通関士になるには?!貿易業界においての唯一の国家資格を知ろう!

by info@remi.website

グローバル化が加速する現代において、世界中の物品を輸入・輸出するのは当たり前の社会になっています。
こういった状況下の中で必ず必要になる手続きが「税関」手続きです。
物品を輸出入する際に税関に申告を行う必要があるのですが、この申告業務に関する全般的な知識を持つのが通関士となります。
通関に関するエキスパートであり、「独占業務」を持つ国家資格という背景もあり非常に魅力的な資格になっています。
今回はそんな通関士の仕事内容や資格取得のメリット、試験内容や勉強方法について解説していきます。

通関士になるには?:通関士とは?

そもそも通関士とはなんでしょうか?
冒頭にも記述してあるように税関に関するエキスパートかつ「独占業務」を持つ通関士は、貿易業界の中での唯一の国家資格となります。
通関とは税関を「通す」事を指す意味ですが、通関を行うには様々な手続きや書類を作成しなければなりません。
物品の申告に始まり、関税の計算や納付、インボイスや明細書等の作成が必要になってきます。
こういった作業を依頼人より代行し請け負うことのできる資格になります。

また独占業務というこの資格をもった人しか行えない業務として「通関書類の審査及び記名押印」があります。
現在・未来において今後一切貿易を行わなくなる事は考えづらく、そういった需要が必ず存在する業界で独占業務を持つ通関士は今後のキャリア選択において選択肢を広げる事は間違いありません。

また、通関業法の第十三条において以下のような文言があります。

(通関士の設置)
通関業者は、通関業務を適正に行うため、その通関業務を行う営業所ごとに、政令で定めるところにより、通関士を置かなければならない。ただし、当該営業所において取り扱う通関業務に係る貨物が第三条第二項(第八条第二項において準用する場合を含む。)の規定により一定の種類の貨物のみに限られている場合は、この限りでない。

引用元:法令検索

つまり、通関業務をする会社は営業所ごとに通関士を設置しなければいけないと法律によって定められている為、常に一定の需要があるということになります。

通関士になるには?:通関士の仕事内容

通関士の仕事内容は通関書類の確認や作成が主な仕事になります。

通関士の仕事内容:輸入時の作成書類

輸入時には税関にて輸入(納税)申告書を税関長に提出することが必要になります。
この輸入申告書の他にも幾つか書類が必要になり、

  • 仕入書(インボイス)
  • 包装明細書
  • 船荷証券又は海上運送状(航空貨物については、航空貨物運送状)
  • 運賃明細書
  • 保険料明細書

が必要になります。

また、仕入れする商品によって

  • 他法令の許可・承認証
  • 特恵原産地証明書
  • 減免税明細書

が必要で、これらの申請書や明細書を作成する必要があります。
こういった書類作業を通関士は代行することができます。
また、独占業務である「通関書類の審査及び記名押印」も行うことが可能です。

通関士の仕事内容:輸出時の作成書類

輸出時には税関にて輸出(積戻し)申告書を税関長に提出することが必要になります。
添付書類に仕入書又は仕入書に代わる書類が必要となります。

また条件によっては

  • 包装明細書
  • 輸出関係他法令の許可・承認証等
  • 関税定率法等の規定により、関税の軽減、免除又は払い戻しに関連して輸出申告に際し特定の書類の提出を必要とされている貨物については、その書類
  • 消費税及び地方消費税を除く内国消費税の輸出免税を受ける貨物については、輸出されたことを証明する申請書等

といったものが必要になることから、煩雑を極めます。
こちらでも、独占業務である「通関書類の審査及び記名押印」を行うことが可能です。

通関士の仕事内容:税関検査への立ち会い

輸出入貨物を税関で検査する際に、通関業者が立会う事になります。
この立会人は通関士でなくてはならないと言う事はないものの、実情に詳しいのは通関士なので基本的には通関士が立ち会う事になります。
こういった立会の仕事も行います。

通関士になるには?:資格取得のメリット

上述したように、通関士は様々な業務があり、独占業務の存在から資格取得のメリットが多数あります。

通関士資格取得のメリット①:国家資格である点

通関士資格取得のメリットとしては、やはり国家資格である点がまず挙げられるでしょう。
国が定めたきちんとしたバックグランドのある資格なのできちんと履歴書等でアピールすることができます。

