大学への進学を考える際、志望理由書は非常に重要な役割を果たします。特に法学部を志望する場合、その動機や目標を明確に伝えることが合格への鍵となります。しかし、どのようにして魅力的な志望理由書を書けばよいのか、悩む受験生も多いことでしょう。本記事では、法学部志望理由書の書き方について、具体的な構成やコツを紹介し、実際のサンプルも交えて解説します。これを参考に、自分の思いや目標をしっかりと伝えられる志望理由書を作成し、合格への一歩を踏み出しましょう。
1. 法学部の魅力
①法学部って?
法学部は、法律について学ぶ学問の場です。法律は、社会の秩序を維持し、個々の権利を守るためのルールです。法学部では、法律の内容や歴史、さらにはその運用方法について深く学ぶことができます。この過程で、リーガルマインド(法的思考力)を身につけることが目標の一つとなります。リーガルマインドとは、法的な視点で物事を考え、問題解決を図る能力のことです。
たとえば、友人同士でのトラブルや社会での法的問題に対して、公平で合理的な解決策を見出すための力を養います。具体的な事例として、友人から借りたものが壊れた場合の責任の所在を法律に基づいて判断する力などが挙げられます。法学部での学びを通じて、こうした実践的な問題解決能力を高めることができます。
②法学部で学べること
法学部では、憲法・民法・商法・民事訴訟法・刑法・刑事訴訟法の基本六法を中心に学びます。これらは法律の基礎であり、幅広い法的知識の土台となります。さらに、基礎法学では法律の成り立ちや本質を学び、法律がどのように発展してきたかを理解します。
また、法学部では法律と密接に関連する政治学や経済学も学べます。これにより、法律が社会のさまざまな分野とどのように関わっているかを理解し、広い視野で法を考える力を養います。たとえば、国際法や労働法、環境法などの専門科目を通じて、具体的な法律の適用や問題解決の手法を学ぶことができます。
さらに、法学部の多くの大学では異文化教育や語学教育にも力を入れており、グローバルな視点を持った法的専門家を育成する環境が整っています。
③法学部卒業後のキャリアパス
法学部卒業生のキャリアパスは多岐にわたります。以下に主な就職先をいくつか挙げます。
• 金融業界:金融業界は法学部生に人気のある業界の一つです。金融商品や投資のリサーチ、新しい金融商品の開発などにおいて、法律知識が必要とされます。
• 商社:商社ではトレーディングや事業投資に関連する法律知識が役立ちます。リスク管理や契約法務などの分野で法学部で学んだ知識を生かすことができます。
• 情報通信業:インターネットの普及に伴い、新しい法的問題が次々と出現しています。これに対処するための法的センスを持った人材が求められています。
• 公務員:法学部は公務員試験に有利な学部です。憲法や行政法などの科目が公務員試験に出題されるため、大学での学びが直接役立ちます。
• 法曹界:弁護士、検察官、裁判官といった法曹界を目指す人も多いです。法科大学院を修了し、司法試験に合格する必要がありますが、難関のため、長期戦を覚悟する必要があります。
• 法務:企業内での法務担当として、契約書の作成やコンプライアンスの管理、紛争解決などを担当します。企業の法的リスクを管理する重要な役割です。
• 人事・労務:労働法や社会保障法の知識を生かして、企業内での従業員の管理や労働環境の整備を行います。
• 士業:社会保険労務士や司法書士、行政書士などの資格を取得し、専門的な法務サービスを提供する職業に就くこともあります。
2. 大学の志望理由の基本構成
①志望理由書について
大学の志望理由書は、出願時に提出が求められる重要な書類です。この書類は、「なぜその大学(学部・学科・コース)に入りたいのか」という志望動機を明確に記すもので、大学側が受験生の意欲や興味、関心を確認するために使用します。志望理由書は、調査票や推薦書とは異なり、受験生自身が自分の言葉で作成する必要があります。これは、大学が受験生の真剣さや具体的な目的意識を見極めるための重要な材料となります。
②志望理由書の基本的な構成要素
大学への志望理由書には、以下のような構成要素が含まれると効果的です。
(1) 志望理由や将来やりたいこと
• なぜその大学を志望するのか、具体的な動機を述べます。
