ビジネスキャリア検定は、就活・転職の際のアピールポイントになるのではないかという思いで、取得を検討している人もいるかもしれません。しかし、ビジネスキャリア検定は、自身のキャリア形成において本当に役立つ資格なのでしょうか
今回は、ビジネスキャリア検定の特徴、資格試験の概要などについて、詳しく解説していきます。ぜひ参考にしてください。
ビジネスキャリア検定とは
ビジネスキャリア検定とは、仕事に必要な専門性の高い知識・スキルを持っているかを評価する検定・民間資格です。
ビジネスキャリア検定とは、特定の一つの職種ではなく、人事・経理・営業・経営戦略など、複数の分野の検定が用意されており、それぞれの分野がさらにレベル別・資格区分別に分かれています。自分の得意分野・これから身につけたい分野を選択することが可能です。
ビジネスキャリア検定の取得、あるいは取得に向けての学習をすることによって、仕事に必要な知識・スキルをマスターできるために、資格取得をすればその分野においての実力があることの証明になります。
ビジネスキャリア検定の受験者数は、累計60万人以上です。年に2回の試験実施、全国どこでも受験可能なために、他の資格に比べるとハードルが低い資格といえます。
ビジネスキャリア検定のメリット
ビジネスキャリア検定を取得した場合、どのようなメリットがあるのか、いくつかの具体的なメリットを次より説明しましょう。
業務の基礎的な知識・スキルが身に付く
ビジネスキャリア検定取得のメリットは、業務の基礎的な知識・スキルを持っている証明になることです。新人として企業に入社した場合、社会人としての業務経験がないために1から仕事を覚えなくてはいけません。
しかし、ビジネスキャリア検定を取得していれば、その分野の基本的なことをすでにマスターしているため、覚える必要がなく、企業側も指導をする手間が省けます。
最初からキャリアアップを希望して能動的に業務をこなしたい人は、この資格の知識に加えて少しの経験を積めば、同期入社の人材よりも、早くキャリアアップが期待できるでしょう。
自身の得意・不得意分野が明確になる
ビジネスキャリア検定は、自分の得意分野を明確にできることもメリットです。学生時代に自分の将来を考えた場合、どの分野が自分に適しているのかわからない人もいるでしょう。
ビジネスキャリア検定の資格試験は、多くの職種の分野・等級・区分が用意されているため、学生時代にいくつかの分野の試験に挑戦すれば、徐々に自分の得意分野が絞られてきて、自分がどの分野に進めばいいのかはっきりと認識できるでしょう。自身の特性を客観視できることも、ビジネスキャリア検定のメリットです。
自発的な学習姿勢が身に付く
ビジネスキャリア検定の資格取得を目標とした場合、能動的に学習する癖がつくこともメリットです。学生・社会人ともに仕事・学業・プライベートと時間を過ごす中で、なかなか自主的に勉強しようという時間を持つことは、難しいといえるでしょう。
しかし、資格取得という目標を設定してなおかつ受験料を支払っておけば、否が応でも勉強せざるを得なくなります。仮に試験が不合格だったとしても、勉強をする気持ち・勉強時間をつくるノウハウが身に付くため、試験以降も自発的に勉強する姿勢が継続されるでしょう。
ビジネスキャリア検定の等級
ビジネスキャリア検定の分野は、その人のレベルに合わせて等級を選べることが特徴です。ビジネスキャリア検定の等級にはどのような種類があるのか、次より紹介しましょう。
BASIC級
あらゆる分野の初心者・入門者向けの等級がBASIC級です。主に学生や社会人経験のない新人が多く受験する傾向があります。初心者向けのためどの分野も合格率80%前後と高く、比較的簡単に試験に合格できるでしょう。
3級
BASIC級よりワンランク上の等級が3級です。BASIC級より難易度は若干上がり、分野によっては合格率が50%ほどの場合もあります。社会人として少しの経験を積んだ人材向けといえるでしょう。
2級
