大学で経営学を学んだ場合、それで得た知識・スキルを活かして就職する・起業をするなど、大学卒業後の進路はさまざまです。
そのような選択肢の中で、卒業後に社会に出るのではなく、経営学をさらに深く学びたいという人もいるでしょう。そのような人が進むのが、経営系の大学院への進学です。
果たして、経営系の大学院とはどのような場所なのでしょうか。今回は経営系大学院の詳細について、詳しく解説します。
経営大学院とは
経営大学院とは、経営に関する学位を取得できる機関です。経営大学院での課程を修了すると、経営に関する修士(MBA)を取得できます。経営大学院には2通りの課程があり、それにより習得できる学位が異なる仕組みです。その2つの違いは以下の通りです。
修士課程
一般的なイメージの大学院で実施されているのが、修士課程です。経営大学院の修士課程は、大学の系列である大学院にて研究を進めます。修士課程を修了した人材が得られる学位が、「経営学修士」です。
専門職課程
大学生の延長ではなく、ある程度社会人経験をした人材が、高度な経営学を身につけるために行なうのが、専門職課程です。対象が限定された大学院課程の門戸を開放するために、2003年に新設された専門職大学院制度に従って実施されます。専門職課程を修了して取得できるのは、「経営管理修士」という学位です。
経営大学院のメリット
人によっては、「勉強は大学までで十分なのでは」「大学院にまで進んで勉強する意味はあるのか」と疑問に思っている人もいるかもしれません。
経営大学院に進むことは、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。以下よりそのメリットを紹介しましょう。
経営のスペシャリストになれる
経営大学院で勉強を進めれば、経営の成り立ち方・体系的な知識を習得できます。経営の三大要素といえば、「ヒト・モノ・カネ」です。この要素を軸に、大学で学んだ経営学をより深い領域まで学習できるのが、大学院といえるでしょう。
大学院は大学以上に専門性が高いために、研究・学習のための設備・環境も充実しているのが特徴です。普段の生活では触れることができない恵まれた環境で、高度な知識・スキルを学べます。
経営学は、ビジネスにおける抜本的な知識であるため、社会に出てもどんな分野にも応用がきく汎用性のある知識・スキルです。大学院の課程を得ることで他とは違う経営のスペシャリストになれるでしょう。
キャリアアップ・年収アップにつながる
経営大学院で研究・学習を進めた場合、ビジネスの母体・基礎の部分である経営に関する専門性の高い知識が得られます。それは、どんな分野においても応用が応用がきくものなので、あらゆる仕事において高度な成果を見せられる可能性が高いです。
どんな難題・トラブルがあっても豊富な知識によって解決策が提案できるので、より良い仕事の成果を見せることによって、キャリアアップ・年収アップも実現することでしょう。
幅広い人脈が構築できる
大学院では、研究・学習を通じて、さまざまな人材と出会えます。高度な知識を持った研究生・その道のスペシャリストである教授など、その人材のタイプは多岐にわたります。
大学院に集まる人材は、決して安くはない費用を支払って、更なる高度な知識・スキルを習得しようと努力している人材です。大学のようになんとなく進学してなんとなく遊んで暮らすといった考えの人は皆無といっていいため、そのような志の高い人材と接することで、質の高い人脈が築けます。
経営大学院で知り合った同期・教授は同じ研究・学習を通じて信頼の絆が形成されることが多いので、大学院の課程を修了した後でも、関係は続くでしょう。そのような質の高い人脈は、課程修了以降に行なうビジネスにおいても、大いに活かされるはずです。
経営大学院のデメリット
普通の人では身に付かないハイレベルな知識・スキルを、恵まれた環境の中で学べるのが経営大学院ですが、決して良い点ばかりではありません。では、経営大学院のデメリットとは何か、次より説明しましょう。
費用がかかる
経営大学院は、他では体験できない高度な設備・環境で研究・学習を進められるのがメリットですが、そのような体験をするためには、高額の学費を支払わないといけません。経営大学院にかかる費用の相場は、以下の通りです。
- 国立:900,000〜1,500,000円
- 私立:30,000,000〜70,000,000円
このように、簡単には用意できない費用を支払わなくてはいけません。大学を卒業してそのまま大学院へ進学するのは無理なので、一旦就職をして、ある程度の収入を得るといったパターンの人もいます。働いて費用を捻出して、あらためて専門職課程を受けるといった手順を踏む人も珍しくありません。
労力がかかる
経営大学院で学ぶ内容はそれ以前の学校で学んできたことに比べて、格段にハイレベルです。専門性がより高くなるので、ある程度の知識があることが前提となっており、知識・スキルに自信がない人は研究・学習ペースについていけなくなります。
そのため、せっかく高額の費用を支払って経営大学院に進学したにも関わらず、途中で挫折する人もいるでしょう。研究・学習に費やされる労力が辛いと感じる人も、珍しくありません。
経営大学院に進む際の注意点
経営大学院に進むことを決意した際、事前にいくつかの注意点を把握しておくことが大事です。注意点を知っておかないと、せっかく研究・学習を頑張っても意味がないケースもあります。
では、経営大学院における注意点とは何か、以下より説明しましょう。
「学位」は「資格」ではない
大学院の課程を修了することによって得られるのが、「学位」であって「資格」ではないことを知っておきましょう。
