工学部を目指す受験生にとって、面接試験は大きな山場の一つです。筆記や小論文などの筆記試験とは違い、面接では「人間性」や「熱意」「将来像」といった本人の内面・個性が直に問われます。特に理工系の進学を志すうえでは、「なぜこの工学分野に興味を持ったのか」「将来どんな形で世の中に貢献したいのか」といった問いに、自分なりの言葉でしっかり答えられることが重要となります。
工学部の面接を受ける際に押さえておきたいポイントや準備方法、さらに面接でよく聞かれる質問の例と対策を詳しく解説します。最後に、工学部志望の受験生にとっては志望場所としては、外れますが文転する場合実学的で参考になるよう、本学もご紹介させていただきます。
1. 工学部面接の特徴
1-1. 理系的な志向・論理的思考が問われる
工学系学部の面接では、文系学部と比べてより論理的・実証的な思考が重視される傾向があります。もちろん面接は「人柄」「コミュニケーション能力」を見る場でもありますが、工学分野の場合、具体的に**「何を学びたいのか」や、将来的に「どのようなプロジェクトを手掛けたいか」**という理系特有の視点が盛り込まれることが多いのです。
たとえば機械工学志望なら、「ロボットをどう活用して社会を変えたいのか」「自動車のどの技術分野に魅かれているのか」など、自分なりの視座があるかどうかが問われます。面接官も工学の専門家であるケースが多いため、漠然とした表現ではなく、ある程度の専門的知識を交えつつ、自分の意見や関心を論理的に話す力が求められるでしょう。
1-2. ものづくりの意欲・探究心をアピールできる
工学部の面接で「なぜこの学科・分野を選んだのか」と問われたとき、自分のものづくりに対する興味や、科学・技術への熱意を示すことで、面接官に強い印象を残すことができます。たとえば、「子どもの頃からラジコンを改造するのが好きだった」「高校で電子工作の部活動をしてみて、回路設計に興味を持った」「プログラミングでアプリを作ってみた」といった体験談があれば、積極的に活用しましょう。
ただし、その際も「好きだから」「面白いから」という感情表現だけでなく、どのような工程が面白いのか、何を学ぶことで改良できると思ったのかなどを踏まえて話すと、より説得力が増します。
1-3. 将来像と社会貢献
工学部の場合、「将来どんな仕事がしたいですか?」あるいは「学んだことをどう社会に役立てたいですか?」といった質問が出ることがあります。これは、「技術者としての資質」を見るうえで欠かせない質問です。人々の生活を便利にしたいのか、環境問題を解決する技術を作りたいのか、あるいはAIやIoTなどの先端分野で活躍したいのか――しっかりと自分のビジョンを言語化することがポイントです。
理想論だけでなく、「○○という社会課題があって、自分はそれを技術で解決するエンジニアになりたい」と具体的に語れると、面接官は「この学生は将来に対する意識が高く、目標に向けた努力ができる人物だ」と評価するでしょう。
2. 工学部面接の準備ポイント
2-1. 志望動機を論理的に整理する
文系学部以上に、**「なぜ工学を学びたいのか」**が明確になっているかどうかは、面接での大きなアピール材料です。
- きっかけ:例えば高校の物理や化学の実験で感じた興味、部活動やコンテストでの経験など
- 学びたい領域:機械工学なのか、電気電子工学なのか、それとも情報工学なのか――自分が特に力を入れたい分野を挙げ、理由を述べる
- 将来のビジョン:学んだ技術をどのように応用・発展させたいのかを具体的に
論点があちこち飛ぶのではなく、一貫したストーリーとして語れるようにしておくと良いでしょう。たとえば、「幼少期の経験→高校での学習や活動→工学部での学び→将来の職業・役割」という流れで話が繋がっていると、面接官も理解しやすくなります。
2-2. 高校での学習・研究活動を振り返る
理工系の受験生であれば、高校時代に以下のような活動実績や経験を持っている方も多いはずです。
- 科学オリンピックへの挑戦
- 文化祭やイベントでのロボット展示、プログラミングコンテスト参加
- 科学研究部や物理部などでの自主研究