通関士資格取得のメリット②:独占業務がある点

通関士とは?の項目でも記載していますが、通関士は独占業務である「通関書類の審査及び記名押印」があります。
報酬を経てこれらの業務を通関士の資格を持っている人以外が代行を行うのは違法であり、代行する事を考えた時には通関士を通す以外に方法がありません。
よって、税関というものが存在する限り需要は永遠にあり続けるという事です。
社会に出た後は、いかに自分の価値(つまり需要)があるかで仕事の受注率や報酬が変わってきます。
この需要が一定以上存在する資格というのは大変有意義です。

通関士資格取得のメリット③:需要が高い点

上述の通り、国家資格かつ独占業務があり、通関業法の第十三条における通関士の設置という項目があることから貿易をする会社にとって通関士は喉から手が出るほど欲しい人材です。
これはつまり学生の皆さんの今後のキャリアにおいて、職業選択の幅が広がる資格であることを表しています。
通関士を持つ事によって
・物流会社
・海運会社
・航空会社(空運)
・メーカー
等の選択肢が広がる事でしょう。

また、就職先として非常に人気な商社においても重要です。
商社は海外からの貿易を行うことが多々ある為、通関士の資格を持っているのはプラスに働きます。

通関士になるには?:通関士の試験内容

このように貿易業界に必須の通関士ですが、どのような試験が実施されるのでしょうか。

まず通関士試験は例年10月の上旬に一回開催されています。
試験への受験資格については学歴、年齢、経歴、国籍等の制限がなく、誰でも受験することが可能です。
会場は(括弧内は出願先)

  • 北海道(函館税関通関業監督官)
  • 新潟県(東京税関通関業監督官)
  • 東京都(東京税関通関業監督官)
  • 宮城県(横浜税関通関業監督官)
  • 神奈川県(横浜税関通関業監督官)
  • 静岡県(名古屋税関通関業監督官)
  • 愛知県(名古屋税関通関業監督官)
  • 大阪府(大阪税関通関業監督官)
  • 兵庫県(神戸税関通関業監督官)
  • 広島県(神戸税関通関業監督官)
  • 福岡県(門司税関通関業監督官)
  • 熊本県(長崎税関通関業監督官)
  • 沖縄県(沖縄地区税関通関業監督官)

の13都道府県で実施しています。

試験科目は下記の3つです。

  • 通関業法
  • 関税法、関税定率法その他関税に関する法律及び外国為替及び外国貿易法
  • 通関書類の作成要領その他通関手続の実務

通関業法は50分の試験時間で選択式(10問)・択一式(10問)で構成されています。
関税法、関税定率法その他関税に関する法律及び外国為替及び外国貿易法に関しては試験時間が1時間40分で選択式(15問)・択一式(15問)から構成されています。
そして通関書類の作成要領その他通関手続の実務に関しては試験時間が1時間40分で通関書類の作成要領が選択式・計算式(2問)、その他通関手続の実務が選択式(5問)、択一式(5問)、計算式(5問)で構成されています。
合格基準は明記されていませんが、過去問で大体80%の正答率で合格できるといったラインのようです。

過去5年間での合格率は以下の通りです。
平成29年 1,392/6,535 合格率21.3%
平成30年 905/6,218 合格率14.6%
令和1年 878/6,388 合格率13.7%
令和2年 1,140/6,745 合格率16.9%
令和3年 1,097/6,961 合格率15.8%

上記の通り平均で約16%と非常に低い合格率です。国家資格ということもあり、間違いなく難関な資格であることは間違いありません。

通関士になるには?:通関士になるための勉強方法

このように年に一回試験のある通関士ですが、どのように勉強をすれば良いのでしょうか。
通関士試験においては、全ての科目において得点を得なければならない為、得意な科目を一つ作るよりも満遍なく点数が取れるように勤めなくてはなりません。
その為、きちんとした知識を勉強する必要があります。
勉強する範囲は試験科目の3科目になります。
試験内容は過去問からの問が多いと言われているので、まずは過去問を何度も解きましょう。

また、学生の皆さんは日本経済大学をご存知でしょうか。
日本経済大学では資格取得奨励金給付制度を設置し、資格を取得するアナタに奨励金を給付しています。
詳しくは公式サイトをご覧ください。

通関士になるには?:まとめ

以上、通関士になるために必要な情報である、仕事内容や資格取得のメリット、試験内容や勉強方法について解説してきました。

学生の皆さんにとって大切な将来において役に立つであろう資格である通関士。
海外との貿易に必要不可欠な存在である通関士は仕事としても非常にやりがいのある仕事です。
資格取得後の就職には勿論のこと、独立し貿易をする事になった時にも自身が通関手続きを行える点は大幅なコストダウンが見込めます。
世界を相手にビジネスをしてみたい方、まずは税関士を取得してみるというのはいかがでしょうか。

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