不動産取引の専門家であることを証明できる資格を取得しましょう!
宅建は年間20万人ほどが受験する、日本で1番人気のある国家資格です。
不動産業界にお勤めの方や、不動産業界に就職・転職を考えられている方は「宅建」の資格取得を目指しているか、これから目指そうとしているかたが多いはずです。
ほとんどの人が耳にしたことがある「宅建」という資格ですが、実際どのようなものなのでしょう?
この記事では、宅建の基本的な概要から、宅建資格を取得するメリット、勉強方法まで、皆様の様々な疑問を解決する内容になっています。
1.宅建とは
宅建は「宅地建物取引士」の略称で、宅地建物取引業法によって定められた不動産取引を公正に行うために必要な国家資格です。
宅地建物取引士の資格を有する人は「宅建士」と呼ばれます。
宅建の試験に合格したら、資格登録を行い、宅建士証の交付を受けて初めて宅建士を称することになります。
宅建士が行える業務は以下の3つです。業務独占資格ですので、これらの業務ができるのは宅建士に限られています。このため、不動産業界で働くのに非常に役立ちます。
(1)不動産取引時の重要事項の説明
(2)重要事項説明書(35条書面)への記名・押印
(3)契約書(37条書面)への記名・押印
宅建の資格を目指すことで、宅建業法(宅地建物取引業法)や民法、税金など、不動産取引における重要な知識を習得できます。また、不動産業界の営業であっても、理解を深めるために宅建取得を検討している方も多いのではないでしょうか。
2.宅建を受験するための基本概要
① 宅建の受験資格
基本的に、日本国内に住んでいる方なら宅建の受験資格に年齢、学歴などの特別な制限はありません。
注意しなければならないのが、宅建合格後の資格登録です。実務経験2年以上の有無によって登録の手順が異なります。実務経験のない人は、登録実務講習を受ける必要があります。また、不動産業界で働いていたとしても実務経験とみなされない業務があるため、しっかり確認することが必要です。
②宅建の試験日
宅地建物取引士資格試験は、例年10月の第3日曜日の13:00~15:00時の2時間、全国で実施されます。
③宅建の申し込み方法
宅建の申し込み方法には、インターネット申込みと郵送申込みの2種類あります。
インターネットの場合、例年7月1日から7月中旬まで、一般財団法人不動産適性取引推進機構のホームページから申し込みます。
郵送の場合、例年7月1日から7月下旬まで、都道府県ごとに指定の場所で配布されている申込書をもらい、申し込みます。
8月下旬頃に試験会場通知が送付され、9月末頃に受験票が送付されます。
④宅建の試験地
基本的に、宅建の試験地は受験者が住民登録している都道府県になります。ただし、学生や単身赴任などの事情が住ある場合は、例外として現在居住している都道府県で受験することが認められます。
合格後の資格登録は、試験地の都道府県知事に申請します。
⑤宅建の受験手数料
宅建の受験手数料は、8,200円(2022年現在)で、非課税です。
一度受験手数料の払い込みを済ませてしまうは、申込みが受付されなかった場合以外は、返還されないのでちゅういしてください。
⑥宅建の宅建登録実務講習
宅建登録実務講習とは、宅建士の資格登録に必要な講習です。
宅建士として正式に資格登録をするには、宅建に合格する以外に、宅地または建物の取引に関する2年以上の実務経験がなければなりません。
実務業務が2年未満の場合、宅建試験に合格した後に宅建登録実務講習を受講することで、実務経験2年の代わりとなります。宅建登録実務講習の修了試験の合格基準は9割以上で、難易度は高くありません。
