大学に在籍した時点で、起業をして社会的な成功を収めたいと考えている人もいるかもしれません。
大学生という若さ・勢い・思い切りの良さは、他の事業者にはない、大きな武器となるでしょう。大学生の起業は決してリスクが大きいだけではありません。
しかし大学生という社会的経験の浅い人間が勢いだけで起業をしてしまうと、大きな失敗をする可能性も大きいです。
では、大学生の起業は、事前にどのような勉強を行えばいいのでしょうか。
今回は、大学生起業のよくある失敗例、起業の大事なポイント、企業に備えて経験するべきことについて、詳しく解説していきましょう。
大学生起業で失敗する例
大学生起業の武器はその若さです。若い感性・フットワークの軽さは年配者にはないものなので、大きなアピールポイントになるでしょう。
しかし、若いことがアピールポイントとなるのは最初だけで、人生経験・知識量の浅さにより、失敗する例も少なくありません。
では、大学生起業ではどのような失敗例があるのか、以下より紹介します。
学生気分の延長で起業
大学生の起業でよくあるのがサークル仲間や仲の良い友達同士で、起業をするパターンです。サークルに関してはイベントなどの面倒な仕切りを経験しているため、そのような作業の延長として起業をする場合があります。
確かに、サークルによっては、大勢と関わっての金銭が発生するイベントも行いますが、それはあくまで趣味・遊びの範囲です。
「サークル活動でいろいろと面倒なことを経験しているから、起業してもやっていけるだろう」という感覚で起業をする人もいますが、学生のサークル活動と実際の事業は大きく違います。
起業した時点で、学生の世界と実際の社会とのギャップを激しく感じて、挫折するというパターンは少なくありません。
資金不足
起業をするうえで大事なのは資金です。事業を開始する際は、法人登録費用、事業のための環境や備品などが必要なので初期費用がかかります。
しかし、今ではスマホ1台で仕事が可能な時代であるとはいえ、それをそのまま鵜呑みにして、大した初期費用を準備しないで起業すると、事業は失敗します。
起業をした時は仕事が軌道に乗るまでランニングコストを数ヶ月分は準備することが必要です。しかし、仕事がうまくいくことを予想して、先々のことを配慮しないでいると事業は続かないでしょう。
資金が準備できない場合は銀行融資などの資金繰りの手段がありますが、その手段すら知らないまま起業して失敗する例もあります。
起業後のビジョンがあいまい
起業をするうえで大事なのは事業のコンセプトを明確にして他の事業との差別化を図ることです。そして、自身が手がける商品・サービスをいかに多くの人に知ってもらうか、というマーケティング・宣伝に関する知識も欠かせません。
しかし、そのような大事なポイントを考えずに「友達多いから宣伝する必要ないだろう」という甘い考えで、起業する大学生もいます。確かに学生時代の友達の多さ・人脈は起業において大きな武器です。
しかし、そのような人たちは最初こそ御祝儀代わりに商品・サービスにお金を払ってくれますが、それが継続することはほとんどないといってもいいでしょう。
自身の周囲だけの人脈に頼らず、いかに多くの人に届けるかという手法を考えないと、起業は失敗するでしょう。
他の事業をそのまま真似する
大学生の企業でありがちなのが、他の成功例の情報を鵜呑みにするというパターンです。これは、起業に関する情報不足・社会的な経験不足な人にありがちなことで、そのような人は情報不足を補うために、本やネットなので情報収集をしてそれを実践します。
本を読むなどの勉強をすることは決して悪くないですが、それを参考にして自分独自の起業を行わないと、それはただの真似事です。真似事は、すでにある商品・サービスの路線をそのままなぞっているだけなので、差別化にはなりません。
起業のために押さえておくべきポイント
大学生の起業は、勢い任せで見切り発車の場合が少なくありません。若さ特有の勢いも企業においては一つの売りにはなりますが、冷静になって大学生の起業では何が重要なポイントなのか、事前にしっかりと考えることが大事です。
では、大学生の起業において大事なポイントとは何か、次より紹介しましょう。
会社設立、経営方法の手順
起業をするためには、ただ「こんな仕事をしたい」とぼんやり考えるだけでなく、実際にどのようにして会社を設立するのか、どのようにして経営を進めていくのか、という具体的な手順を勉強しなくてはいけません。
会社設立までの手順は以下の通りです。
- 事業計画書の作成
- 資金調達
- 個人事業主・法人、どちらで起業するか選択
- 開業届を提出
企業のためにどのようなことをクリアしなければいけないのか、手順をしっかりと頭に入れておきましょう。また、起業したあとのランニングコストなどを計算しておくことも大事です。
何をやりたいかコンセプトを明確にする
先述した事業計画書作成の段階でやることが、起業のコンセプトを明確にすることです。ただこういう商売をやってみたい、今こんなのが流行っているからやってみたい、という曖昧な考えだと、世間に存在する商品・サービスとの差別化が図れずに、まったく相手にされないでしょう。
また、事業企画書は、融資やクラウドファンディングなどの資金繰りを行う際に、重要なものです。その重要な書類の中身が魅力的でないと、融資・クラウドファンディングでの資金調達は実現しません。
自分が起業して何をやりたいか、他の商品・サービスとの差別化はどのポイントなのか、この商品・サービスがどのような層に届いて消費されるのか、といった具体的なプランを起業前にしっかりと構築することが大事です。
営業・マーケティング
