IT技術が急速に発展している近年、多くの仕事はITなしでは考えられない世界になっています。以前「システム」という言葉はIT企業やシステムを扱うエンジニアが使っていましたが、今では営業や広報であっても「システム」を使って業務の効率化を図っています。
ITの重要性が高まる中、IT関連の資格は数えきれないほど多く、どれを選べばよいか迷ってしまうほどです。
この記事では、IT資格の中でも初心者向けでありながらも、企業で重要視される「ITパスポート」について解説します。
【ITパスポートとは?】
ITパスポートは、ITに関する基礎知識を持っていることを証明する国家資格です。ITパスポートは、2009年4月に導入された比較的新しい検定ですが、2021年度には累計受験者数が100万人を超える人気の資格です。経済産業省認定の国家資格であり、IT初心者がITの基礎知識を持っていることを証明するのに最適な資格と言えます。
ITの基礎知識が学べるため、業界を問わず社内研修の一環として導入している企業が多くあります。ITとは縁が薄いと思われる営業や広報などの職種でも、今やITの知識が求められており、その結果、ITパスポートを取得する人が増えています。もちろん、IT企業やITに特化したエンジニアにも高く評価されています。
ITパスポートは、基本的なIT知識として「IT業界でよく使われる用語の解説」「ITで使われる考え方と計算方法」のような問題が出ます。特に「IT業界でよく使われる用語の解説」が過半数を占めています。
ITの基礎知識を覚えて合格を目指せる資格です。
【ITパスポート試験内容】
ITパスポート試験はCBT形式で実施されます。 CBT方式とは、「Computer Based Testing(コンピュータベースのテスト)」の略で、コンピュータを使って受ける試験です。 CBT方式では、コンピュータによって問題が設定され、受験者ごとに解く問題が異なります。
試験時間は120分で、四肢択一式形式で100問出題されます。
以下は出題分野と詳細です。
①ストラテジ系:「企業と法務」「経営戦略」「システム戦略」から35問程度出題されます。
②マネジメント系:「開発技術」「プロジェクトマネジメント」「サービスマネジメント」から20問程度出題されます。
③テクノロジ系(IT技術)「基礎理論」「コンピュータシステム」「技術要素」から45問程度出題されます。
【ITパスポートの難易度と合格ライン】
ITパスポートの合格率は、40~58%の間で推移しており、難易度は比較的低めです。IT資格の入門資格という感じです。
ITパスポートの評価方法には、総合評価点と分野別評価点の2種類があります。
100問のうち92問が総合評価され、1000点満点中600点が合格ラインです。
分野別評価は、ストラテジ系、マネジメント系、テクノロジ系を対象とし、各分野1000点満点中300点以上を合格ラインとしています。1つの分野でも合格ラインに満たないものがあれば不合格になります。
合格するには、総合評価と分野別評価の全てで合格ラインを上回る必要があります。合格の目安は、各分野の正答率が60%を超えることです。
【ITパスポートを取得するメリット】
①ITパスポートを通して自分の適性が分かる
ITやシステムに適性があるかどうかわからない人は、この資格の勉強を通じて自分に適性があるかどうかを測ることができます。ITパスポートの内容が理解しやすく覚えやすいと思われるのでしたら、適性が高いということになります。
ITやシステムの経験が少なくてもIT業界への就職・転職を目指したい方は、ITパスポートを通じてITの全体像をつかむことができます。IT産業の全体像は分かりにくいものですが、全体像を把握することができれば、ご自分がどの分野で強みを発揮しやすいのかがわかります。
また、IT技術の発展が加速度的に進んでおり、今後はほぼすべての仕事がITで進むことになるため、ITとの関わりが苦手だと感じている人であっても、一生涯ITと関わらないことは、ほぼ無理と言えるでしょう。そのため、ITシステムが求められる場面でも能力を発揮できるよう、ITパスポートに基づく最低限のIT知識を身につけておくことも重要です。
そして、実はITパスポートは、営業や広報などITとはあまり関係のない職種を目指す人にとって有利です。ITに詳しい人は、ITとはあまり関係のない業界で重宝されるからです。差別化が可能です。他の人にはない特技を持つことで、就職、転職、キャリアアップなどのチャンスを得ることができるのです。
つまり、ITパスポートは、IT業界を目指すIT初心者がITの全体像を把握するのに役立つツールであり、ITやシステムの理解が苦手な人でも取得することで、企業で働くために必要な最低限の知識を持てる資格と言えるのです。
②就職・転職・キャリアアップに有利
上記でも述べた通り、ほとんどの企業はITと密接に関連している時代です。そのため、多くの企業がIT適性を持った人材を求めています。つまり、ITパスポートを保有することは、就職・転職・キャリアアップを目指す人にとって有利に働きます。
