どんな時代であっても変動することなく、安定した職業というイメージを持つのが、公務員です。公務員は堅実で不況にも強いという印象があるため、公務員になりたいと考えている人も少なくないでしょう。
果たして、公務員になるにはどのような方法があるのでしょうか。今回は、公務員を目指している人、検討している人のために、以下のようなポイントについて解説しています。
- 公務員の定義、その種類
- 公務員のメリット
- 公務員に求められているもの
- 公務員になるための手順
- 公務員になるために必要な準備
公務員を目指している人は、ぜひ参考にしてください。
公務員の定義と種類
公務員とは具体的にどのような定義なのでしょうか。次より公務員の定義、その種類について説明しましょう。
公務員とは
公務員とは、社会の基盤となる部分を担う仕事を行う人たちのことです。
働く場所は、国や地方自治体などで、公務員と呼ばれている職種は、警察官・自衛官・省庁の職員・裁判官・消防士・教員などが挙げられます。
通常の社会人・サラリーマンとの違いは、民間のサラリーマンが個人・企業の利益が目的で働くことに対して、公務員は公共の利益を目的として存在していることです。自分とその家族・在籍する企業のためだけではなく、国民および国民の住みやすい社会づくりのために働いています。
公務員は、その仕事および生活が、法律により保障されているのが特徴です。民間企業・サラリーマンのように時代ごとの景気の浮き沈みに左右されることがないため、いつの時代でも安定した収入・生活が保障されています。各休暇制度も充実しているため、いつの時代でも公務員を希望する人は後を絶ちません。
公務員の種類(1)国家公務員
国家公務員とは、国民の幸せの構築を目的として、日本という国家を構成する要職に就いて働くポジションの人です。
国家公務員が就くポジションは、国家そのものの運営に関わる内閣総理大臣・国会議員・最高裁判官などの特別職、それ以外に分類されます。
特別職以外の種類は、さらに一般職・総合職・専門職に分類される仕組みです。
公務員の種類(2)地方公務員
地方公務員とは、全国にある各自治体の職員・教員、警察官などを指します。
国家公務員が国家規模の運営に関わるのに対して、地方公務員は各都道府県および市区町村の運営に関わるのが特徴です。
国家・地方公務員ともに、時として異動があります。国家公務員の異動エリアが広い全国を対象としているのに対して、地方公務員は都道府県および市区町村内に限られているため、大規模な引越しをする必要がありません。あくまで地域密着型で働くのが地方公務員の特色です。
公務員のメリット
例年、大勢の人が採用試験を受ける公務員には、どのようなメリットがあるのでしょうか。以下よりそのメリットを説明しましょう。
収入の安定
公務員の仕事は民間の仕事と異なり国民の生活に直結した業務です。国に直結した業務のため民間企業より安定しており、安定した収入が保証されています。
ワークライフバランスの保障
公務員の業務は1日の勤務時間が決まっている仕組みです。民間企業もそれは同様ですが、なかには労働基準法を無視した長時間労働・サービス残業が当たり前のところもあります。公務員であればそのような心配はなく、完全週休2日制です。
また、通常の有給休暇をはじめ、育児休暇・出産前休暇なども充実しているため、一部の民間企業のように休めない・休みづらいといった環境ではありません。ワークライフバランスが重視されているため、働きやすい・休暇を取りやすい環境といえます。
スキルアップのための制度も充実
公務員というと事務的な業務が多く、クリエイティブ職のような環境とは異なるイメージがあります。しかし、公務員の環境にも、以下のようなスキルアップのためのサポート制度が充実しているのです。
- 教職員のための休業制度(休業して大学院への修学)
- 海外研修
スキルアップにより業務の効率化・転職する際に有利になるなどのメリットがあります。
公務員にはデメリットもある
収入が安定している・労働環境の良さなどメリットの多い公務員ですが、デメリットと思える点もあります。それは自身の業務成績と収入の関係が曖昧という点です。
民間の職種であれば、自身の営業成績や労働量など、数値化してわかりやすいものであれば、それがそのまま収入に反映されます。しかし公務員の世界はいまだ年功序列の風習が強く、勤務年数によって年収が上がる仕組みとなっているところが多く、業務成績はそれほど収入に反映されません。
また、業務自体が事務的なものが多く、自分のスキルがわかりやすく数値化されないので、自分の実力を発揮して収入アップを目指したい人は、デメリットに感じるでしょう。
公務員に求められている要素、向いている人
不況に強い安定したイメージがあるため、公務員を希望している人は多いでしょうが、あらゆる人が公務員に向いているとは限りません。では、公務員に向いている人、公務員に求められている素質とはどういったものなのか、次より紹介しましょう。
自分の利益追求より社会貢献を考えている人
社会貢献をして世の中の役に立ちたいと考えている人は、公務員に向いています。
個人・企業という単位ではなく、国や全国の地域の経済がどのように動いているか、発展するにはどうしたらいいのか、という構造に興味を持っている人であれば、公務員の業務も苦に感じることなく、こなすことができるでしょう。
自分が動くことによって、公共の利益はどうやって生み出されるのか、という発想ができる人は、それが公務員の役割である社会貢献につながります。
地道な作業が得意な人
公務員に求められることは、地味な業務を長期間にわたって地道に積み重ねていける性格です。派手さはないものの、地味な作業の積み重ねこそが大事であること、それを続けても苦に思わない性格であれば、公務員の仕事も円滑にこなせるでしょう。
