MBAとは「Master of Business Administration」の略称で、日本語訳である経営学修士とも言われている学位です。一部では公認会計士や税理士などの「資格」と同じ意味合いと思われているMBAですが、大学院に通って学習しないと取得できないため、資格ではなく学位・修士号という定義になっています。
今回はMBAを取得するための具体的な方法、取得した際のメリットなどについて、詳しく解説していきましょう。
MBA取得のメリット
MBAを取得することによって、具体的にどのようなメリットがあるのか、次よりみてみましょう。
企業経営のプロフェッショナルの証明になる
MBA取得によって身に付くのは、以下のような経営に関するあらゆる項目です。
- 経営戦略
- 組織論
- 組織行動学
- 生産管理
- 経済学
- 統計学
- 情報マネジメント
- マーケティング
- アカウンティング
- オペレーションマネジメント
- ファイナンス
MBA取得を達成すれば、企業経営をしていく上で高度な知識をすべてマスターしている証拠になり、就職・転職活動において、高評価が得られます。
英語力が身に付く
MBAを海外の大学院で取得する場合、基本的にはすべて英語でのコミュニケーションとなります。大学院での講義は、クラスメートとのディスカッション・プレゼンテーションなども行うため、相手に自分の意図が伝わるようなコミュニケーション能力が必須です。
日常生活・大学院の講義に加えて、レポートも文章で作成しなければいけないため、英会話能力だけでなく英語による文章作成スキルも磨かれます。
国内だけに留まらず海外でのグローバルな業務を視野に入れている人にとって、英語でのコミュニケーションは必須です。海外での大学院の生活は、英語力が飛躍的に向上するでしょう。
ただし、海外の大学院では、あらかじめある程度の英語スキルがないとやっていけないため、事前に英語スキルを習得しておくことが必須です。
人脈の拡大が実現
MBAは、取得の過程で人脈が広がる機会が増えることもメリットです。MBAの学習の場である大学院には、高い志を持った多くの人たちが集まります。MBA取得は、決して安くはない費用・取得のための労力がかかるのが特徴です。それを無駄にしないように大学院には、最初から高い社会的地位を目指す人、あるいはすでに確固たるキャリアを築いている人たちが集結します。
そのような人たちと接する機会が多いため、質の高い人脈・ネットワークを広げられます。決して簡単ではないMBA取得のために同じ苦労をしたという仲間意識も強固なものになり、大学院修了後も強い絆で結ばれて関係が継続するパターンもしくなくありません。
その人脈は、MBA取得後の仕事においても、仕事やビジネスパートナーの紹介など、大いに活かされることでしょう。公私ともに人との繋がり・質の高い出会いがあることも、MBA取得の利点です。
思考能力が鍛えられる
先述した通り、MBA取得を目指して大学院に通う人たちは、あらかじめ社会人としてのキャリア・実績がある人・これから高い社会的地位を築くことを目標としている人たちです。
その日をなんとなく過ごしている人、ある程度の収入があれば満足という人たちではない、高みを目指した人材が、大学院には集結しています。
そのような人たちに囲まれて切磋琢磨しながら学習を続けていると、人間としての思考能力が鍛えられて、現状に満足せずに常に努力をする習慣が身につきます。
そのような環境にいて思考能力が磨かれれば、知らず知らずのうちに人間としての多くの人を惹きつける、魅力的な人間へと成長できるでしょう。
多くの優れた人材に囲まれて、それが刺激となり、自身の内面を磨けることも、MBA 取得におけるメリットといえます。
MBA取得の手順
MBAは、どのような手順を踏めば取得できるのでしょうか。その手順を以下より紹介しましょう。
1.大学院・ビジネススクールに入学できるための条件を満たす
MBAを取得するためには、習得が可能な大学院・ビジネススクールに入学する必要があります。
大学院・ビジネススクールは誰でも入学できるわけではありません。大学卒業、あるいは大学卒と同等の学力が要求されるため、難易度は高いです。なかには社会人としての実務経験を重視するところもあります。
MBA取得のためには、まず最低限の条件である学力(英語力など)・社会人の実績を身につけなくてはいけません。
2.大学院・ビジネススクールの試験を受けて合格する
大学院・ビジネススクールに入学するためには、試験を受けて合格する必要があります。難易度は高いため、簡単には合格できません。
試験出題範囲は大学院・スクールによって異なりますが、主に経営学・英語力に関する問題が多いです。
3.大学院・ビジネススクールにて必要単位・必要年限を満たす
大学院やビジネススクールに入学したら、講義を受けて必要単位・必要年数を満たすと修了となります。
講義では、課題やテスト、ディスカッションなど幅広く、難易度も高いため、ただ講義に出席するだけでは単位取得とはなりません。
修了までの必要年数は主に2年ですが、大学院・スクールによっては1年半のところもあります。
MBA取得の種類
MBA取得方法の種類は、大きく分けて3つです。その3つの種類について以下より説明しましょう。
国内の大学院・ビジネススクールに通う
国内の大学院・ビジネススクールにて国際認証を取得しているところであれば、MBA取得が可能です。国際取得とは、世界的に認証された水準のMBAプログラムがあることの証明を指します。国際認証がある大学院・ビジネススクールであれば、海外にも負けない高水準のMBAに関する教育を受けられるのです。
現在では、全国の有名大学院であれば、ほとんどの学校が国際認証を取得しています。地方在住の人でも都心へ出向くことなくMBA学習が可能です。
