企業の経営、あるいは経営学に関する資格はいくつか存在しますが、他の有名な国家資格に比べると知名度があるとはいえないのが、経営学検定(マネジメント検定)です。
この資格は、どのような性質の資格なのでしょうか。今回は経営学検定の資格取得のメリット、経営学検定資格試験の概要などについて、詳しく解説します。
経営学検定とは
経営学検定(マネジメント検定)とは、大学教授や実務家で構成されている機関・経営学検定協議会および経営学検定実施委員会によって、管理・運営されている資格です。資格取得試験の問題作成・採点は、経営学に関する専門家である大学教授や実務家が担当しており、日本マネジメント学会も協力しています。
経営学検定の学習・資格取得で得られる知識は、経営に関する基礎的な分野です。この資格を取得すれば、一定水準の経営および管理・問題解決能力などが身に付きます。
資格は、3つのレベルに分類されており、その時のレベルに合った試験が選べる仕組みです。
経営学検定(マネジメント検定)資格取得のメリット
経営学検定の資格を取得すると、どのようなメリットが生じるのでしょうか。その代表的なメリットを2つ、以下より紹介しましょう。
知識所有の証明になる
経営学検定の資格取得を達成すれば、経営・マネジメントに関する一定の知識を所有している証明になります。経営学検定で学ぶことは、経営・企業・業務マネジメントにおける基礎的および専門的知識、その知識を活かした応用能力などです。
人によっては、社会人になってからさまざまな経験をしてそのような知識を習得する、あるいは独立開業をするために経営学の基礎を学ぶという人もいます。しかし学生時代などの早い時期に経営学検定の資格取得をしていれば、社会人になってから覚えるという段階は必要ありません。
また、就活・転職の際にこの資格取得をアピールすれば、入社してからの人材育成の際に基礎的な知識を教える必要はないため、企業側からも即戦力が期待されるでしょう。
他の資格と相性が良い
経営学検定は、他資格のように独占業務を手掛けられるわけではないため、取得しているだけで仕事に困らないといった状態にはなりません。
しかし、経営学検定の取得で得た知識は、他資格にも大いに活かすことが可能です。経営学検定と相性の良い他資格は以下の種類があります。
- 中小企業診断士
- 経営士
- 公認会計士
- 税理士
- 社会保険労務士
- 日商簿記検定
- ビジネス実務法務検定
- ビジネスマネジャー検定
- マーケティング・ビジネス実務検定
- 企業経営アドバイザー
- 秘書技能検定
これらの資格試験の学習をする際、経営学検定で学んだ情報を応用できます。上記の資格取得をする前に、まずは経営の基礎的な知識である経営学検定の資格取得に挑戦という手順を踏む人は少なくありません。
経営学検定(マネジメント検定)資格試験は3段階のレベルがある
経営学検定はひとつだけでなく、全3種類のレベルで構成されています。そのため、受験者の学力・レベルに合わせて試験の難易度の選択ができるため、無理のないレベルアップ・学力向上が可能です。
では、経営学検定の3種類とは何か、以下よりひとつずつ紹介しましょう。
初級
経営学に関する初歩的・基礎的知識を判定するのが、経営学検定・初級です。この資格を取得すれば、大学2〜3年生、あるいは短期大学卒業生レベルの経営学に関する知識がマスターできます。
中級
初級よりワンランクアップしたレベルが中級です。初級で身につけた知識を応用して、専門的知識の習得・経営に関する課題が発生した場合、解決・改善するための分析能力を学習します。
この資格を取得すれば、社会人としての基礎要素である経営学の知識・応用能力を身につけることが可能です。
上級
経営学検定の最上級なのが、上級です。経営の高度な専門的情報・経営能力の実践力について学習します。
この資格を取得すれば、大学院生の経営学専攻(MBA)レベルの専門的知識のマスターが可能です。また企業においては経営幹部の候補として期待できる能力が認められます。
資格試験の日程、受験料金など
経営学検定の資格試験の日程や受験料金はどうなっているのか、次より級ごとに説明しましょう。
初級
経営学検定・初級の試験日程などは以下の通りです。
- 試験日程:毎年11月〜12月中旬
- 申し込み受付期間:10月〜試験の3日前まで
- 受験料金:4,950円
中級
中級の試験に関する情報は以下の通りです。
- 試験日程:毎年6〜7月・11〜12月中の計2回
- 申し込み受付期間:5月中旬〜試験の3日前、10月〜試験の3日前まで
- 受験料金:1・2回とも4,950円
上級
上級の試験の詳細は以下の通りです。
- 試験日程:毎年7月(1次)・9月(2次)
- 申し込み受付期間:6月中旬〜試験の3日前(1次)、8月〜試験の3日前(2次)
- 受験料金:8,800円(1次)、28,600円(2次)
- (上級のみ中級合格が条件)
試験会場
試験会場は全国300ヶ所以上のパソコンスクールなどで実施され、好きな会場の選択が可能です。上級試験1次のみ、指定された日程となり、2次試験は会場が東京のみとなっています。
受験票
特定の受験票は存在しませんが、試験当日は身分証明証の提示が必要です。
申し込み方法
試験の申し込みは、受験者専用サイトからの申し込みになります。
申し込み方法の手順は以下の通りです。
- 専用サイトにアクセス
- 受験者マイページに登録して、登録後にログイン
- 申込画面に移行して、検定試験のタイプ・希望する日時・会場を選択
- 支払い方法を選択、所定の日時までに支払いを完了させる
- 申し込み完了後、確認メールが届くので内容を確認
支払い方法は、以下の方法が用意されています。
- クレジットカード
