視点で企業の財務データを解釈し、異なる国際基準に基づいた比較を行う能力を身につけることが期待されています。

ビジネス会計検定試験各級の比較

3級

3級の試験は、財務諸表の基本的な理解と分析能力を養うことを目的としています。
一般企業の社員や学生を対象とし、試験では貸借対照表、損益計算書、およびキャッシュ・フロー計算書の基本的な項目と計算構造に焦点を当てます。
試験形式はマークシート方式であり、試験時間は2時間で70点以上の得点で合格となり、合格者数は2023年の10月実施分で2,429人、合格率は70.2%でした。

主な試験内容

・財務諸表の基礎的な構造や読み方に関する基礎知識:
財務諸表の基本的な構造や読み方の理解
貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書の基本的な項目と計算構造についての学習

・財務諸表の基本的な分析:
基本分析
成長率および伸び率の分析
安全性の分析
キャッシュ・フロー情報の利用
収益性の分析
1株当たり分析
1人当たり分析

サンプル問題(公式より引用)

(ア)総資本経常利益率は、売上高経常利益率と、企業の投下資本総額と経常利益を対比し
た総資本回転率に分解できる。
(イ)売上高経常利益率は、X2年度の方が高い。
① (ア)正 (イ)正
② (ア)正 (イ)誤
③ (ア)誤 (イ)正
④ (ア)誤 (イ)誤

答:④

2級

2級の試験は、一般企業の管理職や経営者、経理担当者など、より高度な分析スキルが求められる層を対象としています。
3級で学んだ内容に加え、有価証券報告書の連結財務諸表に焦点を当て、応用的な領域にも触れます。
合格基準は3級と同じく70点以上で、2023年の10月実施分では合格者数755人、合格率は46.7%でした。

主な試験内容

・財務諸表の構造や読み方、財務諸表を取り巻く諸法令に関する知識:
会計の意義と制度
連結財務諸表の構造と読み方

・財務諸表の応用的な分析:
基本分析
安全性の分析
収益性の分析
キャッシュ・フローの分析
セグメント情報の分析
連単倍率と規模倍率
損益分岐点分析
1株当たり分析
1人当たり分析

サンプル問題(公式より引用)

(ア)連結株主資本等変動計算書では、連結貸借対照表の純資産の部を、株主資本、その他
の包括利益累計額、新株予約権、非支配株主持分に区分して表示する。
(イ)連結株主資本等変動計算書において、株主資本以外の項目の当期変動額は純額で表示
する。
① (ア)正 (イ)正
② (ア)正 (イ)誤
③ (ア)誤 (イ)正
④ (ア)誤 (イ)誤

答:①

1級

1級の試験は、経理財務管理職や財務担当役員を対象とし、より高度で総合的な知識と分析力が求められます。
論述式の試験も含まれ、試験時間は2時間30分。合格基準は200点中論述式が50点以上かつ全体で140点以上です。
また、不合格者の中でも得点上位者には「準1級」が認定される制度があります。

主な試験内容
会計情報に関する総合的な知識

・ディスクロージャー:
会社法上のディスクロージャー
金融商品取引法上のディスクロージャー
証券取引所が求めるディスクロージャー
任意開示
ディスクロージャーの電子化
・財務諸表と計算書類:
財務諸表と計算書類の体系
連結損益計算書・連結包括利益計算書・連結貸借対照表・連結キャッシュ・フロー計算書、連結株主資本等変動計算書の内容
財務諸表項目の要点
金融商品、棚卸資産、固定資産と減損、繰延資産と研究開発費、引当金と退職給付、純資産、外貨換算、リース会計、税効果、会計方針の開示および会計上の変更等、連結財務諸表注記と連結附属明細表、セグメント情報、企業結合・事業分離
・財務諸表の作成原理:
概念フレームワーク、会計基準、内部統制

財務諸表を含む会計情報のより高度な分析

・財務諸表分析:
分析の視点と方法
収益性の分析
生産性の分析
安全性の分析
不確実性の分析
成長性の分析
・企業価値分析:
企業価値評価のフレームワーク
割引キャッシュ・フロー法による企業価値評価
資本コストの概念

サンプル問題(公式より引用)

次の文章の空欄( ア )から( ウ )に当てはまる語句の適切な組み合わせを選びな
さい。

連結子会社を有する上場企業(特定事業会社を除く)は、事業年度を3カ月ごとに区分した
期間(第4四半期を除く)について、( ア )の経理の状況等を記載した四半期報告書を、
当該期間経過後( イ )以内に内閣総理大臣に提出しなければならない。なお、四半期連結
財務諸表の範囲に( ウ )は含まれていない。
① (ア)提出会社が属する企業集団 (イ)45 日
(ウ)四半期連結株主資本等変動計算書
② (ア)提出会社が属する企業集団 (イ)60 日
(ウ)四半期連結株主資本等変動計算書
③ (ア)提出会社が属する企業集団および提出会社 (イ)45 日
(ウ)四半期連結包括利益計算書
④ (ア)提出会社が属する企業集団および提出会社 (イ)60 日
(ウ)四半期連結包括利益計算書

答:

(ア)連結子会社を有する上場企業の四半期報告書には、提出会社の経理の状況を含める必要はない。
(イ)四半期報告書は、毎四半期末から 45 日以内に内閣総理大臣に提出しなければならない。
(ウ)四半期連結財務諸表の範囲には、株主資本等変動計算書は含まれていない。

まとめ

ビジネス会計検定試験は、日本の経済環境が急速に変化する中で、企業の財務諸表を理解し、分析する能力を向上させるために設けられた重要な枠組みです。
3級から1級までの各級では、基本的な財務諸表の構造や読み方から、高度で応用的な分析までを幅広くカバーしており、受験者には実務でのスキル向上や経営判断の質の向上が期待されています。

検定試験は、企業が透明性と持続可能な成長を追求する中で、会計情報の適切な理解がますます不可欠となる中で役立っています。
これにより、経営者や経理担当者、投資家などが信頼性の高い財務諸表をもとに意思決定を行い、企業の価値を適切に評価できるようになります。

検定は年々進化し、変化する経済状況に対応するために試験内容がアップデートされ、受験者がより実践的かつ高度なスキルを磨くことが可能となっています。
また、認定制度や準1級の導入など、受験者のモチベーション向上やキャリアの発展に寄与する仕組みも取り入れられ、これにより検定試験は更なる価値を提供しています。

ビジネス会計検定試験を受験することは、個々のキャリアパスにおいて貢献を果たすだけでなく、企業経営や投資の健全な発展に寄与することとなります。試験を通して得られる知識とスキルは、日本の経済を支えるプロフェッショナルとしての一歩を踏み出す鍵となることでしょう。

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  今回ご紹介したビジネス会計検定試験も含まれており、各級で奨励金が給付されています。
  
  興味がありましたら是非ホームページをご確認ください。
    
  ・日本経済大学HPホームページ
    https://www.jue.ac.jp/
    
  ・日本経済大学 資格取得・奨励金給付制度
    https://www.jue.ac.jp/qualification/

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