国際認証機関は3つの機関があります。アメリカ・フロリダに本部を構える「AACSB」、イギリス・ロンドンに本部がある「AMBA」、ベルギー・ブリュッセルに本部を構える「EFMD」の3つです。
大学院・スクールによっては3つすべてから認証を受けているところもありますが、1つだけでも問題ありません。3つのうちのどれか1つでも認証を受けているかどうか、確認する必要があります。
海外の大学院に通う
本場のスクールにてMBAを学びたい人、英語力に自信がある人であれば、海外の大学院・ビジネススクールに通うという選択肢もあります。
現地では英語によるコミュニケーションが主流なので英会話・英語による文章作成が上達しますが、海外に行く前にある程度の英語力を身につけないと通用しないでしょう。
本場のMBAを取得するメリットは、国内で取得したMBAより高いブランド力を得られることです。国内でMBAを学べる大学院・ビジネススクールも、国際認証を得ているため、高水準の教育を受けられます。
しかし、本場の環境で取得したMBAは、英語力をはじめ、多くの知識・スキルを吸収したことの証明となるため、就職・転職およびキャリアアップの際に大きな力となってくれるでしょう。
ただし、海外MBAは国内MBA取得よりはるかに費用がかかります。教育ローンを利用して留学する人も少なくないため、そのような方法を知っておきましょう。
国内・海外のオンライン・通信教育を受ける
仕事をしながらMBAを学ぶ場合、苦労するのが仕事と学習の両立です。普段忙しくて勉強のほうになかなか時間をつくることが難しい場合、オンライン・通信教育を選択するという手段もあります。
オンラインであれば、大学院・ビジネススクールに通学することなく、ネット環境さえ用意すれば、好きな場所で学習することが可能です。また、海外留学が無理な場合でもオンライン・通信教育を実施しているところであれば、海外のMBA講義を受けられます。
オンライン・通信講座の場合、通学する必要がないためコスト削減になり、他の学習方法より費用がそれほどかからないというメリットもあります。ただし、2年ほどで修了できなかった場合、長引く分だけ費用がかかる場合もあるでしょう。
MBA取得の際に押さえておくべきポイント
MBA取得を検討している人は、事前にいくつかの大事なポイントを押さえなくてはいけません。大事なポイントをおそろかにすると、MBA取得の学習、MBA取得後の仕事が円滑に行えません。
では、MBA取得における大事なポイントとは何か、次より説明しましょう。
国内・海外どちらのMBAを取得するか決める
MBA取得を目指す際、国内・海外どちらのMBAを学ぶか決めましょう。以下のような国内・海外の特色をしっかりと頭に入れておきましょう。
・国内MBA
- 海外より費用が安い
- 仕事と両立しながらでも可能
- 国内の人脈づくりに活かせる
- 講義が日本語のため苦労しない
・海外MBA
- 国内に比べて費用が数倍かかる
- 留学のため休職しなければいけない
- 国内よりブランド力がある
- 英語力がレベルアップする
国内・海外の特徴を比べて、どちらが自分に適しているか決めましょう。
MBA取得後のビジョンを明確にしておく
MBA取得が大いに役立つ仕事は多々あります。それらを把握してどの職種が自分に向いているか、MBAというブランド・知識・スキルを活かして、仕事上どのように展開していくか、事前に考えておきましょう。
MBAを活かせる仕事の種類は、以下になります。
・コンサルタント
企業が抱える数々の問題に対して適切なアドバイスを行うのが、コンサルタントです。MBA取得により得た知識だけでなく、幅広い人脈による人材の紹介も行います。
・経営企画
経営企画では、MBA取得による戦略・マーケティングの知識が大いに発揮できます。
・財務
企業において重要なポジションである財務は、MBA取得による豊富な専門知識、MBA学習により身についた責任感・集中力が重要となります。
・プロダクトマネージャー
幅広い業務を行うプロダクトマネージャーは、リサーチからの企画立案、流通から管理まで行いますが、豊富で深い知識を持っているMBA取得の人材であれば可能です。
主な職種は以上ですが、それ以外にも、MBAの幅広い知識・スキルがあれば多様な業務をこなすことが可能です。どの仕事がMBA取得後の自分に向いているか、しっかりとビジョンを決めておきましょう。
民間団体の講座には注意
民間団体による講座・コースで「MBA」を掲げているところもありますが、このような団体は注意しましょう。MBAはあくまで修士学位であるため、民間団体が行っている講座・コースはまったくの別物です。このような講座・コースを受講しても、MBA取得にはならないので、注意が必要です。
まとめ
MBAはブランド力のある修士学位であり、あらゆる分野に対応できるものです。MBA取得は簡単ではなく、また費用もかかります。しかし取得さえすれば多方面に通用する知識とブランド力を手に入れられるので、決して損はしません。各業界において確固たるブランドになるMBAを取得して、円滑なキャリアアップを目指しましょう。
「日本経済大学」では、留学生の就職活動の支援を目的とした、留学生対象の専門ゼミを開講しています。そこでは、BJTビジネス日本語能力テストの受験を推奨し、学習も行っています。
■日本経済大学(都築学園グループ / (学)都築育英学園)
都築学園グループは、「個性の伸展による人生練磨」を建学の精神とし1956年に設立。2018年に開学50周年を迎えた日本経済大学は経済・経営の実学に特化した2学部6学科17の専門コースを持つ日本有数の留学生を抱える国際色豊かな大学です。