1. 「環境情報学部」とはそもそも何か?(共通理解を先に作る)
環境情報学は、環境(Environment)と情報(Information)を横断し、現実の社会課題をテクノロジーとデザイン、政策・経営で解く学際領域です。典型的な学びの柱は次の通り(大学により名称・比重は異なります)。
-
サステナビリティ/環境政策:気候変動、資源循環、自然共生、都市計画、LCA(ライフサイクル評価)
-
データサイエンス/GIS/リモートセンシング:衛星データ・センサー・統計・可視化で意思決定を支援
-
情報工学/IoT/AI:センシング、予測モデル、最適化、環境モニタリング基盤
-
デザイン/UX/サービス設計:行動変容、情報デザイン、プロトタイピング、社会実装
-
バイオ・アグリテック:微生物・合成生物学・土壌・食、地域循環の仕組みづくり
-
サステナブル・ビジネス:ESG、サーキュラーエコノミー、ローカルビジネス、公共×企業連携
-
メディア/コミュニケーション:社会合意形成、ナッジ、ファクトチェック、科学コミュニケーション
志望理由では、これらのうち自分の課題意識と適性がどこに位置するかを明確にし、大学の学び→将来の社会的価値へつなげて語ることが鍵です。
2. 大切な三つの観点「志望理由の3要素」
(1) 課題意識(Why me?)
-
きっかけ:地域の豪雨・土砂災害、プラごみ、ヒートアイランド、フードロス、農業の担い手不足、再エネ導入の課題、情報の分断 etc.
-
“環境×情報だからこそ”の理由:データと仕組みで課題を可視化し、人の行動と制度を変えたい など
(2) 適性(Why fit?)
-
事実で示す:探究活動・研究レポート、プログラミング・データ可視化、工作・電子回路、フィールドワーク、映像制作、ボランティア、起業体験
-
具体性が命:いつ/どこで/何を/どうやって/何が変わったか(数値・手順・再現性)
(3) 将来像と大学選択理由(Why now / this program?)
-
関心領域(例:再エネ×データ、海洋プラ×デザイン、地域交通×UX、食と農×バイオ、ESG×ビジネス)
-
カリキュラム・実習・研究室・共同プロジェクトが自分の目標にどう噛み合うか
-
卒業後の姿:自治体・企業・NPO・研究・起業などでどんな価値を生むか(評価指標まで言及)
ポイント:
「課題の設定 → 自分の行動実績 → 大学の学びで広げる方法 → 社会的成果(指標)」を一本のストーリーで。
3.惜しい説明とは?
-
NG:「SDGsに貢献したい」「環境に優しい社会を目指す」だけ
修正:領域・手法・指標をセットに。「食品ロス×需要予測で廃棄率△%削減を目指す」 -
NG:抽象語の連発(イノベーション、共創、持続可能)
修正:プロセスを書く。「仮説→データ収集→分析→プロトタイプ→検証を3サイクル回した」 -
NG:大学固有の学びに触れない
修正:1つの科目・研究室・実習を名指しで(※正確な名称は募集要項で確認し差し替え)
4.志望理由の構造とは
①導入(課題と原体験)
私は【地域・現象】で【具体的問題】に直面し、感覚や善意だけでは解決が進まないと感じました。データと設計で行動と仕組みを変える必要があると考え、環境情報学部を志望します。
②適性(行動と強み)
高校では【活動】に取り組み、【ツール/手法】で【指標】を測りました。結果、【数値】の改善と【学び】を得ました。記録の一貫性/可視化/検証の継続にやりがいを感じます。
③大学選択理由(学びの一致)
【大学名】の【科目・研究・実習】は、【関心領域】でデータ×デザイン×社会実装を往復する私の志向と一致します。特に【固有名詞】は【将来目標】に直結します。
④将来像(社会的価値)
卒業後は【進路】で、【指標】の改善(例:CO₂排出量/廃棄率/交通利便性/参加率)を見える化し、意思決定に使われるデータと仕組みを提供します。
5. 志望理由の例
5-1. 再エネ×データ
台風停電を機に、電力の脆弱性を生活レベルで体感した。文化祭では教室の温湿度・日射量をRaspberry Pi+センサーで収集し、ピーク時の冷房効率低下を可視化。太陽光の発電予測を過去の気象データ×ベイズ回帰で試すなど、仮説→収集→分析→実装を繰り返した。貴学の【エネルギーシステム/環境データ解析/プロジェクト型科目】では、分散電源×需要応答を扱える点に惹かれる。将来は自治体・電力会社・住民が使える需給ダッシュボードを設計し、ピークカット率と停電脆弱性指数の改善で地域のレジリエンスに貢献したい。
