ウェルビーイング経営って何?学べる大学や特徴とともに

ウェルビーイング経営のメリット、大事なポイントを解説!

by GAWA_K

従業員の身体の健康面でなく、精神的な健やかさを保つことが目的である「ウィルビーイング経営」は、近年の会社経営において大いに注目を集めている方法です。

ではウィルビーイング経営とはいったいどのようなものなのでしょうか。今回は、ウィルビーイング経営の定義やメリットなど、そして、ウィルビーイング経営が学べる大学について、詳しく解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。

 

ウェルビーイング経営とは

ウェルビーイング経営のウェルビーイング(well being)とは、心身ともに健康で社会的にも不満のない状態です。これは、世界保健機関(WHO)が1948年に発表した「健康」の定義がベースになっています。

このウェルビーイングな状態で行われる経営がウェルビーイング経営です。なぜ近年になってこの経営方法が注目されているのか、また以前からあった健康経営とはどんな違いがあるのかは、次の段落より説明しましょう。

 

なぜウェルビーイング経営が注目されるのか

ウェルビーイングの定義である心身ともに健康、社会的にも生活が困らない満たされた状態とは、普通に考えたら当たり前のことです。それをなぜあらためて実践しないといけないのでしょうか。近年ウェルビーイングが注目される3つの理由について、以下より説明しましょう。

慢性的な人材不足

ウェルビーイング経営が注目される理由の一つは、少子化、高齢化社会の加速による、慢性的な人材不足のためです。現在はどの業種も人材不足が目立ち、特に現在において重要な業界である介護・福祉業界、IT業界は決して良好ではない労働環境がとなっているところが珍しくありません。

IT業界は、常に最新の情報がアップデートされるため、最新の知識・スキルを持った人材が要求されますが、そのような環境に柔軟に対応できる人材が不足しています。また、加速する高齢化社会のために介護・福祉業界はますます環境を充実させることが第一の課題となっていますが、労働環境の未整備のままで、少ない人材が必要以上の労働量を強いられているのが、現在の現状です。

このような風潮が定着しているため、「IT業界、介護・福祉業界は大変」というイメージが付いて、なかなか人材が定着しない状態となっています。このような風潮を打破するためには、ウェルビーイング経営が必要なのです。

働き方改革の推進

働き方改革の推進・それによる世間の変化も、ウェルビーイング経営が注目される要因の一つです。昭和〜平成初期は働くことが美徳という価値観が浸透して、時間外労働が当然といった風潮があり、それによる過労死・低賃金といった問題が通例化して、労働者が報われない状態が続きました。

しかし働き方改革・労基の導入などにより、そのような悪しき風潮が改善されて、いわゆる「ブラック企業」は減っていく時代となったのです。

そのような風潮をさらに押し進めるために、ウェルビーイング経営が注目されています。

SDGsの影響

ウェルビーイング経営は、2015年に開催された国際サミットで掲げられたSDGsでも取り上げられているのも、注目される理由です。SDGsは、2030年までに達成する国際目標「17つのゴール」で構成されています。そのうちの一つが「すべての人に健康と福祉を」という、ウェルビーイングの提唱です。

 

ウェルビーイング経営と健康経営との違い

ウェルビーイングと似たような経営方法なのが、「健康経営」です。健康経営の方針は「従業員の健康を配慮して健康管理を積極的に行なうこと」という定義になっており、ウェルビーイングと同じと思われていますが、厳密には異なる点があります。

ウェルビーイングはあくまで従業員の立場になった経営ですが、健康経営は経営者からの立場です。ウェルビーイング経営は、従業員の心身の健康に加えて、社会的な充実度も目標に入っていますが、健康経営はあくまで従業員の心身の健康のみで、従業員が社会的に満たされているかどうかは、含まれていません。

そのため、ウェルビーイングのほうが、従業員の幸福をより広く考えているといえます。

 

ウェルビーイング経営を導入するメリット

ウェルビーイング経営は従業員の生活を第一に考えた経営方法ですが、導入することによって企業側にも多大なメリットがあります。そのメリットとは具体的に何か、以下より説明しましょう。

従業員のモチベーション向上

労働環境が良好でない・労働量が収入アップに結びつかない企業は、どんなにがんばってもそれが結果・収入に還元されないため、働く意欲が半減されます。それにより「がんばっても無駄だから適当にやるか」とやる気のない意識が芽生えてしまいがちです。その結果、業務ミスが目立ち、企業全体の業績・評判が悪化するという悪循環に陥ってしまいます。

しかし、ウェルビーイング経営が企業内で浸透して、労働量に見合った収入が見込めれば、「仕事をやった分だけ、収入アップになる」と業務のモチベーションが上がり、企業内も活性化されるでしょう。

企業価値の向上

ウェルビーイング経営を導入すれば、従業員の労働環境も改善されて、それが企業全体の収益アップにつながり、企業価値も上がります。従業員の労働環境の改善は、従業員一人ひとりのパフォーマンス向上にもつながるため、生産する製品・サービスも高品質となり、それが社会的な高評価につながるでしょう。

また、世界規模で浸透しているSDGsを積極的に取り入れている柔軟な企業という評価をされて、それにより企業価値が上がるというメリットもあります。

離職率の低下・採用率の向上

業界によっては、人材がまったく定着しない・人の出入りが激しい企業もあります。そのような企業は、労働環境の未整備などが原因です。この状態の労働環境だと「新人が入社→仕事を1から教える→仕事が辛くて退職」という流れを延々と行なう必要があり、業務の効率も悪化する一方です。

