文系学部から見る就職市場・未来のトレンドとは?

「文系学部出身は就職難」という噂を検証!

by GAWA_K

大学にはさまざまな学部があり、それぞれの学部に在籍することによって、今までできなかった専門的な分野を深く追求することができます。

大学の学部において、経営学部や経済学部に比べると、就職難に陥りやすいというイメージがあるのが、文系学部です。なぜ文系学部はそのようなイメージが根深いのでしょうか。また、文系学部の進学を希望している人の中には、本当に文系学部は就職難なのか、気になっている人もいるでしょう。

今回は、文系学部の実際の就職事情・就職率、文系学部出身の人材が社会に出た際の将来性などについて、詳しく解説していきましょう。

 

文系学部の就職率・就職事情

文部省が発表した『令和4年度大学等卒業予定者の就職状況調査』によると、大学の進学率は、文系・理系ともに次のような結果になっています。

  • 文系の就職率:97.1%(前年同期比1.7ポイント上昇)
  • 理系の就職率:98.1%(同0.7ポイント上昇)

上記の数字を見てわかる通り、文系・理系ともにほぼ100%の高い就職率を誇っています。そして、両者ともに大きな差がなく、どちらも同じ90%台です。

一般的には、理系のほうが就活にて大きな成果が出るというイメージがありますが、実際は上記のようなほぼ差のない就職率という結果になっています。

文系学部で学んだ知識・スキルは仕事における汎用性がないというイメージが根強いです。しかし、現実は文系学部であっても多くの就職先が待っているのです。

 

なぜ文系学部は就職難というイメージがあるのか

先述した通り、大学の文系学部の就職率は90%後半という高い数値が出ているにも関わらず、なぜ文系学部は他の学部に比べて就職難というイメージがついてしまったのでしょうか。その理由を次より紹介しましょう。

大学で学んだ知識・スキルが実用的でない

文系学部に在籍して習得した知識・スキルは、直接的に仕事に活かせないというイメージが根強いです。文学や歴史などの教養は、それらを題材に扱う書籍の編集などに活かすことはできますが、一般的な会社では実用的ではないという見方があります。

経営学部・経済学部に在籍した場合、その複雑な専門的知識・スキルが実用的であるため、就職活動の際に「即戦力になる」と思っている人は、少なくないでしょう。しかし文系学部でいくら専門的な教養を身につけても、社会人になってからの営業・経理などの実務には活かされないという意見は多いです。

社会人になって仕事に役に立つという明確なイメージがわかないのが、文系学部が就職難と思われている理由といえます。

就活の際、アピールポイントになりにくい

文系学部の在籍中に作成した論文・研究などは、就活の際のアピールにならないというイメージがあります。これが理系学部の論文・研究であれば、明確に数値化されているため、「この人はこんな知識があり、会社でどんな仕事の成果を見せてくれるか」といったイメージが湧きやすいといえます。

それに対して文系学部は、就活の際にいくら立派な論文・研究成果を見せても、会社の業務とは関係ないという判断をされるという意見は多いです。

また、文系学部は大学で学んだことに通じる資格がないという印象なので、資格取得をせずにただ大学の勉強成果だけをアピールしても通用しないというイメージがあるといえます。

 

就活で役立つ文系学部出身者の特徴

文系学部で学んだ知識・スキルは就活で有利にならないといったイメージがあります。しかし、文系学部に在籍していると、実は就活で好印象になる能力を身に付けることが可能なのです。では、文系学部出身の特色とは何か、次より紹介しましょう。

コミュニケーション・プレゼンテーション能力

文系学部に在籍していると、大勢の前で論文や研究成果を発表しなくてはいけません。それにより得られるのが、コミュニケーション・プレゼン能力です。いかに大勢の前で自分の考えを伝えることができるのかを重視するため、トークスキルが磨かれます。

また、文系学部は、深い教養のある教授・先輩とコミュニケーションを図るため、豊富なボキャブラリーも養われるのが特徴です。言葉が豊富であれば、それだけ自分の意思をより伝えやすくなります。

会社でのプレゼン・顧客・取引先との営業を行なう際、いくら自社の製品・サービスが優れていても、それを的確に伝えないと意味がありません。

その点、文系学部は、豊富なボキャブラリー・高度なトーク及びヒアリング能力を持っています。これらの能力はどんな仕事にも役立つ汎用性があるといえるでしょう。

情報収集スキル

文系学部に在籍するうえで重要なのは、情報収集です。精度の高い情報収集・集めた情報の中でどれが最も役立つかと見極める判断力・趣旨選択する能力がないと、完成度の高い論文や研究は発表できません。

そのような能力は、実社会に出ても重要です。消費者・取引先がどんなニーズを持っているか、そのニーズを満たすためにどんな情報が必要かといった情報収集をする努力がないと、優れた製品・サービスを生み出すことは不可能です。

情報収集・集めた情報を選択するスキルが優れていれば、社会人になっても会社が求める優良な業務遂行を果たしてくれるでしょう。会社が求めているそのようなスキルを養えるのが、文系学部なのです。

 

文系学部出身者に向いている業種

文系学部出身の人に適している仕事といえば、文学や歴史に関わる仕事・出版関係・事務仕事やデスクワークという考えが一般的です。しかし、文系学部出身者には、それ以外にもその能力を発揮できる業種があります。