• 将来どのような目標を持っているのか、そのために大学で何を学びたいのかを記します。
(2) 志望するようになったきっかけ
• 志望動機に至る背景や経験を具体的に説明します。
• 個人的なエピソードや体験を交えると、説得力が増します。
(3) 将来やりたいことと社会との関わり、今まで行ってきたこと
• 自分の目標が社会にどう貢献するのか、これまでの努力や経験と結びつけて述べます。
• 具体的な活動や成果を挙げて説明します。
(4) 大学で学びたい、実践したいこと
• 大学のどのようなプログラムやカリキュラムに魅力を感じているのかを記します。
• 特定の授業や教員の名前を挙げると、具体性が増します。
③自己紹介と法学部志望のきっかけ
志望理由書の冒頭には自己紹介を簡潔に述べ、自分の背景や興味を説明します。これにより、読み手があなたの人物像をイメージしやすくなります。その後、法学部を志望するきっかけについて具体的に述べます。例えば、高校時代の模擬裁判の経験や、身近な法律問題に関心を持ったエピソードなどを交えると良いでしょう。こうした具体的な体験を通じて、法学への興味がどのように芽生え、深まっていったかを伝えることが大切です。
④大学選びの理由
次に、なぜその大学を選んだのかを説明します。ここでは、大学の特徴や教育方針、カリキュラムの内容について具体的に触れることが重要です。例えば、その大学が提供する法学プログラムの中で特に魅力を感じた部分や、特定の教授の研究に強く興味を持っているなど、具体的な理由を挙げます。また、その大学の環境や施設が自分の学びにどのように貢献するかについても述べると良いでしょう。さらに、将来のキャリア目標と大学での学びがどのように結びついているかを示すことで、大学側に対する強い意欲と具体的な計画性をアピールすることができます。
3. 魅力的な志望理由を伝えるコツ
①具体的な経験やエピソードを交える
志望理由書では、具体的な経験やエピソードを交えることが非常に重要です。抽象的な理由や一般的な説明ではなく、自分自身の体験を基にした具体的なエピソードを記載することで、読み手に強い印象を与えることができます。
例えば、高校時代に模擬裁判に参加し、法律の力で人々の権利を守ることの重要性を感じた経験や、身近な法律問題に対して自分なりに調査し解決策を見つけたエピソードなどが挙げられます。このような具体的な経験を通じて、法学への興味がどのように芽生え、深まっていったかを伝えることで、志望動機に説得力が生まれます。
②大学の特徴とリンクさせる方法
志望理由書では、自分の志望理由を大学の特徴とリンクさせることが重要です。単に「法学部で学びたい」と述べるだけではなく、なぜその大学の法学部を選んだのか、その理由を具体的に説明することが求められます。
例えば、その大学が提供する特定のプログラムやカリキュラムに強い関心を持っている場合、それを具体的に述べます。また、特定の教授の研究に興味を持っている場合や、大学が提供するインターンシップや実務経験の機会が魅力的であると感じている場合、それらを具体的に記載します。こうすることで、自分の志望理由がその大学とどのように結びついているかを明確に伝えることができます。
③将来の目標と法学部の関連性を示す
志望理由書では、将来の目標と法学部での学びがどのように関連しているかを示すことも重要です。自分の将来のキャリア目標を明確にし、その目標を達成するために法学部でどのような学びが必要かを説明します。
例えば、将来弁護士になりたいという目標がある場合、法学部で学ぶ具体的な科目やスキルがどのように弁護士としてのキャリアに役立つかを述べます。また、法学部での学びを通じて社会にどのように貢献したいか、その具体的なビジョンを示すことも重要です。こうすることで、大学側に対して強い意欲と具体的な計画性をアピールすることができます。
4. 志望理由書の具体例
●志望理由書のサンプル1
私は高校時代に参加した模擬裁判の経験から、法律の重要性とその社会的役割に深く感銘を受けました。特に、法を通じて社会の秩序を守り、人々の権利を保障することに強い関心を持つようになりました。そこで、法学部での学びを通じて、将来は人権擁護に貢献できる弁護士になりたいと考えています。
