さまざまな場面で見られる接客業・販売業に、専用の資格があるのをご存知でしょうか。その資格とは「販売士検定」です。この資格を取得すれば幅広い知識・高度なスキルを取得していることの証明になるので、扱える業務が拡大します。
しかし、一般的に販売士検定という資格は、それほど馴染みがない資格といえるでしょう。そこで今回は販売に関する資格である販売士検定について、以下のポイントを解説しています。
- 販売士とは
- 販売士のメリット
- 販売士になる方法とは
- 販売士検定の対策
販売の資格に興味がある人、実際に資格取得を検討している人は、今回の記事をぜひ参考にしてください。
販売士とは
販売士とは、販売士検定という資格取得試験に合格したものの総称です。販売士検定とは、日本商工会議所という機関が運営している資格で、この資格試験に合格して販売士の資格を取得するためには、販売に関するあらゆる知識・スキルが必要となります。そして、この資格を取得すれば、以下のような要素が身に付いている証明となるのです。
- 接客に関する基礎的な知識
- 取扱い商品に関する専門的な知識
- 売場や店舗を管理する能力
- 経済の動き全体からみた店舗経営
就職・転職活動の際は、資格取得しているだけで、上記のようなスキル・知識を持っていることになるので、有利となるでしょう。
販売士の資格は、1〜3級に分かれています。数字によってレベルが異なるのが特徴で、級が上がるほど販売に関する高度な知識が要求される仕組みです。では、販売士の級はそれぞれどのような特徴があるのか、以下より級ごとの特色について説明しましょう。
3級
一般的な売場で働いている販売員のレベルといわれているのが、販売士3級です。接客に関する最低限のマナーやルールの把握、扱う商品に関する知識、販売スキルなどが問われます。
2級
一般的な売り場のリーダー的な立場、管理者レベルなのが、販売士2級です。3級で学習した知識・スキルはもちろん、売り場の従業員に対しての指導・育成、商品在庫の管理、仕入れの手順など、店舗全体を管理するスキル・知識が要求されます。
1級
経営者・店長クラスのレベルといわれているのが、販売士1級です。 2〜3級で学習する知識・スキルを踏まえたうえで、商品や店舗のマーケティング知識、商品計画・予算の策定などの企画などの知識・スキルが要求されます。
さらには人事や労務、財務管理といった運営に関する総務の知識も求められるので、販売以外の業務でも大いに活用できるでしょう。
販売士のメリット
販売士の資格取得をした場合、具体的にどのようなメリットが生じるのでしょうか。販売士の資格取得におけるメリットを、次より紹介しましょう。
メリットその1・「販売のプロフェッショナル」の証明になる
販売士の資格取得をしていれば、販売のプロ・専門家であることの証明になります。販売や接客に関する業務は、特別な資格・資格取得者でないと使用不可能なアイテムなどが必要ないので、接客に関するある程度の適応力があれば誰でもできる仕事です。そのため、販売に関する資格は意味がないのでは、と思っている人もいるでしょう。
しかし、販売士の資格があれば、多大な知識とスキルを学習している証拠になります。資格取得者でないと得られない知識を所有しているため、お客様が喜んでくれるための接客のポイント、どのように商品配置をすれば商品が魅力的に見せられるかといったアドバイスをすることが可能です。
それにより、店舗全体がレベルアップして、ますます集客にも良い影響がでることでしょう。そのような実用的・効果的なアドバイス、サポートが可能になるのが販売士という資格なのです。
メリットその2・小売業のスペシャリストになれる
販売士という資格の名称だけを聞くと、店頭に出ての商品販売・接客業をやる人というイメージが思い浮かぶ人も少なくないでしょう。確かに販売士はそのような業務も担当し、それに関する知識・スキルを持っている資格取得者です。しかし、販売士の資格の内容はそれだけではありません。
販売士の資格は、接客・販売だけでなく、以下のようなことも学習します。
- 販売促進のための企画
- 店舗に関するマネジメント
- 在庫管理・商品仕入れの手順、計画
- 出店に関する戦略
- 販売マーケティング
上記のような知識・スキルは、実際に店舗経営、小売業に深く関わらないと学ぶことは難しいでしょう。しかし、販売士の資格取得をすれば、そのような高度な知識・スキルを習得することが可能なのです。就職する前から知識・スキルが豊富なため、就職・転職活動の際、販売士の資格は大いにアピールポイントとなるでしょう。
実際に経験しなくても、店舗管理および運営など小売業に関するスペシャリストになれるのが、販売士の強みです。
メリットその3・AI社会になっても十分にニーズがある
あらゆる業種にとって脅威の存在と言われているのが、AIです。今まで人間が行っていたあらゆる業務がAIに取って代わられるために、仕事がなくなってしまうのでは、という意見は少なくありません。
接客業・販売業に関する業務では、無人レジ・ロボットなどの導入を図っているところも珍しくなく、近年で大きな変化が訪れています。
また、AIに限らず、ネット・スマホの普及によりネット経由での買い物、ネットショップ運営は当たり前になっているため、実際の店舗経営および接客業という存在は、危うくなっているという意見も少なくないでしょう。
しかし、販売業・接客業の抜本的な理念は、「いかにお客様に満足してもらうか」という点です。店舗の雰囲気、従業員の人柄、そして本物の商品を見て感じることが可能なのが、店舗経営といえます。そのようなものを求めて足を運ぶユーザーはいつの時代でも不変で、ネットショップが横行する現在においても十分に通用しているのです。