5-2. 海洋プラ×デザイン
海岸清掃で、拾っても翌週には戻る現実に無力感を覚えた。そこで発生源に近い対策として、商店街で量り売り+行動ナッジの実験を提案。ポスターはビフォー/アフターの写真比較と年間削減見込みを提示し、月間レジ袋使用数が18%減。この経験から、情報設計が行動を変える手応えを得た。貴学の【情報デザイン/社会実装演習/地域連携】で、行動科学×可視化を体系化したい。将来は企業・自治体と連携し、リユース容器のUXや可視化ダッシュボードで回収率と再利用回転率の最大化に挑む。
5-3. 地域交通×UX
祖母の外出が減り買い物難民化を目の当たりにした。コミュニティでオンデマンド交通の実証に参加し、待ち時間×満足度の関係を調査。アプリの文言と色の変更、乗降場所の再配置で平均待ち時間-4.1分、利用継続率+12%を達成。貴学の【UX設計/都市・地域デザイン/データ可視化】は、人の移動体験から設計する自分の志向に合う。将来は自治体や事業者とMaaSのKPI設計を行い、移動困難者の外出回数と健康指標の改善を両立させたい。
5-4. 食と農×バイオ・アグリテック
学校菜園で気候の不安定化を実感。土壌水分センサーと気象APIで潅水制御を行い、平均使用水量-23%。微生物資材の比較では二重盲検に近い形で区画を分け、収量+15%を記録。貴学の【農環境科学/生物学基礎/IoT実習】で、センサー×バイオの統合を深めたい。将来は都市近郊農業の回復力を高めるため、水・土・エネルギーの循環設計とフードロス削減を同時に達成するモデルを地域に広げたい。
5-5. ESG×サステナブル・ビジネス
インターン先で使い捨て資材のコストと廃棄が課題に。LCA簡易評価とサプライチェーン可視化を社内提案し、リユース容器のパイロットへ。回収率のボトルネックがUXにあると判明し、デポジットUIの改善で回収率+19%。貴学の【サーキュラーデザイン/データ分析/社会起業】は、数字と体験をつなぐ自分の進路に直結する。将来は**環境KPI(CO₂/水/廃棄)と顧客価値KPI(継続率/CS)**を両立させる事業づくりに関わりたい。
6. 自己分析ワーク例
-
課題リスト(3分)
-
生活の中で違和感があった出来事を5つ(例:夏の夜間の寝苦しさ、路上のカラス、通学路の冠水、給食の残食)。
-
それは環境×情報のどの領域?(気象・都市・食・資源・移動・健康・教育・メディア…)
-
-
適性棚卸し(5分)
-
得意:観察、記録、データ、工作、文章、発表、撮影、表現、リーダーシップ
-
事実:回数・時間・成果(例:センサー自作3台、週次ダッシュボード20週、清掃活動30時間)
-
-
将来像マップ(5分)
-
対象:自治体/企業/NPO/研究/起業/国際協力
-
価値:CO₂削減、廃棄率低下、移動改善、健康増進、参加率向上、情報の信頼性向上
-
指標:何で成否を測る?(例:1人あたり排出量、回収率、外出回数、歩数、参加者継続率)
-
→ 3枚をテンプレに差し込み、導入→適性→大学→将来の順に文章化すれば、**短文版(400〜800字)**もすぐ整います。
7. 大学・学科選びの比較軸(中立的チェックリスト)
-
学びの設計:基礎(数理・情報・環境)→応用(プロジェクト・社会実装)→卒研の流れ
-
PBL(課題解決型学習):学外連携の数/分野の広さ/成果の公開機会
-
データ環境:GIS・衛星データ・IoT・高性能計算・データ可視化スタジオの有無
-
デザイン・プロトタイピング:ファブ設備(3Dプリンタ、レーザーカッター)、ユーザ調査、実験倫理
-
フィールド:自治体・企業・地域コミュニティ・国際プログラムとの継続的連携
-
評価の透明性:ルーブリック、ピアレビュー、ポートフォリオ評価
-
キャリア支援:インターン、卒業生ネットワーク、起業支援、研究進学の実績
-
学修サポート:初学者向けの数理・情報リメディアル、伴走メンタリング
-
多様性と安全:多文化協働、アクセシビリティ、研究倫理・データ倫理の教育
8.オープンキャンパスで“聞くと詳細のわかる具体的な質問”例とは?
-
1~2年次のPBL比率と評価方法は?
-
学外連携の定常フィールド(自治体・企業・NPO)は?過去成果の公開は?
-
データ・開発環境(GIS、衛星、機械学習、IoT)の学生利用ルールは?
-
デザインプロセス(調査→仮説→試作→検証)の授業はどれ?
-
研究室配属の条件と希望が通る仕組みは?
