将来を考えている皆さんは「企業経営アドバイザー」という資格・仕事をご存知でしょうか。
この企業経営アドバイザーという資格・仕事は、公式サイトでは「経営者の伴走者として地域企業を支える「総合診療医」」として記載されています。
一体どのような仕事なのでしょうか?
また、取得の仕方や、この仕事につくために必要な勉強を解説いたします。
企業経営アドバイザーになるには?!:どのような仕事内容?
まず企業経営アドバイザーの仕事内容についてです。
企業経営アドバイザーの仕事は主に以下の様な仕事があります。
1.専門知識を使ったコンサルティング事業
資格を得るのに必要な知識である
・企業財務
経営戦略、組織の構造、組織の行動心理、人材管理、マーケティング、中小企業支援施策
・企業経営、企業支援
損益分岐点分析、管理会計、設備投資の経済性計算、企業価値、キャッシュフロー計算書、経営分析、ローカルベンチマーク、中小企業会計、原価計算
・企業法務
民法、会社法、組織再編、知的財産権に関する法律
・生産管理
生産システムの概要、ライン生産への対応、生産管理の実行、生産プロセスの管理、品質と技術の管理
・事業性評価
事業性評価に基づく融資、ローカルベンチマーク、経営デザインシート、知的財産、外部環境分析、定量分析、内部環境分析、SWOT分析と経営戦略、事業計画
・対話力
を使ったコンサルティング事業を行うことができます。
2.事業性評価を使った経営改善支援事業
事業性評価という、金融機関が企業の財務データや保証や担保などの通常の審査の他に、経営者との相談や実際の事業訪問で事業を評価するものを使い、経営改善支援事業を行うことができます。
元々、金融機関が融資をする際に事業の成長性を感じていても決算書・担保・保証・引当金等の財務区分が低い場合は融資を行うことが難しい状況でした。
そこで2015年に金融庁長官である森氏が企業の事業内容や将来性を見て事業性の評価を評価項目とすることで、それ以前の財務区分が低くても成長性のある企業に融資ができるようになるといった背景ができました。
そうしてできたものが「事業性評価」と言います。
この事業性評価を元に、経営改善支援を行うことができます。
3.地方創生ビジネスのプロジェクトリーダーとしての事業
少子高齢化や若者の都会への進出から、地方の財務状況や人口は減る一方です。
そこで昨今、地方創生ビジネスが注目され始めています。
この地方創生ビジネスを、企業経営アドバイザーの資格を得るために得た知識を使い、プロジェクトリーダーとして事業を行うことができます。
4.企業や個人事業主のマーケティングサポート事業
企業経営アドバイザーの資格取得に必要な対話力を用いて、企業や個人事業主の悩みをヒヤリングし、企業財務・企業経営・企業支援・企業法務・生産管理の知識を基に、マーケティングのサポートを行う事業です。
5.地域資源を使った商品開発プロデュース事業
地方創生ビジネスでは地域資源を使った商品開発を行いたいという要望も出るでしょう。
そこで商品開発のプロデュースを知識を基に行う手助けをすることができます。
6.異業種・地域間のリレーションシップの構築事業
合格者同士での情報共有を基に、異業種・地域間の架け橋となる事業です。
主にこのような事業を行うことができます。
基本的には企業・個人事業主の相談・本音を聞き出し、それに沿ったコンサルティングを行う仕事内容です。
この資格の特筆すべき点である「対話力」でこれらの悩みや本音を聞き出して的確に分析・立案・実行する力が求められます。
その為、この仕事を選ぶ人は得てして
・質問する能力
・対話する能力
・分析する能力
・課題を発見する能力
・事業への理解力
が求められるでしょう。
こうして、企業・個人事業主の悩みや本音を解決することができる専門家が、企業経営アドバイザーなのです。
最初に記述した「経営者の伴走者として地域企業を支える「総合診療医」」というのは、こういった企業・個人事業主に対しての総合的なアドバイザーとしての立ち位置に他なりません。
企業経営アドバイザーになるには?!:企業経営アドバイザーを取得するメリット
企業経営アドバイザーの仕事内容については前述した通りですが、企業経営アドバイザーになるメリットは一体何なのでしょうか。
一つ目のメリットはこの資格が内閣府による後援を受けている資格だという点です。
国家資格ではないものの、内閣府というしっかりとした後援者の存在があることから信頼性の高い資格であることがわかります。
二つ目のメリットは中小企業診断士や税理士等の士業を取得したいと思っている人にとっては取得する知識に共通する部分がある点です。
これらを目指している間に取得した知識を用いて企業経営アドバイザーの資格を得ることでより一層顧客からの信頼を得ることができるでしょう。
三つ目のメリットは経営リテラシーを学ぶことができる点です。
経営リテラシーを学ぶことで、現代のビジネスパーソンが必要とされる知識や能力の応用がしやすくなります。
このように様々なメリットがあり、社会的に信頼される資格であるという点で企業経営アドバイザーは十分取得するメリットが得られることがわかります。
企業経営アドバイザーになるには?!:企業経営アドバイザーは何故おすすめなのか?
