公務員試験について知っていますか?
公務員になるためには、公務員試験に合格する必要があります。公務員に求められる能力や役割について理解し、適切な資格を持つことが求められます。
この記事では、公務員試験とは何か、公務員に求められる能力や役割、そして大卒程度と高卒程度の試験の難易度の違い、資格や待遇面での違い、そして公務員試験の受験資格について解説します。この記事を読むことで、公務員試験について詳しく理解し、公務員を目指す上での参考にしていただけると思います。
1.公務員試験とは
公務員試験は、国や地方自治体、独立行政法人、公益法人などの公的機関に就職するために必要な試験です。そのため、公務員に興味がある方は受験を目指すことが一般的です。公務員試験には、大卒程度と高卒程度の2つのレベルがあり、それぞれ異なる内容や難易度の試験が用意されています。
①大卒程度
公務員試験では、大卒程度という基準が設けられています。しかし、これは必ずしも大学を卒業していることが受験資格というわけではありません。大卒程度の学力を有していることが求められているのです。つまり、試験の内容のレベルを表しているものであり、大卒程度の学力レベルを保持しているかどうかが試されます。
ただし、一部の職種ではより高い学歴が必要となっている場合もあります。学歴に関する受験資格要件はないため、大学を中退していたり、民間企業に勤めた後に公務員試験を受験することも可能です。しかし、大学で学んだ内容を理解していることが求められ、面接の際には中退した理由についても説明する必要があります。公務員試験は学歴や職歴によるハンデがなく、試験の点数のみで合否が決まるため、誰にでも公平な就職試験といえます。
②高卒程度(国家一般職)
一方で、公務員試験には高卒程度の試験もあります。国家一般職(高卒者試験)は、2012年から始まった新試験制度で、初級職員として各省庁や出先機関で主に一般事務や窓口業務を行う地域密着型の公務員を採用しています。
高卒程度(国家一般職)は、地域密着型の公務員を目指す新試験制度です。主に一般事務や窓口業務を担当する初級職員として、各省庁や出先機関で勤務します。
高卒程度(国家一般職)の合格者は、事務・技術・農業・農業土木・林業の各区分に応じた採用候補者名簿に記載されます。そして、各省庁等ではこの名簿から面接を行い、採用者を決定します。
高卒程度(国家一般職)の魅力は、地域密着型の職務であるため、長期間同じ職場で勤務することが多く、異動が少ない点にあります。給与水準は大卒程度の国家公務員に比べ劣るものの、各種手当や福利厚生が充実しているため、安定した報酬が期待できます。
また、公務員試験には、職種ごとに異なる試験内容が設けられているため、志望する職種によっても適性が異なります。そのため、自分の目指す職種に対する適性を把握し、試験勉強を進めることが重要です。さらに、公務員試験は、合格率が低いため、多くの人が1回で合格することはできません。計画的な勉強と努力が必要です。
2.公務員に求められる能力
公務員に求められる能力とは、公的機関に所属する者が業務を遂行する上で必要な能力のことです。公務員には、国民の信頼を得て、公共の利益を追求する責任があります。そのため、高い専門性や社会的な視野、公正さや誠実さ、コミュニケーション能力や問題解決能力など、様々な能力が求められます。
①大卒程度に求められる能力
公務員には、高度な専門性や専門知識が求められます。そのため、大卒程度の公務員試験では、以下のような能力が求められます。
(1)基礎学力の確保
公務員として必要とされる基礎学力を確保することが求められます。特に、言語力や論理的思考力が重要視されます。
(2)専門的知識の習得
公務員は、担当する業務に関する専門的な知識を持っていることが求められます。そのため、大学で学んだ専門知識や実務経験がある場合は、試験での優位性が高くなります。
(3)技術・技能の習得
公務員には、その業務に必要な技術や技能を持っていることが求められます。特に、IT技術やデータ解析能力などの専門的なスキルを持っていることが求められる場合があります。
(4)コミュニケーション能力
公務員は、国民とのコミュニケーションを円滑に行うために、高いコミュニケーション能力が求められます。そのため、誠実さや公正性を基盤とし、柔軟な対応力や適切な意見表明能力が必要です。
②高卒程度に求められる能力
高卒程度の公務員試験では、大卒程度に比べて専門的な知識や技能を求められることは少ないですが、以下のような能力が求められます。
(1)基礎学力の確保
