これから大学に進学して経営学部に進みたい、編入して経営を学びたいと考えている人もいるでしょう。
では、大学で経営に関する専門的なことが学べる経営学部には、どんな人が向いているのでしょうか。
今回は、経営学部に向いている人の特徴、経営学部の具体的な学習内容、学んだことを活用できる仕事などについて、詳しく解説しましょう。
経営学とは
企業・組織の仕組みや戦略などについて学習する学問です。経営において重要なのは、経営そのものを動かす「ヒト」、人が生み出す製品・サービス(モノ)、流通するお金、情報や時間など(資源)などが挙げられます。これらをどのように生み出すのか、どう配分するのかを学習するのが経営学であり、それを学ぶ場所が大学の経営学部なのです。
経営学部で勉強をすれば、経営や労務、生産に関する管理など、経営を実施するうえの具体的な知識を覚えられます。それらをマスターすれば、「あの企業はなぜ成長しているのか」「どのような市場開拓をしているのか」といった分析が可能になるのです。
似たような学問に経済学・商学があります。経営学は企業や組織を対象としていますが、経済学は国や市町村、商学は製品やサービスが研究対象です。経済学は全体的な経済の動向、商学は製品などの取引についての学問であり、大学の経済学部・商学部では、その領域を学習します。
経営学部で学ぶこと
では、大学の経営学部では、具体的にどのようなことを学ぶのでしょうか。次より経営学部で学ぶ4つの主軸について説明しましょう。
経営および組織戦略
経営や組織に関する戦略とは、企業・組織が経営に関する目標を設定して、それを達成するための計画を指します。計画の具体的な内容は、目標を達成するための活動方針・活動のためのチーム編成などです。
この考えた方は、もともと軍隊が用いていたものですが、大勢が集まって実践する経営に関する業務にも適応できるため、経営学にも導入されました。
大学の経営学部では、理念に基づきながらも時代ごとの変化に合わせつつ、構築していく戦略について学習します。
経営に関する哲学や歴史・文化
過去の成功例・衰退例を学ぶのが経営に関する哲学や歴史、文化という項目です。各企業・組織が成功した理由である独自の哲学、過去の経営史やその時代ごとの文化を研究します。それにより、企業の価値観や行動様式が明確になり、成功・衰退の原因がわかる仕組みです。
過去の情報に加えて、自己の経験をプラスすることで、未来の理想の経営システム、成功のための指針を決めるヒントになるでしょう。
財務・会計
企業・組織の経済活動の記録および分析をするのが、財務・会計という項目が、財務・会計です。財務・会計は財務会計・管理会計という2種類があり、前者は投資家への材料提供、後者は経営者、役員への情報提供となります。
大学の経営学部では、借対照表やキャッシュフロー計算書、損益計算書の仕組みなどを学習して、経営状況の分析を覚えます。
マーケティング
消費者のニーズを分析して自社の製品・サービスに反映させるのが、マーケティングです。経営学部では、商品やサービスの企画・開発、宣伝などを分析して、「一体何が売れるのか、どうやれば売れるのか」という仕組みを学びます。
開発や流通、営業戦略、広告などについて研究するのが、経営学部のマーケティングです。
経営学部に向いている人
大学進学の際、特に行きたい学部がないために経営学部を選んだという人もいるかもしれません。しかし、自分に見合ってない学部に入学するとせっかくの貴重な学習期間が無駄になってしまいます。自身が本当に経営学部に適しているか、事前によく考慮すること大事です。
では、経営学部に向いている人はどんな特徴があるのか、次より説明しましょう。
将来、起業・個人開業を目指している人
学生のなかには「人に使われるんじゃなくて、自分が社長・雇い主になりたい」と野心を持っている人もいるでしょう。そのような人は、自身が考案した製品やサービスのアイデアだけが先走ってしまい、それらを流通させる手段を知りません。
サラリーマンとして優秀な実績がある人が、独立開業したとたんに失敗するという例はよくあります。そのような人は職人・アイデアマンとしては優秀ですが、ビジネスマンとしては知識がないために失敗してしまうのです。
優秀でありながらも社会に出て失敗してしまう原因を補うのが、大学の経営学部です。経営に関する知識・ノウハウを、経営学部でしっかりと学べば、起業・個人開業をしても、豊富な知識を駆使してスムーズに開業・運営が行えるでしょう。
普段からリーダーシップを発揮している人
普段から大勢の中心にいてリーダー格になる機会の多い人、あるいはそのような立場が好きな人は、経営学部に向いているでしょう。
そのような人は、先述したように自身で起業したいというタイプが多く、また、大勢の中心にいるため多くの人をまとめ上げる能力に長けています。また、大勢の人とコミュニケートを図るのが好き・得意である場合が多いです。
普段から人に指示を出してその場をまとめ上げるのが得意・リーダー肌の人が経営学部で経営に関する知識を学べば、従来の能力に加えて経営の知識も駆使して、社会的に成功する可能性は高いといえるでしょう。
親の跡を継ぐ人
親がやっている店舗を受け継ぐ人にも、経営学部での学習は大いに役立つでしょう。親の世代のなかには「勉強よりも実際に働いたほうが仕事のイロハをすぐに覚えられる」という昔ながらの考えの人も少なくありません。確かに机上の論理よりも、汗をかいての実務経験のほうが何倍も得るものはあるかもしれません。