起業というものは、ただ商品・サービスを開発すれば、自然に売れるものではありません。購入してくれる顧客を見つけるためには、営業およびマーケティングも重視しないといけません。
営業およびマーケティングで重要なのは、以下の項目です。
・営業
- 目標を明確にする
- 現状の足りない点を把握
- 駄目な点はすぐに改善
・マーケティング
- 商品、サービスの魅力、内容を短い言葉で表す
- 競合を見極める
- メインの層を明確にする
- 商品、サービスのメリット(他社にはない点)を伝える
これらは事業計画書、コンセプトづくりの際にも通じる部分はありますが、購入して欲しい層を明確にすることが大事です。
広告宣伝
広告の種類は、雑誌などの紙媒体、ネット広告、チラシ配布などです。どの種類の広告が宣伝に効果的であるかは、その商品・サービスの性質によって異なります。
大学生などの若い層にとっては、SNSなどがその拡散力によって効果的と思われていますが、良い面も悪い面もあっという間に拡散されてしまうのが、SNSなどのネットの特徴です。もし提供した商品・サービスに不具合があった場合、そのネガティブな面ばかりが拡散されてしまう恐れがあります。
どの種類の広告手段を選ぶか、そしてどのような宣伝を行うか、事前に考えておきましょう。
資金繰り
大学生にとって大変な作業が起業のための資金調達です。大学生は社会的な実績および経験がないため、ビジネスの信用度が皆無です。そのため、銀行にいって多額の融資が受けられることはほとんどないでしょう。
大学生の起業で可能な資金調達は、以下の方法があります。
- 自らの貯金
- 家族、親族、知り合いからの借金
- クラウドファンディング
- 日本政策金融公庫からの借入
- 補助金、助成金
このようにいくつかの方法がありますが、必ず貸してもらえるという保証はありません。上記の資金調達法で確実といえるのが、日本政策金融公庫からの借入です。
日本政策金融公庫は、事業再生、起業を支援する金融機関で、民間の金融機関と異なり政府からの出資となっています。
低金利、保証人なし、無担保と、審査を通過するハードルも低くなっているため、社会的な信用度のない大学生でも借入しやすいのが特徴です。
起業の勉強のために大学生が経験しておくこと
大学生は学生であって社会人経験がないから起業しても難しいのではという意見もあります。しかし大学生であっても十分にあらゆる経験・勉強をすることは可能です。では、大学生が起業の勉強のために経験すると役立つこととは何か、次より紹介しましょう。
あらゆるアルバイトを経験する
社会・人生経験になるノンがアルバイトです。自分が起業で手がける商品・サービスに関係するアルバイトをすることは、起業の勉強にもなりますが、メリットはそれだけではありません。
現場にいる従業員および顧客との交流を通じて、コミュニケーションスキルや情報収入も実現します。また、仕事における辛い体験も一つの勉強になるでしょう。アルバイトの経験数が多ければ多いほど、その数だけ多くのものを得られます。
起業サークルの加入、スクールやセミナーに通う
大学の起業サークル、起業スクールや経営塾、起業セミナーなどに顔を出すこともおすすめです。有益かつ実用的な情報、企業に関する最新情報が入手できます。また、そこの集まる業界の先輩方および横の繋がりもできて、人脈を作ることも可能です。
ただし、スクールやセミナーのなかには「わずかな実働時間で高収入が可能!」「スマホ1台で月収◯万円が実現」など、怪しいコピーを掲げて生徒を募っているところもあります。
そのスクールやセミナーが本当に信用できるところなのか、事前に口コミや評判を調べておくことが大事です。
読書
起業に関する書籍も多数出版されているので、それらを読むのもいいでしょう。本は、その著者が数十年かけて築き上げた成功のノウハウが書かれているので、いかに成功したか、どんな点に苦労したかなど、貴重な情報を多く吸収できます。
ただし、先述したスクールやセミナー同様に、うまいコピーで購入者を釣る手口の書籍も決して少なくないので、事前に口コミやレビューなどを調べておきましょう。
まとめ
大学生のなかには、学生の身分で自ら事業を始めて社会的に大きな成功をしたいと考えている、野心の大きな人もいます。そのような人は、野心が大きいあまり何も考えずに、いきなり勢いだけで起業してしまう人も少なくありません。
野心が大きいのは決して悪いことではありませんが、何も考えずに勢いだけで起業してしまうと、あとになって大変な苦労をすることになります。
野心が強い人は、あらゆる逆境を跳ね返すバイタリティがある人が多く、また実際に実践をして失敗を繰り返すことによって学ぶこともあるため、勢いの起業は決して悪い面だけではありません。
それでも事前の準備をしていれば、少しでも円滑に事業が進み、成功への道のりも一段と早くなるでしょう。そのために、事前の勉強は大事といえます。
今回は、大学生の企業における大事なポイントについて解説しました。起業を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
「日本経済大学」では、留学生の就職活動の支援を目的とした、留学生対象の専門ゼミを開講しています。そこでは、BJTビジネス日本語能力テストの受験を推奨し、学習も行っています。
■日本経済大学(都築学園グループ / (学)都築育英学園)
都築学園グループは、「個性の伸展による人生練磨」を建学の精神とし1956年に設立。2018年に開学50周年を迎えた日本経済大学は経済・経営の実学に特化した2学部6学科17の専門コースを持つ日本有数の留学生を抱える国際色豊かな大学です。