-
起業・プロジェクト資金やコンテスト支援は?
-
キャリアの可視化(卒業後の分布、ジョブ型インターン、進学割合)は?
→ 得た具体情報を**第3段落(大学選択理由)**に入れると、文章が“その大学専用”に一気に化けます。
9. 面接・小論文に効く「STAR」メモ術
-
S(状況):商店街でプラ削減を検討するが行動が変わらない
-
T(課題):容器持参のハードルを下げ、利用を継続させる仕組み
-
A(行動):利用者インタビュー→障壁を特定→デポジットUXと回収動線を試作→2週間検証
-
R(結果):容器再利用率+19%、継続率+12%。学びは**「データと体験は両輪」**
この学びを**自分の適性(観察・設計・検証)と将来像(指標で語る価値)**に接続します。
10. そのまま使える“差し替え一文”集
-
課題の特定:「暑熱の体感だけでなく、WBGTと夜間気温の滞留を測り、対策の優先区画を決めました。」
-
データ倫理:「位置情報は匿名化し、オプトインで取得。プライバシー影響評価を実施しました。」
-
社会実装:「MVP(実験的最小製品)を1か月で3回更新し、参加率とコスト/効果を同時に改善しました。」
-
学びの接続:「LCA×UIを組み合わせ、環境負荷と操作負荷を同時に下げる設計を探ります。」
11. 出願前 最終チェックリスト
-
□ なぜ環境×情報なのかが明確
-
□ **自分の行動証拠(数値・手順・成果)**が入っている
-
□ 大学固有の学び(科目・研究・実習・設備)に1つは言及
-
□ 社会的価値の指標(CO₂/廃棄/移動/健康/参加)が示されている
-
□ 400〜800字版でも冗長表現がない
-
□ 面接で3分版を矛盾なく話せる
12. まとめ:志望理由は“課題を解く設計図”
環境情報学部の志望理由は、課題意識→適性→学び→社会的価値をデータとプロセスで結ぶことが核心です。
テンプレとチェックリストを使い、あなた自身の言葉で仕上げてください。「誰の、どんな行動・意思決定が、どう変わるのか」まで書ければ強力です。参考になれば幸いです。
14. 日本経済大学で学ぼう!――「環境×情報」を“経済・経営”の力で支える進路もある
日本経済大学で学ぼう!
日本経済大学は、経済学と経営学に特化した専門性の高い教育を提供する単科大学です。福岡、東京渋谷、神戸三宮にキャンパスを構え、特に東京渋谷キャンパスでは、多国籍な留学生が学ぶ環境が整っており、グローバルな視野を持つ経済人の育成に力を入れています。
●日本経済大学の特色と強み
経済・経営系専門大学としての独自性と専門性: 日本経済大学は、経済学と経営学の深い理解と実践的なスキルを学生に提供し、高度な専門知識を持った経済人を育成しています。
・異文化交流の活発なキャンパスライフ: 世界各国からの留学生が在籍しており、学内での国際交流は日常的なもの。異文化理解と国際感覚を養う絶好の環境があります。
・名門海外提携大学との連携: 多彩な留学プログラムを通じて、国際的な経済人を目指す学生を支援。海外での学びを通じて、グローバルな視野を拡げる機会を提供しています。
・デジタル教育の推進: 「デジタルを活用した大学・高専教育高度化プラン」の実施機関として選ばれ、最先端の教育環境を整備。情報社会に対応したスキルの習得を促進しています。
・充実した就職支援: 幅広い業界との連携により、学生のキャリアサポートを積極的に行い、高い就職率を実現しています。
●日本経済大学で学ぶメリット
・実践的な経済学・経営学の学び: 現実のビジネスケースやデータを用いた講義が豊富で、理論だけでなく実践的な知識とスキルの習得が可能です。
・国際的な学習環境: 多国籍な学生との交流を通じて、国際的なビジネスシーンで活躍するためのコミュニケーション能力や異文化理解を深めることができます。
・将来のキャリアパスの多様性: 経済学や経営学の専門知識を活かして、金融、商社、情報通信、国際機関など、多彩な分野でのキャリアを目指せます。
環境情報×経営の視点から
-
地域循環経済の設計(資源・人材・資金のローカル循環)
-
ESG経営(環境KPIと事業KPIの両立)
-
社会的投資・インパクト評価(CO₂/廃棄/雇用の可視化)
-
グローバル×ローカルの連携(海外提携・多文化環境での学び)
あなたの選択肢
技術・データ・デザインで課題を解きたい → 環境情報学部の道
経営・政策・ビジネスで実装を進めたい → 経済・経営の道
どちらも社会を良くするパートナーです。自分の適性にあった学びを選びましょう。