そうした経験があれば、具体的にどんな内容に取り組んだのか、そこから何を学んだのかをまとめておきましょう。面接では「過去の経験」から「今の志望動機」へのつながりが説得力を生みます。また、失敗体験や挫折があれば、それをどう克服したか、何を得たかを積極的にアピールするのも有効です。
2-3. 大学・学部の特徴を把握する
志望先の工学部がどのような研究室やプロジェクトを持っているのかをチェックしておくと、面接時に「この研究室の××先生のプロジェクトに興味がある」「○○の分野で実験設備が整っている点に魅力を感じた」など、より具体的な興味を示せます。面接官としては「大学の特長を理解してきたうえで志望しているか」を見ているので、情報収集は欠かせません。
- 大学公式サイトやパンフレットを読み込む
- オープンキャンパス(対面・オンライン)で教授や先輩の話を聞く
- 学会やシンポジウム、ニュースリリースなどでその学部の研究内容を確認する
自分が入りたい学科やコース名、注目している専門領域などをピンポイントで理解しておくと、自然に面接で語れるようになります。
3. 工学部面接でよくある質問と対策
ここでは、工学部志望の面接でよく聞かれがちな質問をいくつか挙げ、それぞれの対策ポイントを示します。
3-1. 「なぜ工学部を選んだのですか?」
- ポイント:学問領域の広さを踏まえつつ、自分なりに「こういう技術や分野に魅力を感じた」というストーリーを加える。
- 回答例:
- 高校の物理で力学を学んだとき、機械が動く原理に興味をもった
- プログラミングでアプリを作り、人々の役に立つソフトウェアを開発したいと思った
- 環境問題に貢献できるエンジニアを目指すために、再生可能エネルギー研究の強い大学を選びたい
3-2. 「将来、どんなエンジニアになりたいですか?」
- ポイント:企業や研究機関での開発職など、職業イメージを持っていると尚良い。ただし、最初から絞り込みすぎなくてもOK。「世の中に新しい価値を提供できるエンジニア」「社会課題を解決する技術者」など、柔軟なビジョンでも構いません。
- 回答例:
- 自動運転技術を研究開発し、交通事故を減らす世界を作りたい
- 航空宇宙分野でロケットや人工衛星の設計に携わりたい
- スマートシティのインフラを支えるエンジニアとして活躍したい
3-3. 「高校時代に力を入れたことは何ですか?」
- ポイント:工学的思考や研究活動に限らなくてもOK。部活や生徒会なども、自分の思考・行動力をアピールする材料になる。ただし、可能なら理系の素養やものづくり体験などを交えると、工学部志望との関連性が伝わりやすい。
- 回答例:
- 科学研究部で○○のテーマに関する自主研究を行い、学内発表会で発表した
- プログラミングを独学で習得し、文化祭で簡易ゲームを出展した
- ロボコンに挑戦してチームリーダーを務め、失敗を重ねながらも完成にこぎつけた
3-4. 「あなたの強み・弱みを教えてください」
- ポイント:自己分析の一環として、「理系ならではの視点」をアピールできると効果的。たとえば、強みに「課題を発見し、論理的に解決策を考える力」と述べるなど。一方で、弱みは正直に述べつつ、「克服のためにこういう取り組みをしている」とポジティブに締める。
- 回答例(強み):計画を立てるのが得意で、複雑な工程を分割してスケジュール管理できる
- 回答例(弱み):興味ある分野に集中しすぎて、他のタスクへの配分を忘れがち。ただし最近はToDoリスト化をして管理を行い、改善中
3-5. 「大学でどんな研究がしたいですか?」
- ポイント:志望校の研究室や教授の専門分野をリサーチし、そこに紐づけた回答をすると好印象。具体的なキーワード(例:AI、ロボット、半導体、バイオマスなど)を挙げ、「なぜそれに興味があるのか」を語ろう。
- 回答例:
- ○○教授の研究室で行われている電気自動車のバッテリー制御技術に興味がある
- ディープラーニングを活用し、画像認識技術で医療分野に貢献したい
4. 面接当日の流れと対策
4-1. 服装・身だしなみ
工学部の面接と言っても、服装は基本的には清潔感のあるスーツや制服が無難です。華美な装飾は避け、髪型やメイクも自然な印象に。理系=私服OKというわけではないので、受験者としての礼儀を尽くしましょう。
4-2. 入室から退出まで
- 入室時:ノックして面接官からの指示を待ち、「失礼します」と一礼してから入室