- コンビニエンスストア/Pay-easy
- 受験チケット事前購入
コンビニ/Pay-easyの場合、支払い期限を過ぎると自動的にキャンセルとなります。
試験の合否通知
初級・中級は、試験終了後、会場のスコアレポートをプリントアウトして合否の確認ができます。上級は1次試験のみ試験が終了してから約3週間ほどで合否を通知する決まりです。合格証は希望者のみ有料(発行手数料1,100円)で発行されるため、合格証が必要な人は事務局にお願いしなくてはいけません。
経営学検定資格試験の内容
経営学検定の資格取得試験は、具体的にどのようなことが出題されるのでしょうか。次より経営学検定の資格試験の詳細を、級ごとに説明しましょう。
初級
経営学検定・初級の試験内容は、以下の通りです。
・企業システム
企業における経営の仕組み、会社機関とコーポレート・ガバナンス、日本型企業システムなど
・経営戦略
経営戦略の体系およびロジック、事業戦略、機能別の戦略、経営戦略の策定および経営環境など
・経営組織
組織に関する基礎的なロジック、経営組織の基本形態、組織の制度や管理および文化など
・経営管理
経営管理における基礎理論、経営・管理機能、リーダーシップやマネジメントプロセス、経営計画やコントロールなど
・経営課題
M&Aおよび買収防衛策、経営におけるグローバリゼーション、情報化社会への対応、企業の社会的責任(CSR)および企業倫理、環境経営など
以上の出題範囲から50問出題されます。試験時間は90分です。
中級
中級試験は以下のように分類されています。
・第一分野
1.マネジメント
2.人的資源管理
3.経営法務
・第二分野
4.マーケティング
5.IT経営
6.経営財務
1.〜6.までの出題課題は以下の通りです。
1.マネジメント
マネジメントの基礎・経営における戦略・組織のデザインおよびマネジメントマネジメント能力・組織内部の統制
2.人的資源管理
人的資源管理の原理・人事制度とスキル開発・労務管理およびその関係など
3.経営法務
企業経営、組織と法務・企業取引と法・企業活動における法規制・企業の紛争と法
4.マーケティング
マーケティングのコンセプト・マーケティングリサーチと標的となる市場・マーケティングプログラム・マーケティングの将来性など
5.IT経営
企業経営、経営情報システム・情報処理とICTシステム・ICTシステム開発・経営情報システム情報セキュリティ
6.経営財務
経営財務の定義・資本市場における投資・企業価値・業績評価と経営の分析・資金調達と資本の構成・管理会計など
第一分野・第二分野ともに50問が出題されます。試験時間はそれぞれ90分です。
上級
上級試験は、1次試験・2次試験があります。出題範囲、試験時間は以下の通りです。
1次試験
・経営に関するケーススタディ(試験時間:120分)
2次試験
・経営課題に関するレポートの作成(自宅作成して事前提出、作成期間は2週間ほど)
・レポートのプレゼンテーション(パワーポイントで作成した課題レポートのプレゼンテーションを約10分、質疑応答を約5分)
・グループ・ディスカッション(5〜7人のグループでディスカッションを約40分ほど実施)
将来のキャリアアップを目指すには
経営学検定は、経営に関する基礎的な知識を習得した証明になる資格ですが、他資格のように資格所有をしているだけで特殊な業務を一任される資格ではありません。
社会人として大きなキャリアアップ・収入アップを目指す場合、経営学検定と相性の良い資格を取得するのがおすすめです。では、経営学検定で得た知識を活かせる資格とは何か、次より紹介しましょう。
中小企業診断士
経営に関する実務的な知識が習得できるのが、中小企業診断士です。この資格の強みは就職や転職の際の強いアピールポイントになる国家資格であることです。
知名度のある資格であるため、資格試験の難易度も高いですが、経営学検定で得た基本的な知識は試験勉強において大いに役立つでしょう。
税理士やフィナンシャルプランナーなどもおすすめです(ファイナンシャルプランナーは簡単ですが国家資格です。ただしそんなに役立つとはいえませんけど)。
税理士
税に関するスペシャリストである税理士は、企業の税金に関する業務を一任される機会の多い、重要な職種です。税理士は企業と深い関係であるため、経営コンサルティング業務も兼任する人もいます。経営学検定と税理士の知識があれば、幅広い業務が担当できるでしょう。
社会保険労務士
社会保険・労働に関する専門家なのが、社会保険労務士(社労士)です。社労士として企業と深く関わることの多い社労士は、経営学の知識も持っていれば、あらゆるタイプの顧客に対応できます。
まとめ
経営学検定は、経営に関する基礎的な知識を習得できる資格です。あくまで基礎的な分野のみの学習ですが、あらゆる他資格と相性が良い万能の資格といえるでしょう。この資格を取得して基礎的な知識を身につけたら、多くの資格取得の勉強の際にその知識が活かせます。
また、経営に関する知識があれば、社会人としてさまざまな人と出会った際、その知識を活かしてコミュニケーションが測れるでしょう。目上の人からも「この若者は社会人としてしっかりと勉強している」という好印象を与え、それがきっかけで人脈が拡大することもあるかもしれません。
多大なメリットのある経営学検定は、資格試験の難易度は決して高くないため、この機会に取得を検討してみてはいかがでしょうか。
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■日本経済大学(都築学園グループ / (学)都築育英学園)
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