社会人としてのキャリアをスタートさせ、新人を脱して後輩も増えつつあるキャリアの人材を対象としているのが、2級です。合格率も分野によっては50%以下のところもあり、難易度が高めとなっています。管理職クラスを目指す人におすすめの等級です。
1級
等級の中で最も難易度が高く、実務経験も10年クラスの人材を対象としているのが、1級です。企業の上位の重要な役職としての立案能力などが要求されます。
ビジネスキャリア検定の分野
ビジネスキャリア検定は、8つの分野が用意されているのが特徴です。それぞれの分野に等級・試験区分が設定されており、区分は合計41種類となっています。では、ビジネスキャリア検定の分野について、以下よりそれぞれ説明しましょう。
人事・人材開発・労務管理
人員計画の作成や従業員採用、就業管理や福利厚生、安全衛生や労使関係、人材育成などを担当するのが、人事・人材開発・労務管理です。BASIC級はなく、1〜3級の等級が用意されています。
1級はリスク管理を行うマネジメント能力、2〜3級は人事制度の運用・健康・メンタル管理、福利厚生などが試験対象です。
経理・財務管理
会計情報の作成・配信、資金に関する計画作成と管理などを行なう業務が、経理・財務管理です。1〜3級が等級として用意されており、会計伝票処理や納税申告などに関する経理、資金調達・経営分析業務などが区分となっています。
営業・マーケティング
営業職に関しての知識・スキルを習得するのが、営業・マーケティング分野です。「営業」「マーケティング」が区分として用意されています。
生産管理
受注案件の内容を把握しての資金調達・資材調達や工場などの現場管理などを習得するのが生産管理の分野です。区分は、生産管理プランニング・生産管理オペレーション」に区分されています。
企業法務・総務
企業における法律に関する業務を習得するのが、この分野です。企業法務・総務の区分があり、法律、オフィス環境の整備などを学びます。
ロジスティクス
物流の運送や管理のシステム作成、仕組みの管理によって需要と供給のバランスを取る業務である、ロジティクスに関する知識を学ぶのが、この分野です。
この分野は、ロジスティクス管理、ロジスティクスオペレーション、ロジティクスに区分されています。
経営情報システム
情報化戦略を策定してシステム化を図る業務である経営情報システムを学ぶのが、この分野です。情報化企画・情報化活用という区分になっています。
経営戦略
目標を設定して目標達成のための戦略を作成する経営戦略に関する知識を習得するのが、この分野です。等級ごとに経営戦略の区分があります。
ビジネスキャリア検定試験の概要
ビジネスキャリアの試験日程は、前期と後期に分かれています。事前にどの分野・区分が前期・後期なのか、確認することが大事です。試験日や受験料などは、以下の通りになっています。
試験前期
- 受験申請期間:毎年4月〜7月
- 受験票の送付:試験実施日の約2週間前
- 試験実施日:毎年10月
- 合格発表日:2〜3級は毎年11月、1級は12月
・試験前期の分野・項目の種類
- 1級人事・人材開発・労務管理
- 1級経理・財務管理
- 1級営業・マーケティング
- 1級生産管理
- 1級企業法務
- 1級ロジスティクス
- 1級経営情報システム
- 1級経営戦略
- 2級人事・人材開発
- 2級労務管理
- 2級経理
- 2級財務管理(財務管理・管理会計)
- 2級営業
- 2級マーケティング
- 2級生産管理オペレーション
- 2級生産管理プランニング
- 2級企業法務(取引法務)
- 2級企業法務(組織法務)
- 2級ロジスティクス管理
- 2級総務
- 2級経営情報システム(情報化企画)
- 2級ロジスティクス・オペレーション
- 2級経営戦略
- 2級経営情報システム(情報化活用)
- 3級財務管理
- 3級営業
- 3級労務管理
- 3級人事・人材開発
- 3級経理(原価計算)
- 3級経理(簿記・財務諸表)
- 3級マーケティング
- 3級生産管理プランニング
- 3級生産管理オペレーション
- 3級企業法務
- 3級総務
- 3級ロジスティクス管理
