まだ社会に出て働いていない学生、あるいは社会人の中には、「自分はどんな仕事が向いているのか」「今の仕事を続けていいのか」と思い悩む人もいるでしょう。
そのような人たちの相談を受けて、その人にふさわしい道を提示してあげるのが、キャリアコンサルタントという職種です。
では、キャリアコンサルタントになるには、どのようなことをすればいいのでしょうか。本日はキャリアコンサルタントになる方法などについて、詳しく解説します。
キャリアコンサルタントとは
キャリアコンサルタントとは、労働者の職業に関する相談・助言・指導(キャリアコンサルティング)を専門とした国家資格、またはその資格取得者専門家です。
- 労働者の職業選択
- 職業生活設計
- 職業能力の開発および向上
上記の件について悩み・疑問を持っている人を対象に、相談やアドバイスを行ないます。キャリアコンサルタントと触れ合うことで実現することは、自分の特性や能力、あらゆる仕事についての理解を深められることです。
それにより、自分に見合った働き方・職種を主体的に選ぶことが実現しやすくなります。相談者にきっかけを与えて、主体的に自身のキャリアを開拓できるように導くのが、キャリアコンサルタントの主な業務です。
そして、キャリアコンサルタントの上位資格として位置付けられているのが、国家資格・キャリアコンサルティング技能士です。この資格は、キャリアコンサルタントより高い能力水準が要求されるため、資格取得のための試験に合格するのはさらに難しいといわれています。
キャリアコンサルティング技能士は、さらに1〜2級と分類されており、1級レベルは、あらゆる場所でリーダーシップが取れる指導レベルです。
キャリアコンサルタントに向いているひと
需要があるといわれているキャリアコンサルタントですが、すべての人がキャリアコンサルタントに適しているとは限りません。
キャリアコンサルタントの資格取得を検討している人は、自分が本当にコンサルティング業務に向いているか、考慮することが大事です。では、キャリアコンサルタントに向いている人とはどんな特徴があるのか、次より紹介しましょう。
過去に仕事や人間関係で悩んだ経験がある人
過去の社会人経験において、ブラック・パワハラ・人間関係などで苦しい思いをした人は、キャリアコンサルタントに向いています。労働環境に不満がある人から相談を受けた場合、自身の実体験をもとにして相談者が具体的にどんなことに悩んでいるかが理解できるでしょう。
コミュニケーションが得意な人
昔から人と話すのが好き、大勢でワイワイやるのが好きな人もキャリアコンサルタント向きです。そのような人はあらゆるタイプの人たちとコミュニケートをしてきた経験があるため、順応性・対応性に長けています。
相手の気持ちを察知する能力が必要なコンサルティングには、そのような人が向いているでしょう。ただし、同じく大勢と交流するのが好きな人でも、大勢に向けての自分アピールが好きな人は、相手の気持ちに寄り添う、人の話を聞く行為に興味がないため、向いていないといえます。
常に向上心がある人
キャリアコンサルタントは、国家資格でありながら、税理士や公認会計士のような独占業務が行なえる「士業」ではありません。しかし独立開業・フリーランスとしてやっていけるための技能により、正社員より高収入が実現することも決して不可能ではありません。
しかし、ただキャリアコンサルタントの資格取得をしただけで、仕事に困らないといったことはありません。多方面の業界の人脈・サービス・スキルの精度を磨く・最新の情報収入など、あらゆる努力を怠らないことが収入アップにつながります。
そのような向上心のある人であれば、努力が成果となって表れやすいキャリアコンサルタントが向いているでしょう。
キャリアコンサルタント試験の受験資格、申請方法
キャリアコンサルタント資格試験は、受験する前に受験資格・申請方法の確認をすることが大事です。では次より、それぞれの詳細について説明しましょう。
受験資格
キャリアコンサルタント試験には受験資格があり、以下の受験資格を一つでも満たしていれば受験資格の対象となります。
- 厚生労働大臣が認定する講習の課程を修了
- キャリアコンサルタント業務の3年以上の経験
- 技能検定キャリアコンサルティング職種の学科試験または実技試験に合格
また、以下に該当する場合、試験免除となります。
- キャリアコンサルタント学科試験または実技試験のどちらかに合格していた場合
- 技能検定キャリアコンサルティング職種の1級・2級の学科試験、実技試験のどちらかに合格したいた場合
受験申請
受験申請は「Web申請」「Web+郵送申請」の2種類があります。申請期間が終了する前に申し込みを済ませなくてはいけません。
Web申請の場合
WEB申請の場合は、次の手順で行ないます。
1.マイページ登録、ログイン
まずやるべきことは、キャリアコンサルタント試験の公式サイトにログインするためのマイページ登録です。登録が完了したらID・パスワードを入力してログインします。
2.受験申請
受験申請を選択して、試験区分・受験資格・希望受験地を選択します。
3.写真、受験資格証明書のアップロード
次にやることは顔写真・受験資格証明書のアップロードです。「Webアップロード」を選択して、顔写真(JPEGデータ)、受験資格証明書(PDFデータ)をアップします。
4.決済方法選択
次にやることは支払い方法の選択です。クレジットカード、コンビニ払いができます。
5.Web申請完了
これで申請は完了です。完了後に登録したメールアドレスに登録情報の確認メールが送信されます。
Web+郵送申請の場合
Webと郵送を併用した申請は次の手順で行ないます。
1.マイページ登録、ログイン、2.受験申請、3.決済方法選択
WEB申請と同様の手順です。
4.必要書類の送付