また、安定している職種といわれている公務員も、国の経済状況によって日々の業務が変動することもあります。そのような事態に直面しても動揺することなく目の前の業務をコツコツと続ける精神も必要です。
地元愛が強い人
地方公務員を目指す場合、地元愛が強い人であれば日々の業務も苦に思わずに楽しく進められるでしょう。むしろ地元愛が皆無なのに事務的に日々の業務をこなすのは難しいかもしれません。地元愛が強ければ、地元に関するあらゆる場所に精通しているため、業務もスムーズにこなせます。
愛する地元の住民であっても、なかには理不尽なクレームを突きつける人もいるかもしれません。しかし、地元愛が強く地元の環境をより良いものにしたいという思いがあれば、クレームにも快く対応できるはずです。
公務員になるための手順
公務員は国家・地方の2種類がありますが、どちらも1次・2次試験があります。1次試験は筆記による試験、2次試験は面接です。そして公務員試験は、大卒と高卒を対象とした「大卒程度」「高卒程度」という試験に分けられる仕組みです。
それぞれ教養試験・作文(論文)試験があり、大卒程度は専門試験がある場合もあります。全体的に大卒程度試験の方が難易度が高くなっています。
では、大卒程度・高卒程度の試験について、それぞれを以下より説明しましょう。
大卒の公務員試験
大卒で公務員を希望する場合、公務員の「大卒程度試験」を受けて合格しなければいけません。試験の種類は、以下になります。
国家公務員試験・総合職
「キャリア」と呼ばれている公務員総合職は省庁の幹部候補です。国家予算などに関わる国の重要な任務を担当するので、試験の難易度は司法試験に匹敵するほど高くなっています。
国家公務員の一般職および地方公務員(上級)
国家公務員と地方公務員の試験は試験日程が被っていないことが多いので、併願が可能です。試験内容が被っていることが多いので無理のない学習が可能となっています。
警察官や消防官
心身ともに健康であることが求められるのが、警察官や消防官といった公務員です。試験内容は国籍要件・身体的基準も含まれています。他の試験と異なり試験内容が独特のため、学習内容も特別な参考書の購入などが必要となっています。
役所職員
役所勤務で教育などの業務に関わるのが役所の職員です。職員の種類は事務系・技術系に分類され、年齢制限(22〜30歳)もあるため、年齢に関係なく受験できるわけではありません。事務系に関しては独特な試験内容ではなく、ある程度の常識、知識、コミュニケーションスキルが必要です。
高卒の公務員試験
高卒の人が公務員を目指す場合「高卒程度」の公務員試験を受けて合格しなくてはいけません。国家公務員の場合は一般職および専門職、地方公務員の場合は初〜中級レベルの試験が適しています。難易度が高い試験でも学歴が不問の試験もあるので、しっかりと学習をしたうえで挑戦するのもいいかもしれません。
ただし、学歴不問でも年齢制限がある試験もあり、試験によって制限は異なります。どの試験にどのような年齢制限があるのか、事前に確認することが大事です。高卒を対象とした試験は、高度な教養問題などは出ませんが、それぞれの職種によって試験内容が異なるので、しっかりと試験にあった学習をしなくてはいけません。
公務員になるために必要な準備
公務員を目指す場合、事前にどのような準備をしなくてはいけないのでしょうか。次より公務員になるために必要な準備について説明しましょう。
何をやりたいか具体的に決める
公務員を目指す人のなかには「特にやりたい仕事ではないけれど、安定してるらしいからとりあえず目指す」という人もいるでしょう。しかしその場合、モチベーションも上がらずに試験勉強にも集中できません。
ひと口に公務員といってもさまざまな職種があるので、どれをやりたいか事前にしっかりと決めておきましょう。そうすることによって具体的に試験対策が立てられて、学習する姿勢も明確になります。
試験日までの学習スケジュールを立てる
公務員試験はその種類によって試験内容だけでなく日程、申し込み締切日も異なります。自分が目指す公務員の試験日の情報をしっかりと収集して、その試験日に沿った学習スケジュールを立てる必要があります。
しっかりと計画を立てれば、普段の生活に負荷をかけることなく無理のない学習が可能となるでしょう。
面接の対策もしておく
公務員の試験は、面接も重要です。いくら事務的な能力・知識に長けていてもコミュニケーション能力が乏しいと、公務員は務まりません。また公務員の種類によって面接の内容や形態(個人・集団)が異なるので、しっかりと練習をしておきましょう。
通信講座・スクールに通うのもおすすめ
公務員試験の学習は独学でも決して不可能ではありません。しかし勉強に慣れていない人はどうしてもやり方にムラが出てしまい、効率的な学習が行えないパターンが多いです。
効率的な学習を進めたい人、独自に学習スケジュールを組むのが苦手な人は、通信講座やスクールの利用をおすすめします。専門家による確かなカリキュラムが用意されているので、効率的な学習が可能です。
まとめ
どんな不況にも悪影響を受けず安定した収入が得られる公務員という職種は、いつの時代でも多くの人が目指している職種です。公務員を目指している人にとって重要なのは、公務員の種類、メリット、試験の手順とその対策などを把握することといえるでしょう。
そして、自分が公務員に適しているか、自分だけの利益ではなく国や地域のために貢献したいかということを、改めて考えることも大事です。自分にとってふさわしい公務員の職種を選びましょう。
また、独学での学習が不安という人は、通信講座やスクールなどがおすすめです。専門家による指導、アドバイスが受けられます。