企業経営アドバイザーは実はまだ歴史の浅い資格です。
2022年現在までで8回の開催と比較的少ない回数です。
その為知名度は低いという欠点がありますが、合格率23%〜42%と国家資格に比べると比較的合格率の高い資格になっています。
合格率の高い資格ですが、前述したように内閣府の後援がある資格なので狙い目の資格であるといえます。
また、後述しますが知識科目の試験は随時受け付けているのもポイントです。
いつでも自分の好きなタイミングでの受験が可能な為、自分のペースで勉強・受講することができます。
企業経営アドバイザーになるには?!:企業経営アドバイザーの資格取得に必要なこと
ここまでで企業経営アドバイザーに関する説明をしてきました。
では実際に企業経営アドバイザーになるにはどの様にすれば良いのでしょうか。
企業経営アドバイザーになるには「企業経営アドバイザー試験」を受験する必要があります。
受験資格ですが、学歴・年齢・性別・国籍問わず誰でも受験が可能です。
その試験で
1.知識科目
・企業財務
・企業経営、企業支援
・企業法務
・生産管理
と
2.実践科目
・事業性評価
の2科目に合格する必要があります。
どちらか1科目に合格し、片方が不合格だった場合は、合格した科目の合格月の翌年同月末日までに不合格だった科目に合格すれば合格となります。
上記2科目を合格した後、一般社団法人 日本金融人材育成協会が認定している「対話力向上講習」の受講が必要になります。
この講習の受講を以って修了証が発行され、資格認定となります。
試験期間に関してCBT(Computer Based Testing) 方式の導入により、知識科目は随時行っています。
実践科目に関しては公式ページにて記載されていますが、例年10月と3月にあるようです。
申し込み期間に関しては希望受講日の三ヶ月前〜三日前までで、会場は47都道府県300会場で開催されるとのことです。
知識科目についてはCBT方式で四肢択一、4分野全体で50問、120分で100点満点中の60点以上が合格となります。
再受験については期間内であればいつでも可能です。
実践科目についてはCBT方式で四肢択一と記述式で行われ、四肢択一式20問と記述式1題、90分で100点満点中の60点以上が合格となります。
再受験については試験実施期間内につき一度のみとなります。
なお
公認会計士、税理士、中小企業診断士は一部科目の免除が行われます。
企業経営アドバイザーになるには?!:企業経営アドバイザーになるために勉強すること
仕事内容から試験まで解説してきましたが、実際に企業経営アドバイザーになるためにはどんな勉強をすれば良いのでしょうか。
知識科目から出題されている問題は
・貸借対照表の分析
・固定資産や原価、株主総会についての正しい知識
・ある単語や法についての正しい記述の把握
等が出題されています。
これらについて正しい知識を学べる経済学を学ぶのが一番良いでしょう。
実践科目についても同様で、
・ある単語や法についての正しい記述の把握が多くの問題を占めています。
記述試験に関しては、架空の会社で作られた
・企業概況
・業界事情
・顧客ターゲット
・社長の方針
・財務資料
を基にした問題が出題されています。
財務資料計算や会社の脅威となる点、弱みを克服する提案等、実際の事業内容で求められる能力が必要です。
財務資料の計算などは経済学で学べますが、業界事情や顧客ターゲット、社長の方針から導き出される答えは企業経営アドバイザー各々の判断に任される事からある程度の社会経験を得ることはアドバンテージになることは間違いありません。
こういった点からか、受験者の年齢比率は30代〜40代が50%以上を占めていますが、20代でも7%いるのでいかに問題を解決し応用する能力があるか、また顧客へのヒアリング力が問われる資格・職種であるかがわかります。
では、学生が企業経営アドバイザーになるにはどのような大学を選択すれば良いのでしょうか?
前述した経済学に関しての出題や知識が必要な事から、これらを手厚く学ぶ事ができる日本経済大学がおすすめとなります。
企業経営アドバイザーになるには?!:まとめ
以上、企業経営アドバイザーの仕事内容から試験内容及び、資格取得するにはどのような勉強をすれば良いかのまとめでした。
国家資格では無いとはいえ、内閣府後援の公的資格である企業経営アドバイザー。
あなたの将来の選択肢に入れてみませんか?