では、文系学部出身者に向いている仕事とは何があるのか、以下より紹介しましょう。

営業職

会社の花形といわれ、文系タイプの人間には向いていないと思われている営業職ですが、実は文系学部出身者に適した仕事といえます。

営業職は、いかに自社の製品・サービスが優れているかを消費者・他社にアピールするのが業務内容です。そのためには、コミュニケーションスキル・豊富なボキャブラリーを駆使したトークスキルが必須となっています。

文系学部に在籍中、豊富な語彙・研究発表を行なうためのトークスキルを磨いた人材であれば、相手にしっかりと製品・サービスの意図を伝えることができるでしょう。

営業職の能力は特別な専門性の大会知識・資格などは必須ではないので、どの職種であっても通用するといわれています。そのため、文系学部出身の人材が持っているスキルは、幅広い職種に対応できる汎用性の高いものといえるでしょう。

金融業

堅実で安定した業績を保つ業界なのが金融業界です。多くの人が就職希望を出しているこの業界ですが、実は文系学部出身者と相性が良いといわれています。

金融業界でも重要視されるのが、営業・コミュニケーションです。金融業界に就職を希望する人は事務仕事・デスクワークを希望する人が多く、営業スキルのある人は重宝されます。そのため、コミュニケーションスキルに長けている文系学部出身者が就職をすれば、即戦力が期待されて良いポジションに就けるでしょう。

また、金融業界は法律の知識も重要視される傾向です。文系学部は法律に触れる機会が多いため、その知識があれば金融業界で活躍できるでしょう。

企画・マーケティング

市場調査を実施して自社の製品・サービスを企画する仕事が、企画・マーケティングです。文系学部出身者は、きめ細かい情報収集の能力に長けています。

文系学部出身者は、在籍中に説得力のある論文や研究成果を発表する際は、情報を集めていかに精度のある論文に仕上げるか、という作業を繰り返し実践してきました。その経験は、最新の情報収集が必須であるマーケティング業務にて発揮できます。

また、企画においても、豊富な知識を持つ文系学部出身者の場合、情報量の引き出しの多さ・それを活かした発想力に長けているため、斬新なアイデアを提出できる人材が多いといえるでしょう。

 

文系学部の人間が将来のためにやるべきこと

就職市場において世間のイメージと異なり多大な需要のある文系学部出身の人材ですが、需要があるからといっても将来もずっと安泰とは限りません。将来のビジョンを持って、早い段階でそのビジョンのための準備をすることが大事です。

では、文系学部の人間が将来のためにやっておくべきこととは何か、次より紹介しましょう。

資格取得

就職・転職の際に有利になるのが資格取得です。資格を取得しているだけで専門性の高い知識・スキルを持っている証明になるので、持っていて損はないでしょう。資格取得を目指す人のほとんどは直接仕事に活かせる知識・スキルを習得したいという人が多いです。

資格取得のメリットはそれだけでなく、複数の資格取得をして併用することによって業務の幅が広がることもあります。直接的に仕事に繋がらない場合でも、将来役に立つこともあるので、複数の資格所得にチャレンジすることもおすすめです。資格取得のための勉強のスケジュール組立・試験の申込方法なども、良い経験になるでしょう。

OB・先輩の話を聞く

OB・先輩といった就活・社会人経験者のもとを訪ねて話を聞くことも、自身の将来のビジョン構築に役立ちます。OB・先輩は数年長く生きているため、学校だけでなく人生の先輩でもあるのが特徴です。

その長い人生の中で成功談だけでなく失敗もあるはずなので、「こういう失敗をしたことでこういう点を学んだ」というような話も今後の参考になるでしょう。

人の話を聞くことは一つしかない自分の人生とは違った、別の人生を擬似体験できるともいえます。また、OB・先輩にとって自分より若い年齢の後輩が自分の話を聞きにきてくれることを、嬉しくないと感じる人はいないでしょう。

先輩も気分良くアドバイスをしてくれるパターンが多いので、人生の先輩の話はしっかりと聞いて参考にすることが大事です。

学業以外のことにも力を入れる

大学生として学業をがんばることはとても良いことではありますが、学業一辺倒になっては人生の視野が狭くなってしまいます。視野が狭いと発想力・思考能力も狭くなってしまうため、遊びも含めた学業以外のことも積極的に行ないましょう。

遊びを通じてさまざまな人に出会うと、出会った人たちから、今までの自分になかった新しい発想・考え方を学ぶ場合もあります。視野が広がると将来の選択肢も増えるでしょう。

 

まとめ

文系学部の人間は「文学などの知識に精通しているが、堅物が多い」という一方的な見方しかできない人もいるでしょう。しかし、今回の記事で紹介したように文系学部出身者の就職率は、理系と大差ありません。就職市場においても文系学部は十分に需要がある人材なのです。

文系学部に在籍すると、コミュニケーションスキルや発想力など、社会人としてのスキル向上が可能になります。円滑な人間関係を築きたい・コミュニケーション能力を磨いて就活を有利に進めたい人は、文系学部への進学を検討してみてはいかがでしょうか。

 

「日本経済大学」では、留学生の就職活動の支援を目的とした、留学生対象の専門ゼミを開講しています。そこでは、BJTビジネス日本語能力テストの受験を推奨し、学習も行っています。

■日本経済大学(都築学園グループ / (学)都築育英学園)

都築学園グループは、「個性の伸展による人生練磨」を建学の精神とし1956年に設立された大学です。2018年に開学50周年を迎えた日本経済大学は、経済・経営の実学に特化した2学部6学科17の専門コースを持っています。日本有数の、留学生を抱える国際色豊かな大学です。

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