ITシステムの発達により、IT関連の仕事の需要が高まり、人材不足になっている企業が増えています。そのため、IT系の資格を持っていることがアピールポイントになることは間違いありません。
また、IT系資格を保有していることは、文系の学生であってもIT系企業で働く意思をアピールすることが可能です。多くの文系の学生が取得する資格以外の知識やスキルを持っていることで、他の人との差別化が図れるのです。
③新人研修や社員研修に有用
ITパスポート試験を社内全体で受験することは、企業全体のIT力の底上げに貢献します。
実際、多くの企業がITパスポートを活用し始めています。ITの知識を身につければ、ITサービスをお客様に説明できるようになります。また、視野を広げることで、お客様のニーズをより掴みやすくなります。
また、ITパスポートの勉強をすることで、情報セキュリティ、コンプライアンス、知的財産権など、社会人として必要な教育知識を学ぶことができます。全従業員がITパスポートを取得することは、会社のリスクマネジメントにも役立ちます。
【ITパスポート試験の日程&受験料】
①ITパスポート試験の実施日
ITパスポート試験の実施日は、試験会場によって異なります。会場毎に試験日が設定されていますので、それらの日付から選んで試験を受けることができます。土日が主な試験日です。 平日に実施している試験会場もありますが、受験者数が少ないので受験希望者は注意してください。各都道府県に複数の試験会場がありますので、試験会場の場所や日時からご希望の試験日をお決めください。
②ITパスポート試験の申込期間
ITパスポート試験のお申し込みは3ヶ月前から可能ですが、最短はお支払い方法により異なります。ただし、近年は非常に人気の高い資格となっているため、直前での申請はほぼ不可能と考えた方が良いでしょう。事前に受験日を決めて、早めに出願することをお勧めします。
③ITパスポートの受験料
ITパスポートの受験料は、税込みで5,700円です。
【ITパスポートの勉強方法】
①独学で勉強する方法
近年のITパスポート試験の合格率は40~58%程度で推移しています。つまり、約2人に1人が合格しているということです。特にIT関連の実務経験がある方なら、独学で合格しやすい資格の1つです。
独学で学ぶには、スケジュール管理やモチベーションの維持など、勉強以外のことも非常に重要です。
まずは、自分が試験を受ける日を決めましょう。学習スケジュールが立てやすくなります。また、試験日を決めないと、つい怠けてしまい、受験が先延ばしになってしまいます。早めの合格を目指すなら、受験日決めておく方が合格に近づきます。
学習スケジュールを立てる際、長期的なノルマよりも、短期のノルマを設定するとモチベーション維持に効果的です。
お勧めの勉強方法は以下の通りです。
参考書を1冊、過去問題集を1冊厳選して購入しましょう。
まずは参考書を何度も繰り返し読みます。1度目は大まかに全体を把握し、2度目、3度目と徐々に詳細が理解できているか明確にしながら進めていきます。
大体理解できたと感じたら、参考書を解きだします。1度目は参考書を見ながら解いていき、次から何も見ないで解いていきます。分からない所はすぐに解答を見てしまわずに、じっくり考えてみてください。
間違えたところは再度参考書を見て復習しましょう。
問題集が90%以上解けるようになったら、過去問を購入して試験と同じ条件で解いてみてください。
②ITパスポート通信講座
ITパスポートは独学でも合格しやすい資格ではありますが、初心者の方は何から始めたらいいのかさえ分からないと思います。 通信教育で勉強を続けたいという方も多いのではないでしょうか。
ITパスポート “通信講座”で検索すると広告やランキングなどが出てきますので、料金や内容を比較して自分に合った講座を見つけてください。
③大学で学ぶ
大学進学を考えていて、将来的に企業で働く意思のある高校生は、ITパスポート資格取得に必要な授業のある大学や専門学校、そして学部を選ぶことをお勧めします。
1番最適な方法は、就職したい業種の関連分野が学べる大学・学部に進学してITパスポートを取得することです。
工学部をはじめ、様々な大学でITパスポート資格習得を目的とした授業を行っています
資格取得やインターンシップといったキャリアサポートが充実している、日本経済大学の福岡校・渋谷校・神戸校の経営学部・経営学科の授業には、在学中に取得可能な資格にITパスポートが含まれています。
多くの大学が3年次から就活支援を開始する中、日本経済大学では1年次からキャリアデザインを形成し、就職活動を見据えた支援をしています。1年次から将来のビジョンを持ち、専門分野を学べるのが日本経済大学の特徴です。
おわりに
ITパスポート資格を取得するために必要な内容を紹介させていただきました。いかがでしたでしょうか?
ITパスポート資格を持っていると社会に出て様々なメリットがあります。将来の就職活動、転職活動、スキルアップを目指して、是非ITパスポート資格の取得を目指してみませんか?