講習は、全国各地の国土交通大臣の登録を受けた機関にて実施されています。
宅建登録実施講習は以下の3つの流れで構成されています。
(1)通信講座
自宅に郵送されたテキストやDVDなどの教材の内容に沿って約1ヶ月間自宅学習を行います。
(2)スクーリング
通信講座を終えた後、全12時間、1日または2日のスクーリングを受講します。スクーリングは、途中入退室が認められていないため、遅刻や早退に注意しなければなりません。
(3)修了試験
スクーリングを終えた後は、1時間の修了試験を受けます。
修了試験に合格すれば、登録実務講習修了証を発行してもらえます。
3.宅建の出題方法と試験内容
①宅建の出題方法
宅建の試験は、四肢択一式のマークシート方式で、問題数は50問です。
ただし、登録講習機関を受け修了試験に合格した登録講習修了者の場合、登録講習修了後3年以内の受験であれば一部免除になり問題数は45問です。
②宅建の試験内容
宅建の試験内容は土地と建物に関することです。大きく4つに分けられます。内容、問題数、配点は以下のとおりです。
●宅建業法:問題数20問/配点20点
宅地や建物の取引に関するルールを定めた法律です。土地や建物の円滑で公正な取引の促進や、宅建業や宅建士の就業関係法規など、宅地建物取引業法や同法の関係法令に関する内容が出題されます。
50問中20問と出題の割合が最も多いのですが、出題範囲が割と狭いので、得点が取りやすい重要科目です。なるべく完璧に近い状態に仕上げて受験に挑みましょう。
●民法等:問題数14問/配点14点
土地や建物の権利、権利の変動に関する法令に関する内容が出題されます。不動産の所有権や抵当権、売買、賃貸借などの契約についてです。
注意しなければならないのが、民法は2020年4月1日に改正されたばかりで、試験内容への影響していることです。
民法等の科目は、生活になじみがあり理解しやすいのですが、出題範囲が多く勉強に時間がかかります。
●法令上の制限:問題数8問/配点8点
土地や建物にまつわる様々な制限に関する内容が出題されます。
50問中8問と出題数は少ないのですが、専門用語やルールも多いため、多くの受験生が1番苦労する科目です。
●その他関連知識:問題数8問/配点8点
土地の形質、地積、地目、種別や、建物の形質、構造、種別、そして宅地と建物の税に関する法令などが出題されます。
50問中8問ですが、これも専門用語が多く、勉強を始めたばかりの方は苦労する科目です。ただし、税理士の試験と比べると覚えやすいので勉強すれば点数が取れるようになります。
4.宅建の合格基準と合格率
① 宅建の合格基準
宅建の合格基準と合格率は試験内容によって変動するので、その年によって異なりますが、合格基準の目安としては7割ほどで、合格率は15%前後です。
合否は相対評価方式で判定されるため、明確な合格点数はありません。
宅建の合格基準は、その年によって異なりますが、目安としては7割程度です。全50問、1問1点の配点で、50点満点中35問程度の正答が平均的な合格基準となることが多いため、35点以上を目指すことが合格の目安です。40点を超えればほぼ合格できるでしょう。
②宅建の合格率
宅建の合格率は15%前後と難易度は高いです。
ただし、宅建は受験資格に制限がなく誰でも受けられるので、会社で推奨されていたり、あまり勉強をしないで受験する人がある程度いると予想されます。そのような人々が合格率を下げていると予測されるため、実際に勉強をして試験に臨む人だけを考えると合格率はやや上がると思われます。
5.宅建を取得するメリットは?
