「観光英語検定」という検定試験があるのをご存知ですか?
近年、観光目的で日本を訪れる外国人が急増しています。コロナ禍が収束に向かう中、この傾向は今後さらに強まることは間違いありません。
それに伴い、ホテルや観光地、レストランなどで、日本を旅行する外国人を英語で案内できる人材が求められています。その場合、英語だけでなく、観光地の特徴を英語で説明できる知識も必要になります。
海外旅行や訪日ビジネスの需要が高まる中、観光に必要な英語力を測るこの検定を受験する人も増えてきています。
この記事では、観光英語検定とは何か、試験内容、受験のメリットなどを解説していきます。
1.観光英語検定とは?
観光英語検定は、全国語学ビジネス観光教育協会が1989年に設立した資格検定です。
観光分野に特化した英語力を測る試験であり、観光分野でのキャリアアップに役立つとされています。比較的規模は小さいものの専門性の高い試験であり、これまでに20万人以上が受験してきました。
英語力を測る資格検定は色々ありますが、観光分野に特化していることが観光英語検定の特徴です。
観光英語検定は、空港やホテル、観光地などでの外国人とのコミュニケーションを想定した設問で構成されており、観光業に従事する方、海外旅行を楽しみたい方、観光時に英語でコミュニケーションを取りたい方などが多く受験しています。
観光英語検定には3級、2級、1級の3種類があります。2級と3級は筆記試験とリスニングです、1級は筆記試験とネイティブスピーカーとの面接で構成されます。就職や転職で評価されるのは2級と1級と言われています。
2.観光英語検定の試験内容
観光英語検定の1級、2級、3級では、それぞれ試験問題、出題形式、難易度が異なります。
旅行に必要な日常会話、ホテルの予約や出入国手続きに必要な英語、観光業界に必要な実務英語など、観光に関する様々な英語が各級に合わせて出題されます。
それでは、各級ごとの詳細を見ていきましょう。
①観光英語検定3級
試験科目・問題数・実施時間:筆記・50問・60分/リスニング・40問・30分
出題形式:4択問題(マーク式)
出題内容:観光・旅行に必要な英語、日常会話
約3,000語の語彙と、高等学校中等学年程度の基本的な文法・構文
(1) 海外旅行で少人数の同僚ともに英語を使って行動する
(2) 訪日外国人に英語で道案内をしたり、パンフレット等を説明する
②観光英語検定2級
試験科目・問題数・実施時間:筆記・50問・60分/リスニング・40問・30分
出題形式:4択問題(マーク式)
出題内容:観光・旅行に必要な英語、日常会話
約5,000語の語彙と、高等学校修了程度の適切な文法・構文
(1) 個人で海外旅行をする場合に、英語で旅程の組み、乗り物やホテルを予約し、観光や買い物などする
(2) 訪日外国人に英語で観光地や名所旧跡等などを紹介する
③観光英語検定1級
試験科目・問題数・実施時間:筆記・4問・10分/面談・-・10分
出題形式:筆記・英文和訳、和文英訳/面談・課題への質疑応答
出題内容:観光、旅行業に必要な実務英語
約8,000語の語彙と、専修学校修了以上の学習内容を取得している、または、最低2~3年以上の業務経験がある程度の適切な文法・構文
(1) 海外での日本人客への対応、英語で添乗業務
(2) 訪日外国人に英語で観光地や名所旧跡などの通訳ガイド
(3) 日本国内のホテル等で英語で訪日外国人に対応する
(4) 英語で海外の慣習や国際儀礼など文化を理解し紹介する
3.観光英語検定の難易度と合格率
観光英語検定は級が上がると、もちろん難易度も上がります。しかし、全級で海外での風俗習慣の違い、旅行や観光で使われる専門用語や慣用句、国際常識などの理解が求められます。
①観光英語検定3級
難易度:TOEIC 220~470点、英検3級程度
合格率:受験者数 1,158人/合格率 45.0%
②観光英語検定2級
難易度:TOEIC 470~600点、英検2級程度
合格率:受験者数 687人/合格率 54.4%
2級と3級については、必要な英語力のレベルはそれほど高くありません。ただし、観光に関わる文化や歴史の知識は必須なので、知識がない人は難しいでしょう。
③観光英語検定1級
難易度:TOEIC 600~860点、英検準1級・1級程度
合格率:受験者数 13人/合格率 15.4%
1級は面談試験があるので、難易度が急に上がります。ちなみに、一次試験(筆記試験)に合格しても、二次試験の面談試験では半数が不合格になります。出身地や面接会場までの交通手段などを、的確に答えられるようにしておく必要があります。
