日商簿記1級は非常に難しいけれど、大変役立つ資格です!
日商簿記1級は、公認会計士、税理士などの国家資格への登竜門として知られる資格です。
日商簿記1級は日商簿記2級とは桁違いの難易度ですが、合格した際のメリットも計り知れないものがあります。
大企業であれば無駄なく活用できる知識ですが、中小企業の経理職では持て余してしまうくらい高度な会計知識を習得できます。
この記事では日商簿記1級の概要、受験方法、日商簿記1級を取得するメリット、日商簿記1級の勉強方法など、日商簿記1級の取得に役立つ内容を解説します。ぜひ参考にしてください。
【日商簿記1級とは】
「極めて高度な商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算を修得し、会計基準や会社法、財務諸表等規則などの企業会計に関する法規を踏まえて、経営管理や経営分析を行うために求められるレベル。 合格すると税理士試験の受験資格が得られる。公認会計士、税理士などの国家資格への登竜門。」
出典:商工会議所HP https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/class1
日商簿記1級の試験内容は「商業簿記+会計学」「工業簿記+原価計算」に分かれています。
「商業簿記」は、購買活動や販売活動など、社外との取引を記録・計算するスキルであり、「会計学」は、企業に関係する人々に、適切であり正確な報告をするための決算書作成を行うための知識です。
「工業簿記」は、企業内の部門や製品ごとに、材料、燃料、人員などの資源の投入を記録し、計算するために不可欠なスキルで、「原価計算」は、経営を管理するために必要な知識です。
日商簿記検定1級は簿記2級に比べて難易度や合格に必要となる勉強時間が大幅にアップし、更には合格率も下がります。そのため就職・転職の際に高く評価されるでしょう。
日商簿記検定1級は、すべての試験が会場における筆記試験「統一試験」で実施され、「ネット試験」は行われておりません。
【日商簿記1級の日程・申し込み方法・受験料】
①日商簿記1級の日程
日商簿記検定1級の「統一試験」は、6月・11月の年2回です。
②日商簿記1級の申し込み方法
日商簿記検定は、地域の商工会議所が主催しています。日商簿記検定の試験日程は同じですが、申込方法及び申込期間は各商工会議所が定めるものとし、受験者は試験会場を管轄する商工会議所に申込方法を確認する必要があります。
「窓口持参」「インターネット」からの申し込みが主流ですが、他にも電話、郵送、郵便為替、コンビニ端末など様々な方法があります。複数の申請方法がある場所もあれば、1つのオプションしかない所もあります。
申し込みはたいてい試験日の1~2ヶ月前から受付けます。締切日以降は受付してもらえませんので、必要書類を揃えて早めに手続きをしましょう。
③日商簿記1級の受験料
日商簿記検定1級の受験料は7,850円です。
※受験時に変更になっている可能性があるので、詳細は受験前にご確認ください。
【日商簿記1級の内容】
①レベル
日商簿記1級の程度は、大手企業で活躍するために役立つレベルです。
経理や会計の仕事に就きたい就職活動中の学生や、転職活動中の社会人が、簿記1級の資格を保持していれば、それだけで即採用される可能性が高いです。
②出題範囲・重要度の高い分野
非常に高度な「商業簿記」「会計学」「工業簿記」「原価計算」の修得と、「会計基準」や「会社法」「財務諸表等規則」などの「企業会計に関する法規」を踏まえたうえでの「経営管理」や「経営分析」を行う知識が必要です。
「標準原価計算」は、特に出題頻度が非常に高く、また「原価計算基準」などの理論問題も出題される傾向があるのでしっかりと勉強する必要があります。
「商業簿記」の「決算整理仕訳問題」では、3回~9回前(前年~3年前)の会計学で出た問題がリメイク出題される傾向があります。
③時間・合格基準・合格率
試験時間は「商業簿記+会計学」が90分、「工業簿記+原価計算」が90分のトータル180分(3時間)です。合格基準は70%以上ですが、1科目ごとの得点は40%以上となっています。簿記1級の合格率は平均8~10%ほどと低く、簿記2級(約20~30%)3級(約40%~45%)と比べると極めて難しい試験であることがわかります。
【日商簿記1級を取得するメリット】
①就職・転職に役立つ
簿記1級が難関資格であることを、企業で知らない人はいません。難関資格に合格したことの証明になるため、もちろん就職・転職活動での書類選考の通過率も高まります。
また、「経理」や「会計事務所」に応募するのは、志望動機が浮かびにくいのですが、簿記1級を活用して働きたいことが志望動機として強い理由になります。
応募人数の多い大手企業の求人では、書類選考で日商簿記1級をアピールできることは、非常に大きな武器になるでしょう。
②キャリアアップできる
日照簿記1級を取得すると、内勤への異動や、早期昇進に繋がる可能性が高いです。また、手当をくれる企業や年収がかなり上がったりします。収入面の安定にもつながります。
③税理士試験の受験資格が得られる
日照簿記1級を取得すると、税理士試験の受験資格が与えらます。
税理士試験を受けるには、複数ある受験資格のうちの何れか受験資格を満たさなければなりません。しかし、社会人にとっては満たすことが難しい受験資格が多く含まれています。
他の受験資格を得ることが難しい方なら、日商簿記1級の資格取得がおすすめです。
④期限がない
日商簿記は国家試験ではなく、検定試験です。
ほとんどの検定試験には有効期間があり、取得後3年または5年経過すると有効期限が切れるため、再度受験するか、更新する必要があります。しかし、簿記はその必要がなく、一度取得すると一生有効な資格となります。
維持費などもかからないため、時間やお金の面でプレッシャーがなく、将来の仕事や他の資格取得に向けて余裕を持って取り組めることも大きなメリットです。
【日商簿記1級の勉強方法】
①独学で勉強する
独学で勉強する場合、簿記1級を取得するには一般的に800~1000時間程度の勉強時間が必要になります。忙しい社会人や学生の方にとって1000時間はなかなか捻出するのが難しい時間です。毎日1日あたり2時間~3時間勉強しても1年間かかります。
勉強が長期化すると、モチベーションが下がりやすくなるため”効率”を意識した勉強が大切です。
簿記1級の試験範囲は非常に広く、記憶した知識を、1年後~1年半後の試験当日まで保持しなければなりません。
効率良く勉強するにはどうすればよいでしょう?