- 着席前:自己紹介や受験番号を述べ、着席を促されてから椅子に座る
- 面接中:姿勢を正し、面接官の目を見て話す。難しい質問でも考え込みすぎず、一度言葉にする
- 退出時:最後に「ありがとうございました」とお礼を言い、面接室を出る前にも軽くお辞儀
4-3. 質問への回答のコツ
- 1つの回答が長くなりすぎず、簡潔に結論→理由→具体例という流れを意識する
- 質問に対して無理に誇張せず、正直に答える。ただし工学部志望として、技術への興味や前向きな姿勢を示すのは重要
- 分からない質問が出ても、曖昧にごまかすより「勉強不足でわかりませんが、こういうアプローチで学びたいと思います」と前向きさをアピールする
4-4. 二次面接・グループディスカッション
大学によっては二次面接やグループディスカッション形式を設けているところも。工学部の場合、課題解決型のテーマ(例:「ある社会問題を技術で解決するとしたら?」)が与えられることがあります。こうした場合、独りよがりではなくチームで発想を膨らませる姿勢や、自分のアイデアを論理的に伝える力が評価されるポイントとなります。
5. よくある失敗パターン
5-1. 志望動機が曖昧
「機械いじりが好きだから」「パソコンが得意だから」程度の説明で止まってしまうと、「工学部で何を学びたいのか具体的に伝わらない」という印象に。高校時代の経験や将来イメージとの繋がりを深堀りし、説得力を持たせましょう。
5-2. 自己PRが自己満足
「自分がすごい」「こんなに実績がある」アピールに偏りすぎると、面接官には響きづらいものです。理工系では、結果よりもプロセスやそこから何を学んだかが大切。失敗談や苦労話でも、「そこから得たもの」をしっかり語るのが鍵です。
5-3. 話が長い・要点がつかみにくい
論理的思考が重視される工学部では、ダラダラと結論の見えない話し方をするとマイナス印象に。結論→理由→具体例の順にまとめる訓練をしておき、普段から簡潔に説明する習慣を身につけましょう。
6. 他大学も見に行く場合は?
工学部志望の方が面接対策をするうえで、経営系の学問は全く興味を持たれない方も多いかもしれません。ただ、自分の可能性を広げる意味で、文系大学のオープンキャンパスも有効かもしれません。というのも、異なる大学の雰囲気や教授、在学生の話を聞くことで、「自分が学びたいことはこれだ!」と気づくかもしれないからです。
参考までに、日経大(日本経済大学)は、オープンキャンパスを通じてさまざまな学部の情報を発信中です。大学全体の国際ビジネス教育や起業家マインド育成の視点も体感できる場が設けられています。実験設備やプロジェクト、海外提携校との連携など、理系と経済・経営の橋渡しを意識したユニークな取り組みが日経大の特長ですのでもしご興味が出てきたら参考までに調べてみてくださいね。
7. まとめ:工学部面接で夢を語り、未来を切り開こう
ここまで、工学部面接の特徴や準備方法、具体的な質問例と対策などを解説してきました。工学部の面接は、理系的な論理思考力や研究意欲をアピールする絶好の舞台である一方、面接官の心をつかむためには、**「自分自身の体験や興味の深堀り」**が不可欠です。
- 志望動機を論理的にまとめ、過去の経験と将来のビジョンをつなげる
- 高校時代の活動や失敗体験をもとに、そこから学んだことを整理する
- 「なぜこの大学・学部を選んだのか」を具体的に語れるよう、大学独自の研究やカリキュラムを調べる
- 面接では簡潔で分かりやすい話し方を心がけ、論理性と熱意をバランスよく伝える
これらを徹底すれば、面接官にも「この学生は工学分野での成長が期待できる」と思ってもらえるはずです。さらに、実際に大学の雰囲気を知るには、オープンキャンパスに足を運ぶのが最も早い手段。教室や研究室の見学、在学生との交流などを通じて、あなたのモチベーションもさらに高まるでしょう。
最後に
工学分野の進学を通じて「社会に役立つ技術者」「革新的なサービスを生み出すエンジニア」を目指す方は、まずは行動から。面接練習だけに留まらず、志望校へのオープンキャンパスで「大学生活のリアル」をしっかり掴むことで、面接本番での説得力が飛躍的に高まるはずです。夢の実現に向けて、一歩ずつ前進してください。応援しています。