いわゆるブラック企業と呼ばれているところがそんな傾向がありますが、ウェルビーイング経営を導入して、従業員が働きやすく、がんばった分だけ収入に還元される環境であれば、離職率が下がるでしょう。また、それにより採用率も上昇して、有能な人材を確保できる確率も高くなります。

 

ウェルビーイング経営における大事な5つのポイント

ウェルビーイング経営を実践するためには、ウェルビーイングと密接に関係のある「PERMAモデル」という概念について考えなくてはいけません。

PERMAモデルとは、心理学者のマーティン・セリグマン博士が考案・提唱した概念です。この概念は以下のような5つのポイントによって構成されています。

  • P:Positive emotion
  • E:Engagement
  • R:Relationship
  • M:Meaning
  • A:Accomplishment

では、この5つの要素について、以下より一つずつ説明しましょう。

Positive Emotion

ポジティブエモーションとは、文字通り前向きな感情である「嬉しい」「楽しい」「ありがとう」といった感情です。この感情が出るとその逆の感情である「辛い」「苦しい」「だめ」といった感情が打ち消されます。

ウェルビーイング経営を実現するためには、ネガティブな感情がなくなりポジティブエモーションが生まれる、以下のような労働環境を作り出さないといけません。

  • 健康診断の定期的な実践、診断内容の充実
  • 時間外長時間・休日出勤を極力軽減する労働環境の準備
  • メンタルヘルスのケアができる医療環境

フィジカル面の健康だけでなく、メンタル面のケアも重要です。

Engagement

エンゲージメントとは、「夢中になる。時間を忘れて物事に没頭する」という意味合いです。ウェルビーイング経営においてのエンゲージメントは、仕事に没頭するほどの仕事や会社に対する愛着心を指します。

自分が所属する企業、自分を取り巻く他の従業員・上司・後輩などと交流を図ることによって、エンゲージメントはより高まる仕組みです。それにより働くことに喜びを感じます。そのような理想の労働環境にするためには、以下のような柔軟な姿勢が必要です。

  • 従業員の満足度調査の定期的な実施
  • 社内コミュニケーションツールの導入
Relationship

Relationshipとは、人間関係・人との関係性を指す言葉です。仕事に関わる対人関係をただのビジネスとしての関係性でなく、仲間・パートナーと考えることで、より絆は深まり1人での業務では得られない幸福度・充実度を体験できます。信頼できる仲間に囲まれて仕事を進めれば、1人では難解な仕事も完了することが可能になり、仕事を続けるモチベーションも上がるでしょう。

Relationshipを仕事上で発揮するためには、以下のような方法があります。

  • 人材育成(メンター)バディ(2人ひと組)制度の実施
  • 部署で協力して行なうロジェクト業務の実施
  • 親睦会の定期的な開催
Meaning

Meaningとは、意味・真意などの意味合いの言葉です。PERMAモデルの概念では、人生の意義といった広範囲の意味になり、目先の楽しさだけでなく人生全体の価値観や目的・幸福などについての考えになります。

人生全体での幸福度を考える際、その答えを出す際に思いつくのは自分にとっての優先順位は何かという点です。仕事が生き甲斐という人もいれば、家族、自分の趣味など、大事なものは人それぞれでしょう。

仕事のキャリアアップも大事ですが、人生全体のキャリアも考えられる余裕があることも大事です。そのためには、以下のようなシステムの導入が必要といえます。

  • フレックスタイム制、有給の導入
  • キャリアプラン・ワークライフバランス研修の実施
Achievement

Achievementとは、達成感という意味合いです。自ら目標を立ててそれを実践・達成したときに幸福が得られます。その目標とはキャリア・収入アップ、資格取得、起業など人それぞれです。目標達成により今後の人生も安泰であるという安心感が得られます。そのような達成感を得るためには、以下のような環境が必要です。

  • 取得支援制度の導入
  • ファイナンシャルプランナーによる研修の実施
  • キャリア開発などのセミナーの実施

 

ウェルビーイングが学べる大学とは

ウェルビーイング経営は、まだ新しい概念のため、それを学習できるところはありませんが、唯一ウェルビーイングを取り入れている大学があります。それは武蔵野大学です。

武蔵野大学では、「ウェルビーイング学部・ウェルビーイング学科」という学部・学科を2024年4月から発足します。先述したPERMAモデルを含んだ、幸福論・社会心理学・哲学・デザイン工学・ポジティブ心理学など、あらゆる学問を取り入れて、ウェルビーイングに精通した人材を育成するのが狙いです。

 

まとめ

働き方改革など、記念は労働環境の改善を進める動きが目立ちますが、それをさらに推進するのがウェルビーイング経営という概念です。

多様性の肯定・リモートなどさまざまな労働方法のあり方などが問われる昨今、より良い世の中を目指すウェルビーイングは今後ますます注目される動きとなるでしょう。

 

 

「日本経済大学」では、留学生の就職活動の支援を目的とした、留学生対象の専門ゼミを開講しています。そこでは、BJTビジネス日本語能力テストの受験を推奨し、学習も行っています。

 

■日本経済大学(都築学園グループ / (学)都築育英学園)

都築学園グループは、「個性の伸展による人生練磨」を建学の精神とし1956年に設立された大学です。2018年に開学50周年を迎えた日本経済大学は、経済・経営の実学に特化した2学部6学科17の専門コースを持っています。日本有数の、留学生を抱える国際色豊かな大学です。

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