貴学の実践的なカリキュラムと充実したインターンシップ制度は、私の目標達成に最適であると確信しています。特に、法律相談所での実務経験ができるプログラムに魅力を感じています。この経験を通じて、実際の法律問題に取り組む力を養い、将来のキャリアに活かしたいと考えています。
また、貴学の教授陣が行っている研究にも大変興味を持っています。特に、人権法や国際法に関する研究は、私の関心と一致しており、これらの分野で専門的な知識を深めたいと考えています。将来は、国内外で人権問題に取り組む弁護士として活躍し、社会に貢献したいと考えています。
●志望理由書のサンプル2
私は中学生の頃から社会のルールや法律に興味を持ち、将来は法律に関わる仕事に就きたいと考えるようになりました。高校での授業や部活動を通じて、法律がどのように社会の秩序を維持し、人々の生活を守っているかを学び、ますますその重要性を実感しました。
貴学の法学部は、法律の基礎から応用まで幅広く学べるカリキュラムが整っており、私の学びたい内容と一致しています。特に、国際法や環境法に力を入れている点に強く惹かれました。私の将来の目標は、環境保護に関する法律の専門家となり、持続可能な社会の実現に貢献することです。
また、貴学が提供する留学プログラムにも大変興味があります。異文化理解を深めることは、国際的な法律問題に取り組む上で非常に重要だと考えています。貴学での学びを通じて、国際的な視野を持ち、法律の専門知識を活かして社会に貢献したいと考えています。
このように、貴学の法学部での学びを通じて、自分の夢を実現し、社会に貢献できる人材になりたいと強く希望しています。
5. 志望理由書作成の注意点
①誤字脱字の確認
志望理由書を作成する際に最も基本的な注意点は、誤字脱字の確認です。誤字脱字があると、細部にまで気を配る能力や真剣さが欠けているとみなされる可能性があります。作成後には必ず見直しを行い、誤字や脱字がないか確認しましょう。また、第三者に読んでもらい、客観的な視点からチェックしてもらうのも効果的です。
②簡潔かつ論理的な文章構成
志望理由書は、限られた文字数やページ数の中で自分の意図を明確に伝える必要があります。そのため、簡潔かつ論理的な文章構成が求められます。以下のポイントに注意して構成しましょう。
(1)序論:自己紹介と志望の動機を簡潔に述べます。
(2)本論:具体的な経験やエピソードを交えながら、なぜその大学を選んだのか、将来の目標とその大学での学びがどのように結びついているかを説明します。
(3)結論:志望理由のまとめと、大学での学びに対する強い意欲を再確認します。
論理的な流れを意識し、各段落が明確なテーマを持つように構成することが重要です。
③読み手に伝わる表現方法
志望理由書は、読み手に対して自分の熱意や目的意識を伝える重要な書類です。以下のポイントに注意して、読み手に伝わりやすい表現方法を心掛けましょう。
(1)具体的な言葉を使う:抽象的な表現ではなく、具体的な事実やエピソードを用いることで、説得力を高めます。
(2)簡潔で明瞭な文体:長くて複雑な文は避け、簡潔で明瞭な文を書くように心掛けます。ポイントを絞り、要点を明確に伝えることが重要です。
(3)感情を込める:自分の感情や思いを込めた表現を使うことで、読み手に自分の真剣さを伝えることができます。ただし、感情に流されすぎず、論理的な一貫性も維持することが大切です。
これらの注意点を踏まえて、志望理由書を作成することで、読み手に自分の意欲や熱意を効果的に伝えることができます。
おわりに
法学部志望理由書の作成は、自分の目標や思いを具体的に伝える重要なステップです。この記事で紹介したポイントを参考に、具体的な経験やエピソードを交え、大学の特徴とリンクさせることで、魅力的な志望理由書を作成することができるでしょう。また、誤字脱字の確認や簡潔かつ論理的な文章構成に注意し、読み手に伝わりやすい表現方法を心掛けることも大切です。
法学部での学びは、多様なキャリアパスを開き、社会に貢献するための基盤となります。自分の将来のビジョンをしっかりと描き、それを実現するための意欲を志望理由書に込めてください。法学部での充実した学びを通じて、あなたの夢が実現することを心より応援しています。
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