- 3級ロジスティクス・オペレーション
- 3級経営戦略
- 3級経営情報システム
試験後期
- 受験申請期間:毎年10月〜12月
- 受験票の送付:試験実施日の約2週間前
- 試験実施日:毎年受験申請の翌年2月
- 合格発表日:試験実施年の毎年3月
・試験後期の分野・項目の種類
- BASIC級生産管理
- BASIC級ロジスティクス
- 2級人事・人材開発
- 2級労務管理
- 2級経理
- 2級財務管理(財務管理・管理会計)
- 2級営業
- 2級マーケティング
- 2級生産管理オペレーション
- 2級生産管理プランニング
- 2級企業法務(取引法務)
- 2級企業法務(組織法務)
- 2級ロジスティクス管理
- 2級総務
- 2級経営情報システム(情報化企画)
- 2級ロジスティクス・オペレーション
- 2級経営戦略
- 2級経営情報システム(情報化活用)
- 3級労務管理
- 3級人事・人材開発
- 3級経理(簿記・財務諸表)
- 3級経理(原価計算)
- 3級財務管理
- 3級営業
- 3級マーケティング
- 3級生産管理オペレーション
- 3級生産管理プランニング
- 3級企業法務
- 3級総務
- 3級ロジスティクス管理
- 3級ロジスティクス・オペレーション
- 3級経営情報システム
- 3級経営戦略
・受験料
- BASIC級:3,300円
- 3級:6,200円
- 2級:7,700円
- 1級:11,000円
・試験会場
全国の指定施設、研修や人材開発センターなど。会場への直接の連絡は禁止されているため、不明な点があった場合、試験の運営期間である中央職業能力開発協会ホームページで詳細を確認、あるいは問い合わせる必要があります。
ビジネスキャリア検定の資格取得に向いている人
ビジネスキャリア検定はどんなタイプの人に向いているのでしょうか。次より向いている人の特徴を紹介しましょう。
自分の将来の方向性が定まっていない人
ビジネスキャリア検定は、あらゆる分野が用意されており、難易度も他の資格に比べたらそれほど高くはありません。受験料も等級によっては高額ではないために、実力試しのように気軽に挑戦できるといえるでしょう。
いくつかの分野の試験に挑戦をして、どんなジャンルが自分に適しているのか、自分の特性を確認したい人におすすめです。
あらゆる分野の基礎を習得したい人
学生時代は社会人になっても学生気分が抜けなくて社会でやっていけるのか不安という人もいるでしょう。そのような人は、基礎の知識・スキルを習得できるビジネスキャリア検定の取得を検討してみるといいでしょう。
ビジネスキャリア検定では専門性の高い高度なスキルの取得はできませんが、基礎的なスキルだけでも習得していれば、社会人になっても心強いといえます。
今後、他の資格にも挑戦したい人
ビジネスキャリア検定は、他の資格取得試験に比べると難易度は高くないため、この資格に挑戦して基礎的な知識を学び、それを足がかりに難易度の高い国家資格などに挑戦するという段階を踏むこともおすすめです。
資格試験とはどういったものであるか、この資格試験で体験をしておけば、他の資格に挑戦する際に緊張することなくスムーズに受験できるでしょう。
まとめ
ビジネスキャリア検定は、あらゆる分野が揃っており、さらに試験の難易度も優しいため、資格取得の腕試し・初めての挑戦として受験してみることをおすすめします。
自分にとってどのような仕事が適しているのか、それを探し出す際に利用するのもいいでしょう。
「日本経済大学」では、留学生の就職活動の支援を目的とした、留学生対象の専門ゼミを開講しています。そこでは、BJTビジネス日本語能力テストの受験を推奨し、学習も行っています。
■日本経済大学(都築学園グループ / (学)都築育英学園)
都築学園グループは、「個性の伸展による人生練磨」を建学の精神とし1956年に設立された大学です。2018年に開学50周年を迎えた日本経済大学は、経済・経営の実学に特化した2学部6学科17の専門コースを持っています。日本有数の、留学生を抱える国際色豊かな大学です。