しかし、経営学部では、マーケティングなど多くの経営に関する仕組み・論理を研究します。そのような知識を得たうえでの実務は、親にはなかった発想が生まれて、新しい顧客開拓・経営方針が生まれる可能性も高いです。
親から受け継いだ店舗をより活性化させるためにも、経営学部で学んだことは決して無駄にはならず、むしろ大きなプラスとなるでしょう。
将来の選択肢を増やしたい人
経営学部で学ことは、マーケティングなどさまざまな分野であるため、経営に直接関係のない分野にも応用がきくのが特徴です。実際に経営学部出身の人は、経営以外のさまざまな業界に就職しています。
また、経営学部で学ぶ経営に関する多くのことは、決して時代ごとに激変するわけではなく、普遍的なものです。そのため、どんな時代の変化が起きても通用する理論といえるでしょう。
経営のシステムだけでなくリーダーシップ論・顧客の心を掴む心理学の要素も学ぶために、どの時代・どんな業種にも応用できるでしょう。
経営学部で学んだことが活かせる仕事
経営学で学ぶことはどの分野にも応用できますが、そのなかでもどのような仕事に就けば、その知識を活かせるでしょうか。経営学部で学習したことが大いに活用できる仕事を、次より紹介しましょう。
店舗の店長・オーナー
経営学部で学んだことがダイレクトに生かされるのが、実際に店舗を経営する店長・オーナーです。
昔は店舗を構えないと店長はできませんでしたが、現在ではネット上にショップを構えるネットショップのオープンが可能なので、店舗の維持費など一切不要で店長・オーナーになれます。
店長・オーナーの役割は、商品・サービスの提供、仕入れ、商品および労務管理、運営資金の調達および管理、店舗内のディスプレイなどです。また、自分以外で従業員を雇う場合は、給与の手配からスタッフへの指示、教育なども行わなくてはいけません。
経営学部で学んだことが、大いに発揮できるでしょう。
金融業などへの就職
経営学部出身の人すべてが経営側にまわるわけではなく、正社員として一般企業への就職も多く見られます。
最も多いのが、銀行・証券会社・保険会社などの金融業界です。経営学部で学んだ会計・経済の知識が役立ちます。金融業界は人気の職種であるため、経営学部出身は即戦力として大いに期待される傾向です。さらに金融に関する資格取得もしておけばさらに就活の際は好印象となるでしょう。
そして、製品・サービスを提供するメーカー業界も、経営学部出身の人が多いです。製品やサービスを作りだす担当ではなく、営業・販売促進などを任せられることが多く、経営学部で学んだ知識が活用できます。
また、経営学部出身者は、情報通信業界へと進む人も少なくありません。経営学と関係のない業界と思われていますが、経営学部では、情報通信技術・情報技術も学ぶために、その知識が大いに活かされます。
情報通信に関するスキルも身に付ければ、経営学の知識がある技術者にもなり、両方の知識を持てば需要のある存在となれるでしょう。
経営コンサルタント
企業からの依頼を受けて、その企業の経営状態を分析、その後に経営改善のためのアイデア提供・アドバイス・サポートを行う業務が、経営コンサルタントです。経営学部出身者は、学部で学んだ知識を活かして、コンサルタント業へと進む人も珍しくありません。
コンサルタント業務を始める人は、経営学部出身者以外では、以下のようなパターンがあります。
- コンサルティング専門企業(コンサルファーム)で教育を受ける
- 他の業種(税理士や会計士など)で活躍した人が、経験と人脈を活かしてコンサル業に転向
- 人材の少ない業界で活躍した人がその知識を活かして個人事業でコンサル業を始める
このようにコンサルタントは、コンサル業専門の教育を受ける、他の分野に精通した人が転向するというケースも少なくありません。他との差別化を図るためにある程度の実績や経験、人脈を形成する必要があるでしょう。
スーパーバイザー
コンサル業と似ている業種であり、企業や店舗に在籍せずに外部からサポート・アドバイス・実質的な業務を行うのが、スーパーバイザーです。この業種は手がける案件によって、以下のように役割に大きな違いがあります。
- エリアマネージャー(店舗管理)
- スタッフ教育およびシフト作成や面談など
- 企業とクライアントの仲介役
その時々によってやるべきことが変化するので、多様な知識・スキルが必要です。
まとめ
経営に関する知識は、独学ではなかなか身につかないものです。そのような複雑かつ多様な知識を学べる場所が、大学の経営学部といっていいでしょう。
この学部に通うメリットは多様な知識の吸収だけでなく、同じ志を持った学友に出会えることでもあります。大学で出会った仲間たちはプライベートの付き合いだけでなく、卒業後のビジネスの人脈にも発展することは珍しくありません。たくさんのメリットがある経営学部で多くの知識を学びましょう。
「日本経済大学」では、留学生の就職活動の支援を目的とした、留学生対象の専門ゼミを開講しています。そこでは、BJTビジネス日本語能力テストの受験を推奨し、学習も行っています。
■日本経済大学(都築学園グループ / (学)都築育英学園)
都築学園グループは、「個性の伸展による人生練磨」を建学の精神とし1956年に設立。2018年に開学50周年を迎えた日本経済大学は経済・経営の実学に特化した2学部6学科17の専門コースを持つ日本有数の留学生を抱える国際色豊かな大学です。