先述した通り、経営大学院では修士課程・専門職課程があり、それぞれを修了することによって、経営学修士・経営管理修士の学位を取得できます。これらはあくまで学位であって、一般的な国家資格・民間資格ではありません。
学位・資格は、それを取得することによって専門性の高い知識・スキルを持っていることの証明になります。このような共通項がありながらも、学位と資格を完全に同じ性質ものと思っている人もいるでしょう。資格は、企業において実用的・即戦力になる要素が強く、企業によっては資格取得者を重視するところもあります。
しかし、経営に関する学位の取得によって得た知識・スキルは、汎用性がありながらも即戦力になるような実用性に乏しく、企業によって学位取得者を高く評価するところもあれば、そうでない評価をするところも珍しくありません。
経営大学院の学位は、専門性の高い知識・スキルがある証明にはなりますが、必ず就職時に好印象になる保証はないと考えた方がいいでしょう。
経営学の勉強・研究を目的化しない
経営大学院での研究・学習は高度で難解であるため、研究・学習成果が出た時は、達成感があります。しかし、それで満足しているとそれだけで満足してしまい、何のために高い費用をかけて学習しているのかわからなくなります。
経営大学院で学位の取得を目指して日々研究・学習に励んでいるのは、自身の将来のためです。ここで得た知識・スキルをいかに今後やるであろう仕事に活かすのか、そのような目標を持って日々研究・学習を進めなくてはいけません。
経営大学院に向いている人
経営を深く学びたい人の中には、経営大学院への進学を検討している人もいるでしょう。しかし、向いていない人が大学院へ進学した場合、高い費用が台無しになってしまいます。
本当に自分が大学院に適している性質なのか、事前に考慮することが大事です。では、経営大学院にはどんな人が向いているのか、以下より向いている人の特徴を紹介しましょう。
独立開業を目指している人
将来は起業をして、自分の会社・城を持ちたいという野望を持っている人もいるでしょう。この場合、従業員ではなく経営者になるのでただ働いて給料をもらうのではなく、自身で仕事を生み出して利益を出し、従業員に給与を支払う立場になります。
このように自身で起業を経営するためには、経営がどのようにして成り立っているのか、その知識・ノウハウを知っていないといけません。中には何もわからない状態で起業を先に始めて、経験を積みながら学んでいく行動派タイプもいるでしょう。人によっては、それが向いている人もいますが、このやり方はリスクが大き過ぎます。
自身で利益を生み出して、社会的な成功を収めたいという野望のある人は、高度な専門知識を習得できる大学院にてさまざまなことを学ぶといいでしょう。
明確なビジョンがある人
先述した独立開業を目指している人もそうですが、将来の目標・ビジョンが明確な人であれば、経営大学院での研究・学習の体験は今後の大きな財産になるでしょう。
経営大学院の課程で学ぶことは経営に関する深い知識ですが、経営学は決して経営者のためだけの知識ではありません。汎用性のある経営に関する知識・スキルは、応用によってさまざまな業務に対応できます。
他の資格や知識と合わせることによって、より対応できる仕事の対象は広がり、コンサルティング業なども可能になるでしょう。「大学院の修了後、数年は〇〇業務を経験、その後はその経験を活かして〇〇業務に進出」といった計画がある人であれば、経営大学院での経験は、大きな武器となるでしょう。
学習意欲がある人
学習意欲があり、常に自身の知識・スキルをアップデートしたいタイプの人は、経営大学院の進学に向いています。
大学院の研究・学習はハイレベルであり、少しでも挫折をして落ち込んでいては、研究にはついていけません。失敗があってもそれを糧にさらに学習の意欲が湧く人であれば、良い研究成果を発表できるでしょう。
常に最新の情報に関心のある人
日頃から、最新の情報・ツールに関心があり、すぐに生活に取り入れられる人は、大学院に向いています。
大学院では常に最新の研究論文を参考にするため、そのような最新の動向にいつでも関心を持つ人であれば、無理なく研究・学習を続けられるでしょう。
また、大学院修了後に社会に出ても、最新情報に関心を持つ気持ちは、どんな業務においても役立ちます。
まとめ
人によっては、「学業は大学生までで十分、大学院に進学せずに社会に出て実際に体験をした方が、よっぽど自分にとって役立つ勉強ができるだろう」という意見を持つ人もいるでしょう。
しかし、大学院は、通常の生活では体験できない最新の設備・環境が整った空間で、高度な研究・学習が行なえます。従来の学習方法とはレベルの違う体験は、今後の人生において大いに役立つことでしょう。
ただし、経営大学院での学習はメリットもあれば、デメリットと感じる部分もあります。メリット・デメリット・注意点を把握して、本当に自身に相応しいかどうかを考慮して、進学を決めることが大事です。
経営大学院で学んだ知識・スキル、そして大学院生活の経験は、決して無駄にはならないでしょう。
「日本経済大学」では、留学生の就職活動の支援を目的とした、留学生対象の専門ゼミを開講しています。そこでは、BJTビジネス日本語能力テストの受験を推奨し、学習も行っています。
■日本経済大学(都築学園グループ / (学)都築育英学園)
都築学園グループは、「個性の伸展による人生練磨」を建学の精神とし1956年に設立された大学です。2018年に開学50周年を迎えた日本経済大学は、経済・経営の実学に特化した2学部6学科17の専門コースを持っています。日本有数の、留学生を抱える国際色豊かな大学です。