「未来を切り拓く技術を学びたい」「ロボットやAI、自動車など最先端のモノづくりに関わりたい」――そんな思いを持つ学生にとって、工学部はまさに魅力あふれる学問領域です。
一方で、受験の最終関門として立ちはだかるのが、面接。
「専門的なことをどれくらい聞かれるの?」「どんな受け答えをすれば評価されるの?」など、不安を抱えている人も多いでしょう。
本記事では、工学部の面接のポイントを分かりやすく・読みやすくまとめました。面接で一般によく聞かれる質問とその対策、さらに当日の注意点まで詳しく解説していきます。ぜひ最後までお読みいただき、工学部合格への一歩を確かなものにしてください。
1.工学部ってどんな学部?まずは基礎知識から
1-1. 工学部の特色
工学部は、社会を支えるさまざまな技術の基盤を作り上げる学部です。具体的には、機械・電気電子・情報・化学・建築・土木など、日常生活から最先端の技術開発まで幅広くカバーします。
- 基礎理論を学んだうえで、実験や実習を通じて実践的なモノづくりに挑戦
- 問題解決能力を養い、社会の課題に技術的アプローチで応える
こうした姿勢が工学部での学びの柱となります。
1-2. 工学部の学科例
工学部は大学によって細分化が異なりますが、よくある学科を挙げると次の通りです。
- 機械工学科
- ロボット、自動車、航空機などの設計・制御を中心に学ぶ
- エンジンや材料力学、機械設計に関する技術
- 電気電子工学科
- 半導体、回路設計、通信技術などを扱う
- スマホや家電、通信ネットワークなどの基礎を学ぶ
- 情報工学科
- コンピュータ科学、AI、ソフトウェア開発などが中心
- データ解析やネットワーク技術など、IT社会を支える知識を修得
- 化学工学・応用化学科
- 化学反応や物質の性質を工業的に活用する
- 新素材やエネルギー、医薬品開発などに応用
- 建築学科・土木工学科
- 建物や都市、インフラ整備の技術を学ぶ
- デザイン力や環境への配慮など多角的な視点が必要
いずれの学科も、「理系の知識+問題解決の応用力」が求められ、将来的には研究開発職や設計・製造、IT系など多岐にわたる就職先が考えられます。
2.工学部の面接で重要視されるポイント
2-1. 「志望理由」の明確さ
工学部面接に限らず、大学入試の面接では**「なぜ、この学部で学びたいのか?」**が最重要の質問です。特に工学部では、下記のような視点で見られます。
- “学問的好奇心”:「高校時代のどの経験から興味を持ったのか?」「具体的にどんな技術分野に関心があるのか?」
- “将来のビジョン”:「工学を学んで、将来どんな問題を解決したいのか?」
工学部は、理論だけではなく社会実装を踏まえた学問領域です。したがって、興味の原点と将来像をセットで語れると説得力が増します。
2-2. 自分で考え抜く力・問題解決力
工学の現場では常に新たな課題が生じます。面接官は、受験生が**「自分で仮説を立て、実行し、結果を検証できる思考力」**を持っているかを見ています。
- 高校の理科や数学の学習、部活動・ロボコン・プログラミングコンテストなどで培った挑戦の経験
- 失敗を経験しても改善点を見つけ出す粘り強さ
こういった姿勢を具体的に示すことで、面接官の印象に強く残るでしょう。
2-3. コミュニケーション力と協調性
理系学問だからといって、一人で黙々と作業するだけが求められるわけではありません。プロジェクトや研究室ではチームでモノづくりを進めることが多いです。面接では、
- プレゼンやディスカッションで意見を交わせるか
- チームワークで役割を果たせるか
といったコミュニケーション面も評価されます。
3.工学部「面接対策」の全体像
工学部の面接で確実にアピールするためには、次のステップで準備を進めるのはどうでしょうか。
- 学科・大学のリサーチ
- 受験する大学の工学部が「どんな研究室を持っているか」「特徴的なカリキュラムは何か」を調べる。
- 自分の興味分野や将来ビジョンとマッチする点を見出す。
- 志望理由の再整理
- 「何に興味があり、どんな社会貢献がしたいか」を明確に。
- エピソードを交えて説得力を高める。
- 想定質問に対する回答準備
- 工学部ならではの質問(例えば「高校の授業で一番興味を持った実験は?」など)が予想される。
- 回答の骨組みを作り、要点をまとめておく。
- 模擬面接・自己録画
- 実際に声に出し、表情や話し方をチェック。
- 友人や家族、先生に協力してもらうと客観的なアドバイスが得やすい。
- 当日の心構え・マナー
- スーツや身だしなみ、入退室の所作など基本を押さえる。
- 焦らず質問をよく聞き、自分の考えを素直に伝える。
4.工学部面接でよくある質問&回答のコツ
ここからは、実際の面接で頻出の質問をピックアップし、回答のポイントを解説します。
4-1. 「志望理由」に関する質問
質問例:
なぜ当大学の工学部を選んだのですか?