顔写真を貼り付けた受験申込書、受験資格証明書を郵送します。必要書類はサイト上からダウンロード可能です。
5.申請完了
申請期間の消印は有効ですが、期間を過ぎてからの送付は無効となります。
キャリアコンサルタント資格試験の詳細
キャリアコンサルタント資格試験の日程や試験内容について、以下より説明しましょう。
試験の日程
キャリアコンサルタント試験は年間3回実施されます。日程はその年によって変わりますが、2023年度は3月・7月・11月です。
試験の種類
試験は次の3つが用意されています。
- 学科試験(マークシート形式の筆記試験)
- 論述試験(実技、逐語記録を読み設問に解答)
- 面接試験(実技、ロールプレイ・口頭試問)
学科・論述は同日に行われ、面接は学科・論述試験とは別の日に行われます。
受験料
受験料は、学科試験が8,900円、実技試験が論述・面接と合わせて29,900円となっています。
試験内容
試験内容などを、試験の種類ごとにみてみましょう。
学科試験
出題内容は、キャリアコンサルティングの社会的意義、業務における知識・スキル、市場動向、社会保障、起業支援など幅広い問題が出題されます。試験時間は100分、合格基準は70点以上です。
論述試験
例題を読み、例題で提示された問題に対して、どのような解決策を提案するかを文章で答えるのが、論述試験です。例題を読んで「何を問題としているのか」「それに対して最善の改善策は何か」という対応力が要求されます。
論述試験の試験時間は50分、合格基準は面接試験と合計した90点以上です。
面接試験
面接試験は、ロールプレイ・口頭試問の2つが行われます。ロールプレイは、キャリアコンサルタント業務を実際にやってもらう試験です。的確なアドバイスはもちろん、いかに相談者と信頼関係を築けるかという点も重要です。
口頭試問は、ロールプレイを振り返り、試験官の質問に対して自身のコンサルティングの長所・改善点などを答えます。
試験時間は20分(ロールプレイ15分・口頭試問5分)、合格基準は論述試験との合計点数90点以上です。
試験終了後の流れ(合否の確認、資格登録)
試験の合否は、試験終了の約1ヶ月後に公式サイト上にて発表されますが、合格した場合、資格登録をしなければいけません。登録とは、試験を運営しているキャリアコンサルティング協議会が管理している名簿に登録することです。登録は、web・郵送で行ないます。登録の手順は以下の通りです。
1.公式サイトのマイページに合格証書(学科・実技両方)の画像をアップする
2.以下の必要書類を簡易書留で登録センターに郵送
- キャリアコンサルタント登録申請書 様式第十二号の七
- 登録免許税(9,000 円)
- 住民票(過去3か月以内に取得したもの)
- キャリアコンサルタント登録申請補足書類
3.登録センターで審査
審査は約1ヶ月ほどかかり、審査を通過すればメールにて連絡がきます。審査完了日が登録証の「登録年月日」です。
4.登録手数料の支払い
支払い方法は、クレジットカード(VisaかMaster)決済、コンビニペーパーレス決済です。登録手数料は8,000円で、審査通過の通知メールを確認してからの支払いになります。
5.登録証の交付
登録センターが支払いを確認したら、簡易書留で登録証が郵送されます。交付までにかかる期間は約1ヶ月ほどです。
登録証を入手したことにより、晴れてキャリアコンサルタントを名乗ることができます。
キャリアコンサルタント資格取得後の注意点
キャリアコンサルタント資格試験の受験を完了、あるいは無事に合格した場合、目標達成したばかりに気が抜けてしまい、その後のやらなければいけないことを怠ってしまったという例もあります。
失敗をしないためにも、資格取得後の注意点を覚えておかないといけません。では、資格取得後の注意点とは何か、次より説明しましょう。
名簿登録せずにコンサルティング業務を行なってはいけない
先述した通り資格取得後は、キャリアコンサルティング協議会が管理する登録名簿に登録をしないといけません。
ここに登録をしないままキャリアコンサルタントを名乗ったり、コンサルティング業務を行なった場合、罰則として30万円以上の罰金となります。
資格取得後は、先述した手順で登録を済ませて登録証を入手することが必須です。
自分で積極的に動く
キャリアコンサルタントは、名簿登録をしたからといって自動的に仕事の紹介があるわけではありません。また、登録したてのキャリアコンサルタントはまだ実績がないため、当初はなかなか仕事がみつからないこともあります。
キャリアコンサルタントとして仕事をこなすためには、自分から積極的に動いて実績をつくっていきましょう。あらゆる支援サイトにて求人を探す、同業者との人脈を築く、SNSなどで個人的に募集するなど、積極的に行動することが大事です。
まとめ
キャリアコンサルタントは、多様性がうたわれている昨今において、人材の可能性を開発・発見する重要な役割として、注目されている国家資格です。
キャリアコンサルタントを目指す場合、どのような方法で資格取得ができるのか、どんな人が向いているのか、事前に把握することが大事です。
資格取得のための手順、取得後にやることをしっかりと理解して、スムーズな資格取得を達成しましょう。
「日本経済大学」では、留学生の就職活動の支援を目的とした、留学生対象の専門ゼミを開講しています。そこでは、BJTビジネス日本語能力テストの受験を推奨し、学習も行っています。
■日本経済大学(都築学園グループ / (学)都築育英学園)
都築学園グループは、「個性の伸展による人生練磨」を建学の精神とし1956年に設立。2018年に開学50周年を迎えた日本経済大学は経済・経営の実学に特化した2学部6学科17の専門コースを持つ日本有数の留学生を抱える国際色豊かな大学です。