大卒程度と同様に、言語力や論理的思考力などの基礎学力を確保することが求められます。
(2)知識の習得
高卒程度の公務員試験でも、その業務に関する基礎的な知識を持っていることが求められます。例えば、法律や地理、歴史、政治経済などに関する基礎的な知識が必要とされることがあります。
(3)必要な技能の習得
業務に必要な基本的な技能を習得
(4)コミュニケーション能力
日常的な業務の中で、上司や同僚、利用者や市民などとコミュニケーションをとる機会が多いため、基本的なコミュニケーション能力が求められます。
3.公務員に求められる役割
公務員に求められる役割とは、国や地方自治体、独立行政法人、公益法人などの公的機関に所属する者が担うべき役割のことです。公的機関には、社会を運営する上で必要不可欠な業務が数多くあり、それらを円滑に進めるために、公務員には様々な役割が求められます。公務員は、国民の信頼を得て、公共の利益を追求することが求められます。
①大卒程度に求められる役割
大卒程度の公務員には、以下のような役割が求められます。
(1)社会インフラの整備・管理
公共交通機関や水道、電力など、国民生活に欠かせない社会インフラの整備や管理が求められます。そのため、安全性や利便性を確保するために、効率的かつ適切な管理が必要です。
(2)行政の運営
国や地方自治体、独立行政法人などの公的機関における行政運営に関わることが求められます。例えば、税金の徴収や地方自治体の予算編成、人事制度の運用などがあります。
(3)政策の立案・実施
国や地方自治体、独立行政法人などの公的機関において、政策の立案や実施が求められます。国の政策であれば、予算編成や法律改正の提案などがあります。
(4)国民サービスの提供
国民が必要とするサービスの提供が求められます。例えば、年金制度や医療保険制度の運営、教育機関の運営、労働関連法令の運用などがあります。
②高卒程度に求められる役割
以下は、高卒程度の公務員に求められる役割の例です。
(1)支援業務の実施
公的機関において、書類整理やデータ入力、受付などの支援業務を行うことが求められます。これらの業務を適切に行うことにより、上位の役割を担う公務員が円滑に業務を行えるよう支援する役割があります。
(2)一般事務
公的機関の事務局や庶務課などで、会議の資料作成や電話対応など、一般的な事務業務を行うことが求められます。また、来客応対や郵便物の配送、総務業務なども担当する場合があります。これらの業務を適切に行うことにより、公的機関が円滑に業務を行うための基盤作りを支援する役割があります。
(3)保安業務
警察や消防などの公的機関において、治安維持や防災活動などの保安業務を担当することが求められます。例えば、災害時の避難指示や救助活動、交通誘導や防犯パトロールなどがあります。
(4)技術業務
独立行政法人や公益法人などの公的機関において、専門的な技術業務を担当することが求められます。例えば、国土交通省や農林水産省などの省庁において、道路や橋梁、農業や漁業に関する技術的な業務を担当することがあります。
4.大卒程度と高卒程度の難易度の違い
①大卒程度の難易度
大卒程度の公務員試験は、高度な学問的知識や専門的スキルが求められるため、比較的高い難易度が課せられています。例えば、総合職と呼ばれる一般職の採用試験では、国家一般知識や法律、経済、社会科学などの幅広い分野の知識が問われることが多く、また面接や評価においても高いレベルの能力が求められます。そのため、受験生は大学での学習に加え、幅広い分野についての知識を身につけ、高いレベルのスキルを持つことが必要不可欠です。
②高卒程度の難易度
高卒程度の公務員試験は、大卒程度に比べると難易度が低いとされています。その理由として、大卒程度には4年制大学で習得した専門的な知識が求められる一方、高卒程度には高校で習得した一般的な知識・技能が主に出題されるためです。ただし、それでも難易度が低いとはいえ、公務員試験は受験者の競争率が非常に高いため、十分な準備が必要です。高卒程度であっても、試験に合格するためには、しっかりとした勉強計画を立て、日々努力を続ける必要があります。
5.大卒程度と高卒程度の資格・待遇面での違い
①大卒程度の資格・待遇
大卒程度の合格者は、国家公務員、地方公務員、警察官、消防士、高等教育機関の教員、文部科学省所管の研究職員、大学病院の医師・歯科医師など、幅広い職種に就くことができます。また、大卒程度の公務員には、一般職と専門職の2つの職種があり、一般職は主に総務や人事、財務、地方自治などの業務を担当し、専門職は医療や建築、技術などの分野での専門的な業務を担当することが多いです。