そのため、ハイレベルな販売業・接客業が身に付いている販売士の資格は今後も十分にニーズがあるといえるでしょう。
デメリットも決してゼロではない
先述した通り、販売士資格の取得は小売業の専門家・プロフェッショナルであることの証明といえます。しかし販売士の知識・スキルがあるだけで販売業・接客業のすべてが上手くいくとは限りません。
ひとくちに小売店といっても、扱う商品・その店舗に集まる客層、店舗周辺の雰囲気など、小売店の種類は多岐にわたります。そのため、その小売店にふさわしい接客方法を構築しないといけません。
販売士資格取得で学習した知識・スキルだけですべてが円滑にいかないパターンもあるために、知識やスキルのアレンジ、新しく学習する姿勢が必要といえるでしょう。
販売士になる方法とは
販売士になるには、販売士の資格試験である販売士検定(リテールマーケティング検定)を受験して、合格しなくてはいけません。販売士の資格はレベルごとに1〜3級と分かれていますが、試験科目はどの級も統一されています。試験科目は以下の通りです。
- 小売業の類型
- マーチャンダイジング
- ストアオペレーション
- マーケティング
- 販売・経営管理
ただし、級は試験時間・合格基準・受験料に以下のような違いがあります。
3級
- 試験時間:60分
- 合格基準:1科目ごとの得点が50点以上、平均の得点が70点以上
- 受験料:4,200円
2級
- 試験時間:70分
- 合格基準:1科目ごとの得点が50点以上、平均の得点が70点以上
- 受験料:5,770円
1級
- 試験時間:90分
- 合格基準:各科目70点以上
- 受験料:7,850円
販売士検定の対策
販売士資格取得の試験である販売士検定(リテールマーケティング検定)に合格するためには、効率的な勉強を進める必要があります。
円滑に勉強を行うためにはどうすればいいのか、以下よりそのポイントを紹介しましょう。
試験内容の把握、それに沿った学習計画の構築
販売士の知識が身に付く勉強法で大事なポイントは、販売士資格取得試験の特徴を把握して、それに沿った学習プランをつくることです。試験の特色を把握していれば、自分にとって力を入れて学習する点(苦手分野)とそうでない点がはっきりとわかり、勉強がスムーズに進められるでしょう。
また、過去問を何度かやっていると、主題範囲が把握できるので、どの分野が試験で重要視されているかわかってきます。人によっては、試験に出ないところを重点的に学習するという間違った勉強法を続ける人もいるので、そのような無駄は避けなくてはいけません。
「ここは難しい項目だから重要なところだ」と勘違いして無駄な時間を費やす人もいるので、無駄を省いて円滑に学習を進めましょう。
効率的な勉強ツール・方法の導入
販売士資格取得のための学習を円滑に行うためには、どのような学習ツールを使用するか・勉強方法を選択するかが大きなポイントです。
効率的な学習方法を実践すれば、短い時間で密度の高い成果が期待できます。知識のインプットを行うには大事な箇所をノートに取る方法を行なっている人もいるでしょうが、長い目で見ると効率的とは思えません。
しかし、スマホやタブレットで使用できるツールを利用すれば、どこでも気軽に使用可能で、要点をまとめるのにも苦労しないでしょう。
ちょっとした隙間時間でも使用できるので、時間を無駄にすることなく、スムーズな学習方法が実現します。
本番の試験を意識する
もし短期間学習での販売士資格合格を目指す場合、勉強の時点から試験本番と同様の緊張感を持って勉強に挑むといいでしょう。
販売士資格試験の本番は、大きな範囲の知識ではなく、販売士に関する情報を整理した状態でアプトプットするかが重要です。知識量を増やすことも決して無駄ではないですが、知識の体系・関連項目をはっきりと整理して頭に入れておくことが大事といえます。
また、試験でよくあることは、普段の販売・接客の現場で使用されている言葉と試験に出る言葉が異なるケースです。これにより試験の問題を間違えるパターンもあるので、現場で使う言葉・試験で使う言葉を整理しておきましょう。
無理のないペースを継続
効率的・円滑な学習を進めるうえで大事なのは、無理のない学習計画を構築することです。やる気があるあまり張り切ってタイトな学習スケジュールを組む場合、それをしっかりとこなせば何も問題はありません。
しかし、長い目で見ると日常生活に支障をきたしてしまい、逆にインプット作業の能率が悪くなる可能性もあります。やる気があることはいいですが、張り切り過ぎずに余裕のある学習プランを組むことが大事といえるでしょう。
通勤時間などがある人は、その時間を有効利用するなどの学習プランを構成するのがおすすめです。そのような学習方法であれば、日常生活に負荷がかからず、無理のないインプット作業ができます。
まとめ
今回は、販売の資格である販売士について解説しました。今回解説したポイントをあらためて振り返ってみましょう。
- 販売士とは
- 販売士のメリット
- 販売士になる方法とは
- 販売士検定の対策
一般的には馴染みの薄い販売の資格について、多角的に詳細を解説しました。販売士の資格を取得した場合のメリット、販売士資格取得の方法およびその対策など、具体的に解説したので、ぜひ参考にしてください。
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■日本経済大学(都築学園グループ / (学)都築育英学園)
都築学園グループは、「個性の伸展による人生練磨」を建学の精神とし1956年に設立。2018年に開学50周年を迎えた日本経済大学は経済・経営の実学に特化した2学部6学科17の専門コースを持つ日本有数の留学生を抱える国際色豊かな大学です。