ほかの学部や大学でもよいのでは?
回答のポイント:
- 興味のきっかけ:具体的なエピソードを交えて話す
- 「ロボットコンテストで自作ロボットを作った」「プログラミングでアプリ開発を体験した」など
- 大学の特徴と結びつける
- 「貴学の情報工学科ではAIの実証研究が盛んで、自分もAIを使って◯◯を実現したい」など
- 将来的な夢や目標
- 「大学で基礎を固め、将来は人々の暮らしを豊かにするような技術開発に貢献したい」など
4-2. 「関心のある技術・分野」に関する質問
質問例:
高校で特に興味を持った理科・数学の内容は何ですか? どのように学んできましたか?
回答のポイント:
- 具体的なテーマ:例「化学で学んだ電池の原理に惹かれ、身近な燃料電池の研究を調べてみた」
- 学びのプロセス:ただ「好きです」で終わらず、「ネットや書籍で調べ、実験キットを使って実際に◯◯を確かめた」など、行動を示す
- 発展性:興味を大学でどう深め、社会へどう活かしたいのかをセットで伝える
4-3. 「将来の進路」に関する質問
質問例:
卒業後はどのような仕事をしたいと考えていますか?
研究職、開発職などのイメージはありますか?
回答のポイント:
- 明確なイメージがあれば提示
- 「研究職を目指し、再生可能エネルギーの分野で新技術を開発したい」など
- まだ決まっていない場合は、興味分野や理想像をしっかり語る
- 「情報セキュリティの分野に興味があり、サイバー攻撃から社会を守る技術を学びたい」など
- 工学部は大学院進学率も高いので、大学院を視野に入れているかどうかもポイント
4-4. 「失敗経験・課題克服」に関する質問
質問例:
これまでに挫折した経験はありますか? それをどう克服しましたか?
回答のポイント:
- 正直に語る:失敗やミスを美化せずに説明
- 改善プロセス:問題をどう分析し、何を学んだかを具体的に
- 工学的アプローチを絡める:たとえば、部活動のロボットが動かず、原因追究のために制御プログラムを調整した――というように、理系的思考・行動をアピール
4-5. 「チームワーク・コミュニケーション」に関する質問
質問例:
グループでの開発や研究プロジェクトをする際、あなたが大事にしていることは何ですか?
回答のポイント:
- リーダーシップだけでなく協調性を強調
- 経験談:文化祭や部活動などで協力して成果を出した事例があれば具体的に
- 実験や開発の場では意見調整が必要:意見が対立した際にどう合意形成を図るか、など
5.工学部「志望理由」の書き方~具体例あり
工学部の「志望理由」をまとめる際、押さえておきたいのは下記の要点です。
- 興味・関心の原点を示す
- 高校で学んだ理科・数学、部活・コンテストなどのエピソード
- 大学での学びとのつながり
- 志望校・学科の教育プログラムや研究分野にどう魅力を感じたか
- 社会への貢献や将来像
- 工学部での学びが、どんな社会問題を解決したり、人々の生活を豊かにしたりするのに役立つのか
志望理由書の一例
【例文】
私は小学生の頃からラジコンやロボット玩具を分解して構造を知るのが大好きで、より複雑な機械に興味を抱くようになりました。高校では科学部に所属し、自作のロボットアームを製作するプロジェクトに参加。モーター制御やプログラミングを独学で学び、試行錯誤の末にある程度動かせるようになった時の達成感は忘れられません。
貴学の機械工学科では、ロボット制御やメカトロニクスなどの分野で最先端の研究が行われていると伺いました。大学での学びを通じて、将来的には日常生活を支援する介護ロボットや災害救助用のロボット技術を開発し、多くの人の役に立ちたいと考えています。
このように、具体的な体験談 → 大学で学びたい分野 → 社会への貢献という三段構成が効果的です。
6.当日の面接マナーと心構え
6-1. 第一印象は「清潔感+落ち着き」