大卒程度の公務員には、年功序列制度が適用され、給与水準が高く、待遇も良いことが一般的です。また、一定期間勤務した後には、特別職として昇進することもできます。ただし、勤務先によっては転勤があり、引っ越しや新しい環境に慣れることが求められる場合もあります。
②高卒程度の資格・待遇
高卒程度の公務員試験に合格すると、大卒程度に比べて採用される職種や勤務地、待遇面に限りがあることがあります。ただし、資格に関しては、大卒程度に比べて多くの職種が対象となっています。
高卒程度の公務員試験に合格すると、主に簡単な事務作業や保育士、介護職などの専門的な職種に就くことができます。また、地方自治体などでの採用が多く、中小都市などで働くことが多いです。待遇面については、基本的に大卒程度よりも低い水準になることが多いですが、職種によっては大卒程度と同じ待遇を受けることもあります。
一方、高卒程度の公務員試験で取得した資格に関しては、国家資格である「介護福祉士」「保育士」「社会福祉主事」「簿記検定」など、多くの職種において活用することができます。ただし、大卒程度に比べると、より専門的な職種に就くことが少ないため、高卒程度の公務員試験に合格してからも、資格取得によるスキルアップや転職など、自己啓発を積極的に行うことが求められます。
一方、高卒程度の公務員試験で取得した資格に関しては、国家資格である「介護福祉士」「保育士」「社会福祉主事」「簿記検定」など、多くの職種において活用することができます。ただし、大卒程度に比べると、より専門的な職種に就くことが少ないため、高卒程度の公務員試験に合格してからも、資格取得によるスキルアップや転職など、自己啓発を積極的に行うことが求められます。
6.公務員試験の受験資格(年齢制限)
①大卒程度の受験資格(年齢制限)
公務員試験は、年齢制限が設けられており、年齢要件は試験種別や職種・区分によって異なります。大卒程度の国家公務員試験では、一般的に21〜30歳が年齢要件の上限とされています。ただし、国立国会図書館や参議院総合職など、上限が30歳から前後する試験も存在します。20歳以下でも大学を既に卒業している人、または翌年の3月までに卒業する見込みのある人、それと同等だと人事院に認められた人も受験できます。試験の種類や勤務先によって異なるため、受験を申し込む前に年齢要件を確認することが重要です。
②高卒程度の受験資格(年齢制限)
高卒程度区分の公務員試験には、年齢要件は試験の種類によって異なります。一般的には、17歳から受験できるものがあります。公務員試験の種類は大きく分けて、国家公務員と地方公務員・公安系公務員・準公務員の4つがあります。勤務先によっても異なるため、受験を申し込む前に年齢要件を確認することが必要です。受験申込方法は、試験を実施する機関のウェブサイトなどで案内されます。受験募集が開始される前に応募要項を確認し、必要な書類を揃えておくようにしましょう。
おわりに
以上が公務員試験についての解説でした。
公務員には高い能力と責任が求められますが、その分やりがいや安定した待遇があります。
この記事では公務員試験とは、公務員に求められる能力や役割、大卒程度と高卒程度の難易度、資格や待遇面での違い、年齢制限などについて解説しました。
公務員試験を受験しようと考えている人や、公務員になるための勉強をしている人にとって、この記事が役に立つことを願っています。
日本経済大学・経済学部・経済学科・公務員コースで学ぶ 日本経済大学福岡校の経済学部・経済学科には、公務員コースがあります。憲法・民法・行政法・刑法・商法などを中心に、基礎から応用までしっかり学習し、様々な行政問題に対応できる公務員をめざすコースです。公務員合格に向けた多彩な支援も受けることができます。さらに経済学・経営学を学ぶことで豊かな法律知識やリーガルマインドに加え、企業経営や経済にも精通した人材へと成長できます。 1年次から3年次までの間に、下記を対象にした公務員受験対策講座が設けられています。 ・1年次生対象 公務員試験(基礎数学を含む数的処理コース) ・2年次生対象 公務員試験(言語能力向上を含む教養基礎力習得コース) ・3年次生対象 地方上級行政職(都道府県・政令指定都市職員) 地方公務員一般職(市町村職員) 公安職(警察官・消防官・海上保安官・刑務官等) 国家公務員一般職(省庁職員) 国税専門官等専門職対応コース 是非参考にしてみてください。 日本経済大学ホームページ:https://www.jue.ac.jp/