4.観光英語検定の実施概要
①試験回数と試験会場について
“観光英語検定は年2回実施されます
※年度により変更がありえます”
2級と3級は全国14ヶ所で受験できます。1級試験会場は、東京と大阪のみとなります。
②受験料
観光英語検定3級:3,950円
観光英語検定2級:4,950円
観光英語検定1級:10,000円
5.観光英語検定の申込方法
観光英語検定試験の受験案内・願書はホームページの「願書請求フォーム」から申し込むことができます。
払込取扱票(願書)が届いたら、住所、氏名、希望する受験級と受験地を記入し、郵便局またはゆうちょ銀行で受験料を払い、申し込みをします。
受験日の1週間前までに受験票と受験地の案内が送付されてくるので、受験票を持参して受験します。
6.観光英語検定を取得するメリット
観光英語検定は、国際人としての英語力の習得を目指すことが特徴で、観光関連分野の英語力を測定することができます。
観光英語検定資格を取得すると、次の3つのメリットがあります。
①観光業界への就職に有利な可能性がある
観光英語検定の資格保持者を優遇する大手旅行会社もあるため、観光業界への就職に有利になる可能性があります。
大学在学中に観光英語検定資格を取得しておくと、就職に役立つ可能性があるということです。資格が必須ではなくても、観光業界に就職したいという、アピールにもつながると考えられます。
1級は、観光のあらゆる場面に対応できる英語力と専門知識が必要なため、大学生が就職活動前に取得するのは難しいです。就職活動でアピールするためならば、まずは2級取得を目指すことをお勧めします。
②観光業界でのキャリアアップができる
外国人観光客が増加し、観光業に携わる人は外国語、特に英語を使う機会が増えています。
観光英語検定では、よく使われるフレーズや専門用語を学ぶことができるので、資格を取得することで、外国人観光客への対応がよりきめ細かくできるようになります。
また、資格取得を奨励する企業の中には、受験料の支払いや資格取得者への手当の支給などの優遇措置を講じているところもあり、資格取得がキャリアアップにつながる可能性もあります。
③海外旅行や、訪日外国人への対応に役立つ
観光英語検定資格は、仕事だけでなくプライベートでも重宝するのもメリットの一つです。
観光英語検定では、ホテルや駅、空港など様々なシチュエーションの問題が出題されます。
資格を取得することで、観光英語特有の表現だけでなく、旅行中に実際に使う様々な手続きややり取りも学べるので、検定のための学習で得た知識が役に立ちます。
7.観光英語検定の勉強方法
観光英語検定に合格するためには、目指すレベルに合った学習方法や参考書が重要です。級ごとに勉強方法を説明します。
①観光英語検定3級の勉強方法
3級から目指すなら、英語の基礎力を身につけましょう。
観光に必要な基礎英単語を学習し、中学文法を復習し、観光英語検定3級に対応した公式問題集(解説付き)を何度も解いてみましょう。
②観光英語検定2級の勉強方法
2級の取得を目指すなら、観光英語ならではの英語力や、国内外の観光や地理の知識を身につけておきましょう。
複雑な英文になると理解が難しいと思われるのでしたら、長文読解などを練習してみるのもお勧めです。
観光英語特有の英単語の語彙力を増やし、中学レベルの文法をマスターし、観光英検2級に対応した公式問題集(解説付)を繰り返し解いてみましょう。
③観光英語検定1級の勉強方法
1級は、海外旅行に関する専門知識、旅行業務に必要な知識、国際関係や世界情勢、国内外の観光や文化事情に関する知識を英語で問われます。そのため、非常に難しい試験です。
国内外のあらゆる観光や文化を学び、国際関係や世界情勢への関心を高め、知識を蓄え、過去問を徹底的に分析する勉強をしてください。
また、1級の学習時には、「通訳案内士」「旅行業務取扱管理者」「旅行地理検定」に関する教材も試験対策として活用されます。
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おわりに
観光英語検定の試験内容や難易度などをご紹介させていただきました。
観光英語検定は、観光に特化した英語の検定ですので、観光業界で働きたい方や現在業界で働いている方におすすめの資格です。
仕事だけでなく、観光英語をしっかりと勉強すれば、観光に使える英語力がアップし、仕事でもプライベートでも役に立ちます。
ご自分が目指す試験の級を決めて、合格に向けて頑張ってください!