ビジネス実務法務検定試験とは何か?

資格取得のメリット、試験内容などを解説

by GAWA_K

年々、厳格化されるコンプライアンスを筆頭に企業における法律厳守は、少しでも疎かにすると企業の経営自体にダメージを与える事態になります。そのような風潮のため、企業によっては法令遵守を専門とした部署を設立しているところも、珍しくありません。

コンプライアンス厳守が必須といわれている現在において、注目されている資格が、ビジネス実務法務検定です。この資格はどのような性質のものなのでしょうか。

今回は、ビジネス実務法務検定の資格取得のメリット、資格取得試験の概要・試験内容などについて、詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。

 

ビジネス実務法務検定とは

ビジネス実務法務検定とは、あらゆる仕事に関する法律の知識を習得できる資格です。この資格を取得すれば、企業の法務部門をはじめとした営業や販売、総務や人事など、あらゆる職種で通用する法律の知識を持つ証明になります。

法律に関する正しい知識を身につけることによって、あらゆる仕事上のリスクを回避することが可能です。また、それにより自分が所属、あるいは関わりのある企業だけでなく、自分自身を余計なトラブルから守ることができます。

ビジネス実務法務検定の資格取得試験を運営しているのは、東京商工会議所という団体です。東京商工会議所は、「総合的な商工業の発展」「福祉業界の増進」のために設立された民間団体で、企業・団体の経営支援や地域復興に関する事業を行なっています。

ビジネス実務法務検定だけでなく、ビジネスマネージャー・カラーコーディネーター・福祉住環境コーディネーターなど多数の資格検定を運営しており、商工業の世界においては重要な存在といえるでしょう。

ビジネス実務法務検定は、国家資格ではなく民間資格ですが、東京商工会議所は商工会議所法という法律に従って設立・運営されている団体なので、由緒正しい信頼できる団体といえます。

 

ビジネス実務法務検定の種類

ビジネス実務法務検定は、3つのレベルに分類されています。その人の知識量に応じたレベルを選択できるため、段階を踏んで徐々にステップアップすることが可能です。ビジネス実務法務検定の種類は、以下の3種類になります。

3級

法律に関する基礎的な知識が身につき、試験合格後はビジネス法務リーダーの名称が付与されるのが、3級です。資格取得をすれば、ビジネスパーソンとして最低限の法律実務知識を持っている証明になります。

2級

3級よりも法律に関する豊富な知識量が要求されるのが、2級です。企業での実務経験・弁護士などの他の専門家への相談といった3級にはない対応能力が求められます。資格取得後に付与される名称はビジネス法務エキスパートです。

1級

法務などに関する実務全般に関する知識・スキルを持っている証明になるのが、1級です。膨大な知識に裏付けされたハイレベルな対応・判断が要求されます。資格試験合格後に付与される名称は、ビジネス法務エグゼクティブです。

 

ビジネス実務法務検定・資格取得のメリット

ビジネス実務法務検定の資格取得をした場合、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。次より資格取得のメリットを紹介しましょう。

あらゆる業種で活用できる

ビジネス実務法務検定の資格取得で身についた知識は、商工業に限らずあらゆる仕事において応用がきくのがメリットです。商工業以外にも、営業・人事・総務・販売など、どのような仕事内容であれ適応でき、企業によっては昇格の際の取得必須資格に取り入れているほど、資格所有者は重宝されています。

また、ビジネス実務法務検定の資格で得た知識は、ビジネスシーンだけでなく、日常生活でも役に立つのがメリットです。正しいルールの知識を活かすことによって、公私ともにトラブル回避・リスク軽減が実現します。

コンプライアンス重視の世の中で需要がある

ビジネス実務法務検定の資格取得を達成できれば、コンプライアンスの本質を理解することが可能です。昨今、コンプライアンスという旗印のもとにさまざまな制約が厳しくなっています。

そのような事情を熟知していないと、ちょっとしたことが引き金となり世間のバッシングにさらされることになるでしょう。企業側の些細な落ち度により、単なるクレームだけに収まらない、企業の経営自体を揺るがす大惨事になるパターンは、珍しくありません。

また、こちらに落ち度がなくても、取引先との契約内容をしっかりと確認しなかったばかりに、取引先の失態を被ってしまうケースもあります。このような失敗は、コンプライアンスの重要性を理解していなかったことが原因です。

ビジネス実務法務検定の資格取得をして、法律に関する知識を習得していれば、企業および業務へのダメージを完全に回避、あるいは最小限にとどめることができるでしょう。

法律に関する知識を駆使して、企業および自身の業務を守れるのが、この資格のメリットです。

他の資格取得試験にも役立つ

ビジネス実務法務検定の資格取得をすれば、身につけた知識を活かして他の資格取得に挑戦することも可能です。他の資格、特に国家資格は法律を専門とした資格がいくつもあります。

難関と言われる資格取得試験に合格して資格取得を達成すれば、さらに幅広い知識が身について、対応業務の幅も広がるでしょう。他の資格取得に関しては、後の段落でも詳しく解説します。

 

ビジネス実務法務検定・資格取得試験の概要

ビジネス実務法務検定試験の試験日や受験料などについて、級別に紹介しましょう。

2、3級

2、3級の試験概要は以下の通りです。

・受験資格
特になし(2級からの受験、2,3級の併願受験も可能)

・試験方法
IBT方式(ネット接続可能なPCならどこでも受験可能な方式)、CBT方式(指定のテストセンターでの受験)のどちらかを、申込時に選択

・受験料
IBT方式の場合は3級5,500円、2級7,700円、CBT方式の場合はそれぞれプラス2,200円(CBT利用料金)