⑴インプットとアウトプットを同じ日に行う
簿記の知識は、すぐ忘れてしまいがちです。昨日暗記したことも簡単に忘れてしまいます。参考書を読んだ直後に問題集を解かなければ、すぐに内容を忘れてしまい、翌日テキストの同じところの読み直しから開始するような非効率なことがおこってしまいます。
参考書を読みこむことでインプットし、直後に問題集を解くことでアウトプットすることを習慣にしましょう。
⑵まだ脳内にあるうちに復習する
なかなか1度で覚えることができない簿記ではありますが、1週間毎日同じ内容を解き続けるのは、飽きてしまいますし、忘れていない内容を何度もやってもあまり意味がありません。記憶に最適なタイミングは、忘れる頃に思い出す勉強をすることです。自分の忘れやすいタイミングを知ることから始める必要があります。復習はとても重要です。何度も何度も復習してください。
(3)過去問に挑戦する
問題集を繰り返し解き、基礎を理解して数多くの問題を解けるようになったら、次は過去問に挑戦してみましょう。
過去問は、実際の試験と同じ時間で区切り、本番だと思って挑むと良いでしょう。過去問で8~9割程度の得点が取れた場合、かなり理解している状態です。
5割、または5割以下場合は圧倒的に勉強不足です。もう1度参考書から始めて、問題集を繰り返してから、再度過去問に挑戦してください。
また、簿記2級の試験範囲は頻繁に変わるので、過去問だけに頼らず、自分で最新の試験情報を調べることも忘れずにしましょう。
②スクール・学校で学ぶ
独学ではモチベーションを保つのが大変で、途中で挫折してしまいがちです。しかしスクール・学校に通えば講師がいて、一緒に勉強する仲間もいるため、継続して勉強しやすい環境になります。
生活リズムが定まっていて、通学にかかる時間や講座時間を確保できる人に合っている方法です。
③通信講座で学ぶ
スクール・学校に通う時間がない場合、通信講座がお勧めです。通信講座なら、深夜、早朝、仕事の合間時間など、自分の好きな時間に学習することが可能です。独学との違いは、参考書や問題集が用意されていて、理解できない部分を質問できることです。
通信講座各社が毎年の試験傾向を分析しており、その傾向に合わせた対策をしてくれるのもメリットです。
④大学で学ぶ
大学進学を考えていて、将来的に企業で働く意思のある高校生は、日商簿記検定に必要な授業のある大学や専門学校、そして学部を選ぶことをお勧めします。
1番最適な方法は、就職したい業種の関連分野が学べる大学・学部に進学して日商簿記検定を取得することです。
以下は、簿記が学べる大学の主な学部です。希望する大学のホームページなどで確認してみましょう。
・経済学部
・経営学部
・商学部
資格取得やインターンシップといったキャリアサポートが充実している、日本経済大学の福岡校・渋谷校・神戸校の経営学科、商学科には、在学中に取得可能な資格に日商簿記が含まれています。
多くの大学が3年次から就活支援を開始する中、日本経済大学では1年次からキャリアデザインを形成し、就職活動を見据えた支援をしています。1年次から将来のビジョンを持ち、専門分野を学べるのが日本経済大学の特徴です。
おわりに
日商簿記1級を取得するために必要な内容を紹介させていただきました。いかがでしたでしょうか?
日商簿記1級を持っていると社会に出るために非常に大きなメリットとなります。将来の就職活動、転職活動、スキルアップを目指して、是非日商簿記1級の取得を目指してみませんか?