①収入アップにつながる
宅建を取得する大きなメリットの1つは、なんといっても収入面でしょう。
不動産業には必須の資格ですので、不動産関係の会社の場合、有資格者のために月々1~3万円ほどの資格手当を用意している所が多くあります。月1~3万円ということは年間で12~36万円も収入が増えることになります。
②就職・転職に有利
もう1つの大きなメリットが、就職・転職で有利になることです。
不動産会社は、従業員の5人に1人の割合で宅建士を雇うことが義務付けられています。会社の規模が大きくなればなるほど多くの宅建士が必要になるということです。
しかし、宅建の試験は合格率が15%前後と、なかなか難しい試験のため、現在いる従業員に宅建の資格を取らせようとしても、そう簡単に受かるものではありません。
そのため、不動産業界に就職・転職を考えているなら宅建士の資格を持っているだけで採用される可能性が大いに高まるわけです。
③独占業務ができる
「宅建とは」ですでに説明しましたが、宅建士は業務独占資格です。以下の3つの業務は宅建士に限られています。
(1)不動産取引時の重要事項の説明
(2)重要事項説明書(35条書面)への記名・押印
(3)契約書(37条書面)への記名・押印
不動産会社が顧客の契約を進める際、これらの業務はいずれも省略できません。言い換えるなら不動産会社において宅建の資格を持っている人は独占業務のできる不可欠な存在なのです。
6.宅建に合格するための勉強方法
宅建に合格するには「独学」「通信講座」「スクール通学」の3つの勉強方法があります。また、高校生の時点で不動産業界を目指すことを考えているなら、宅建取得のためのコースがある大学に行くのも1つの方法です。
①宅建を独学で勉強する
(1)勉強時間
宅建を独学で勉強する場合に必要な勉強時間は、基礎知識がある人と全く知識がない状態で始める人とでは大幅に異なります。宅建試験に合格するための一般的な勉強時間は300時間程度と言われています。しかし、まったくの初心者の場合500時間ほどかかる人もいて、逆に基礎知識や経験がある人は100時間~200時間で合格している人もいます。
300時間を目安に考えると、毎日2時間勉強を続けたとしても150日(約5カ月)かかります。仕事や学校の勉強で毎日2時間取るのが難しい人も多いでしょうから、1年くらいで合格することを目標にするのが良いでしょう。長期では続かないと思われる方は平日2時間、週末は4時間くらい勉強することで、3か月ほどで準備ができるでしょう。
(2)勉強方法
●まずは、出題される4科目の特徴を知りましょう。科目に合わせて勉強方法を変えることが重要です。
●自分に合った市販の参考書を購入し、何度も繰り返し読みます。1度目は大まかに全体を把握し、2度目、3度目と徐々に詳細が理解できているか明確にしながら進めていきます。
●参考書が大体理解できたと感じたら、市販の問題集を購入します。1度目は参考書を見ながら解いていき、次から何も見ないで解いていきます。分からない所はすぐに解答を見てしまわずに、じっくり考えてみてください。間違えたところは再度参考書を見て復習しましょう。
●問題集が90%以上解けるようになったら、過去問を購入して試験と同じ条件で解いてみてください。過去問を100%に近づけることで、似たような問題が出ても焦らずに対応できるようになります。
②通信講座で勉強する
宅建は独学でも合格できる試験ではありますが、独学で勉強することに自信がない方や、勉強の仕方が分からない方は、通信講座で勉強をしたいという方も多いのではないでしょうか。
自分でスケジュールを組んで計画的に学習しなければなりませんが、分からない所があれば専門知識を持つ講師に質問することができます。挫折しないためのスケジュールのサポートやアドバイスをももらえます。スマホのアプリから勉強できる通信講座もあるので、時間や場所に関係なく、学習できるのが魅力です。
③スクール通学で勉強する
独学や通信講座で挫折してしまった方や、今までに資格検定などで挫折してきた方は、費用は掛かりますが、直接通学して学ぶことをお勧めします。
スケジュールもしっかり組まれ、参考書や問題集を用意してもらえて、分からない所があればその場ですぐに講師に質問をすることが出来るのが大きなメリットです。また、周りに同じ勉強をしている人がいることもモチベーションアップにつながるでしょう。
④大学・専門学校で学ぶ
宅建の資格取得に必要な授業を含む大学や専門学校、そして学部もあります
経営学や経済学、法学部など、様々な大学や専門学校で宅建の資格習得を目的とした授業を行っています。
資格取得やインターンシップといったキャリアサポートが充実している、日本経済大学の福岡校・渋谷校・神戸校の経済学科公務員コースの授業には、在学中に取得可能な資格に宅地建物取引士が含まれています。
多くの大学が3年次から就活支援を開始する中、日本経済大学では1年次からキャリアデザインを形成し、就職活動を見据えた支援をしています。1年次から将来のビジョンを持ち、専門分野を学べるのが日本経済大学の特徴です。
おわりに
宅地建物取引士資格の概要や、内容、メリット、勉強方法などを紹介させていただきました。計画を立てて、それにそってしっかり勉強すれば、合格が難しい資格ではありません。
宅建の合格を目指して頑張ってください!