・試験申込期間

2、3級ともに、1回目は5月中、2回目は9月下旬〜10月初め

・試験期間
2,3級ともに1回目は6月〜7月上旬、2回目は10月下旬〜11月中旬

・試験形式および試験時間
多肢選択式、90分

・合格発表
試験終了後、web上にて発表

1級

1級の試験概要は以下の通りです。

・受験資格
特になし

・試験方法
CBT方式のみ

・受験料
受験料9,900円+CBT利用料金2,200円

・試験申込期間
11月初旬~ 11月中旬

・試験日
12月中の1日のみ

・試験形式および試験時間
前半90分(集合時間10時)、後半90分(集合時間13時)、前後半ともに論述形式

・合格発表
試験終了後、web上にて発表

 

ビジネス実務法務検定・資格試験合格の難易度、必要な学習時間

ビジネス実務法務検定・資格取得試験の難易度はどれくらいなのでしょうか。次よりそれぞれの級の合格率や合格するために必要な学習時間の目安について紹介しましょう。

合格率

ビジネス実務法務検定・資格試験における、級ごとの合格率は以下のようになっています。

  • 3級:80%前後
  • 2級:40%台
  • 1級:15%前後

このように、合格率は級ごとによって大きな差があるのが特徴です。3級は比較的難易度が低いために、高校生など学生などの受験生も珍しくありません。それに対して1級の合格率は平均して20%にも届かない確率となっているため、相当な学習量を費やす必要があります。

学習時間

では次に、それぞれの級にかかる学習時間をみてみましょう。

  • 3級:約40時間
  • 2級:約60時間
  • 1級:約100時間

このように、級ごとにかかる学習時間は、合格率に比例して差があります。3級と1級では倍以上の差があるため、いきなり1級を受験する人は、相当な量に加えて質の高い学習を行わなくてはいけません。

それに対して2、3級は合格率・合格のための学習時間も1級より下がり、さらに1級と異なり受験期間が年に2回の開催となっています。まずは3級からの受験に挑戦して、着実に実力をつけて徐々にステップアップするのが正しい流れといえるでしょう。

 

ビジネス実務法務検定・資格取得試験内容

ビジネス実務法務検定・資格取得試験の試験内容を、級ごとに紹介しましょう。

3級

3級試験の出題範囲は以下の通りです。法務に関する基本的な内容の理解度が要求されます。

  • ビジネス実務法務における法体系
  • 企業取引に関する法務
  • 契約によらない債権および債務の発生、不法行為など
  • 債権の管理および回収
  • 企業財産の管理および法律
  • 企業活動の法規制
  • 取引の各種規制
  • ビジネスと犯罪
  • 企業と会社の仕組み
  • 企業と従業員の関係
  • ビジネスに関連する家族法
2級

2級試験の出題範囲は以下の通りです。3級の知識を土台とした応用問題となっています。

  • 企業取引における法務
  • 債権の管理および回収
  • 企業財産の管理および活用、法務
  • 企業活動の法規制
  • 株式会社における組織および運営
  • 企業と従業員の関係
  • 紛争の解決方法
  • 国際法務(渉外法務)
1級

難易度の高い1級は、共通問題・選択問題の2つが用意されています。1級試験は、2、3級の試験を総括したうえで、法務に関する高度な理解度・判断力が要求される内容です。

・共通問題
民法・商法を中心に、法律実務問題の出題

・選択問題
特定の業種にて遭遇する可能性のある問題が出題。以下の4つの例から2つを選択して回答

  • 取引上で発生したトラブルを処理
  • 取引関係ではない第三者との間に起きたトラブルを処理
  • 法務関係の上司および弁護士などの専門家に法的トラブルの顛末・処理方法を報告
  • 予防法務的観点からトラブルに発展しそうな問題に対応

 

他資格の取得のためのステップアップにも有利

ビジネス実務法務検定は、他の資格と相性が良いことがメリットです。ビジネス実務法務検定は法律系資格の登竜門と言われており、商法・民法・刑法・労働法・著作権の基礎的なことを学びます。

そのため、この資格取得を足がかりにして、より難易度が高いと言われている国家資格に挑戦しようと試みている人は少なくありません。ビジネス実務法務検定と相性が良いと言われている主な資格は、以下の通りです。

  • 司法書士
  • 行政書士
  • 弁理士
  • 宅地建物取引士
  • 中小企業診断士

これらは取得の難易度が高い国家資格であり、いわゆる独占業務が可能な資格であるため、どんな時代であっても仕事に困ることはないと言われています。そして資格試験のための勉強をする際、ビジネス実務法務検定で得た法律系の基本的な知識は大いに役立つでしょう。

 

まとめ

ビジネス実務法務検定は、あくまで法律に関する基礎的な知識の習得であって、資格取得が独占業務のようにそのまま仕事に直結することはありません。しかし、法律に関する基礎的なことを覚えるため、あらゆる業種に対応できる汎用性があります。

コンプライアンスに関する消費者の視線が厳しくなっている昨今において、法務に関する知識、その知識を活用して業務および企業を保護する業務は、今後もますます需要が高まる資格です。

今のニーズに対応でき、なおかつ他の国家資格の試験にも大いに役立つビジネス実務法務検定は、取得することによって可能性が広がるといっていいでしょう。

 

 

「日本経済大学」では、留学生の就職活動の支援を目的とした、留学生対象の専門ゼミを開講しています。そこでは、BJTビジネス日本語能力テストの受験を推奨し、学習も行っています。

■日本経済大学(都築学園グループ / (学)都築育英学園)

都築学園グループは、「個性の伸展による人生練磨」を建学の精神とし1956年に設立された大学です。2018年に開学50周年を迎えた日本経済大学は、経済・経営の実学に特化した2学部6学科17の専門コースを持っています。日本有数の、留学生を抱える国際色豊かな大学です。

You may also like

You cannot copy content of this page