- 服装・身だしなみ:学生なら黒・紺のスーツが無難。髪は乱れていないか、靴は汚れていないかチェック。
- 表情・姿勢:姿勢を正し、相手の目を見てはっきり話すと好印象。
6-2. 入室・退室の基本
- ノックの回数:一般的には3回が礼儀とされる(大学によって指示がある場合は従う)。
- お辞儀:面接官に対してしっかりと会釈し、許可を得てから着席。
- 退室時:椅子から立ち上がり、一礼して「ありがとうございました」と感謝の言葉を忘れずに。
6-3. 話し方と聞き方のポイント
- 結論→理由→具体例の順で要点をコンパクトに話す
- わからない質問が来たら正直に言う:無理に答えを作らず、「◯◯と考えますが、現時点では確信が持てません」と述べるのも可
- 質問に対して返答がずれないよう、しっかり聞き取ってから答える
6-4. 「自信」と「素直さ」のバランス
- 「自分は工学部で◯◯を学びたい」という強い意欲を見せる
- ただし、知識をひけらかすのではなく、わからないことは認める素直さも重要
7.工学部面接:注意したいNG例
- 漠然とした回答
- 例:「大学で技術を学びたい」「モノづくりが好き」
- 何が、なぜ好きなのかがわからず、不十分な印象を与える
- 大学の特色を知らない
- 例:「将来ロボット関係に進みたい」と言いながら、実際は大学がロボティクス研究をやっていない
- 大学の研究・教育内容との関連性を示せるかどうかが大切
- 面接官の話を聞いていない
- 質問に対する答えがズレている
- **聞く力(リスニングスキル)**はチームでの開発や研究にも不可欠と見なされる
- 無表情・声が小さすぎる
- 自信のなさを感じさせる
- 興味とやる気をアピールするためにも、適度な声量と表情を意識
8.工学部面接成功のためのQ&A
Q1. 「専門知識」をどこまで準備すればいい?
A. 高校レベルの理科・数学の基本を押さえ、自分が興味を持ったテーマを少し深堀りしておく程度で十分です。大学の研究内容を全部理解する必要はありません。むしろ「どのように調べたか」「どこに興味を持ったか」という探究心のプロセスが大事。
Q2. 「大学院進学」について聞かれたら?
A. 工学部は大学院への進学率が高いですが、無理に具体的な研究テーマを決めておく必要はありません。「研究を続ける可能性も視野に入れている」「将来的に専門性を高めたい」など、意欲を示す形でOKです。
Q3. 「アルバイトや部活の経験」はアピールになる?
A. もちろんです。特に工学部はチームワークや企画力が評価される場面が多いので、リーダー経験やプロジェクトでの役割などを具体的に語れれば、ポジティブな印象を与えられます。
Q4. わからない質問をされたときの対処法は?
A. 知らない専門用語や難しい技術の話を振られたら、**「申し訳ありませんが、詳しくは存じ上げません」と率直に認め、それでも興味があれば「後で調べたいです」**という姿勢を示すと良いです。無理に間違った知識を並べるより、素直に対応するほうが好感を持たれます。
9.まとめ:工学部の面接は「探究心」と「実行力」をアピールしよう
工学部の面接では、論理的思考力、探究心、チームワーク、そして将来のビジョンが見られます。
- 志望理由を語る際は、具体的なエピソードや大学の特色をしっかり結びつける。
- 面接当日は基本的なマナーを守りつつ、質問に対して落ち着いて考え、自分の言葉で回答する。
- コミュニケーション力も重要視されるので、相手の話をしっかり聴き、的確に答える姿勢を大事にする。
「工学」という学問は、社会の課題を技術で解決する大きな可能性を秘めています。面接官も、「この受験生は未来のエンジニアとしてどんな活躍をしてくれそうか?」に期待と関心を寄せているはずです。
ぜひ、入念に準備して、自信を持って面接に臨んでください。あなたの情熱と探究心が伝われば、合格へと近づくはずです。工学の世界で、新しい未来をともに創っていきましょう!応援しています。